長年住んだ家を、引っ越しや相続、投資など様々な理由で売る場面があるでしょう。しかし多くの人にとって、家を売るのは初めてのことで、漠然と不動産会社に任せたらよいとは思っていても、実際何から始めたらよいのか悩む人も多いでしょう。
家は高額な商品のため、売り方を間違えると数百万円の損をする可能性があります。また予定している期間で売れないと、新居での生活に悪影響が出るかもしれません。
そこでこの記事では、初めて家を売る人向けに基本的な知識や流れ、損をしないためのコツをわかりやすく解説します。ぜひ参考にして、後悔なく家を売る手続きを進めましょう。
一括査定サービス利用者が選んだおすすめサービスTOP3
※クラウドワークス、クロスマーケティング調べ(2021/4/9~2021/4/13実施 回答数380人)
こちらは、サービス利用者のアンケート結果による「おすすめの不動産一括査定サービスTOP3」です。実際の利用者の声と編集部の知見が合わさったできたランキングですので、ぜひ参考にしてください。
なお、不動産一括査定サービスは、それぞれ対応するエリアや提携する不動産会社が異なるため、1つだけでなく複数のサービスを利用することをおすすめします。
次の記事ではより多くのサービスを含めたランキングや「査定結果の満足度TOP3」や「親族・友達におすすめしたいTOP3」などカテゴリ別にもランキングを紹介しています。さらに詳しく知りたい方は読んでみてください。

家を売る基本的な流れ
家を売る基本は、不動産会社に仲介を依頼して購入希望者を探してもらうというものです。準備段階から家の引き渡しまでの主な流れは、上図のようになっています。
家を引き渡すまでにやるべきことは多く、全てを不動産会社に任せることはできません。途中でつまずかないよう、各段階で何をするのかを詳しく解説していきます。
①不動産会社に査定依頼する
家を売る場合、まずは現在どの程度の価値があるのかを把握しておくことが重要です。適当な価格で売り出しても、相場より高すぎると売れず安すぎると損をしてしまいます。
相場の把握で手間がかからない方法が、不動産会社での無料査定です。直接最寄りの店舗に行かなくても、ネットや電話などで依頼ができます。立地や間取りなどのデータから算出する机上査定と、家の状態を目視で確認する訪問査定の2種類があります。おおよその価値を知るだけであれば、気軽に机上査定を申し込みましょう。
遺産相続や離婚の財産分与などで家の価値を正確に知りたい人は、不動産鑑定士による有料の査定があります。鑑定士への報酬として20万円以上かかる場合がありますが、査定された価格は裁判でも有効な数字となります。
自分で相場を調べる方法
家の価値は自分で調べる方法も複数あり、代表的なものは次の3つです。
調べる方法 | 概要 |
レインズマーケットインフォメーション |
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土地総合情報システム |
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不動産ポータルサイト |
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ただしいずれの方法も、売りたい家がある地域で取引が少ない場合、精度は低くなります。しかしこれらの価格は査定の時の基準として使われることが多いため、査定を申し込む前に調べておく価値はあります。
家の価格相場の調べ方については、こちらの記事でも紹介をしています。

②不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産会社に家を売ってもらうためには、媒介契約というものを結びます。広告や各種契約書類の作成、購入希望者からの連絡受けなど、具体的な業務内容をこの契約で決めます。媒介契約は3種類あり、それぞれの特徴は次のようになっています。
特徴 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
複数社との媒介契約 | ○ | × | × |
自身での買主捜し | ○ | ○ | × |
売却活動の報告頻度 | 定めなし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録 | 定めなし | 契約から7営業日以内 | 契約から5営業日以内 |
レインズは、上記で紹介したレインズマーケットインフォメーションの不動産会社向けのシステムです。登録されていると、不動産会社から買主の情報が集まりやすくなります。
「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」では、不動産会社1社のみとしか媒介契約を結ぶことができません。売主側の自由度が少なくなる反面、不動産会社は精力的に買主を探してくれるといったメリットがあります。
「一般媒介契約」では、同時に複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができるため、買主が見つかりやすいメリットがあります。多くの購入希望者と接することから、提示価格にとらわれ過ぎる危険性があるので周囲が必要です。
いずれの媒介契約にするのかは、その時の状況を見て柔軟に判断するとよいでしょう。媒介契約の種類の特徴について、もっと詳しく知りたい人はこちらの記事がおすすめです。

③家の売却活動を開始する
査定結果を確認して無事に不動産会社と媒介契約を交わしたら、いよいよ物件の販売を開始します。
できるだけ多くの人に認知してもらうために、具体的にはチラシやネット広告などを活用して広告宣伝活動を行います。現在はネット広告が主流であり、ホームページやポータルサイト、SNSなどをうまく利用して、問合せの窓口を用意して反応を待つことになります。
広告の作成やどこに広告を出すのかは、基本的に不動産会社任せです。特定の新聞にチラシを出して欲しいなど、通常とは違うことを依頼すると、追加で費用がかかります。そこまでする必要はありませんが、作成された広告の出来栄えはチェックしておいたほうがよいでしょう。
売り出し価格を決めるポイント
調べた売却相場でそのまま売り出したのでは、十分な利益が確保できなかったり、赤字になってしまったりすることがあります。損をせず買主を早く見つけるため、次の3つを基準にして売り出し価格を決めましょう。
- 住宅ローンの残債を完済できるか
- 相場に合った価格か
- 値下げ交渉されても利益が出るか
住宅ローンが残っている家を売るためには、売却代金を使って完済できることが前提です。残債より安くしてしまうと、自己資金を充てなければなりません。それを踏まえて相場に近い価格に設定するのですが、誰しも安く買いたいため値下げ交渉があります。少し高めに設定しておくと、値下げ交渉を受けても利益を確保できます。
売り出し価格の決め方について詳しく知りたい人はこちらの記事がおすすめです。

④購入希望者に内覧の対応
広告を見た購入希望者から問合せがあり内覧の申し込みがあった際は、受け入れの準備をして内覧に対応する必要があります。内覧の日程を調整し、内覧が行われる前に家の中や玄関周りを掃除します。内覧当時は売主も立ち会って、購入希望者の質問に答える必要があるでしょう。
また、購入希望者と価格交渉を行うこともあります。不動産の販売価格は売主が自分で決定することから、多少値引きすることを見込んで売り出し価格は高めにしておくことをおすすめします。
内覧前の準備や当日の対応術に関して取り上げたこちらの記事もご覧ください。

⑤納得できる価格で売買契約を結ぶ
売主も買主もお互い販売価格に納得できたら、買主と不動産の売買契約を結びます。売買契約にはさまざま書類が必要となるので、余裕をもって用意をしておくことが大切です。
具体的な流れとしては、両者の合意が成立したら不動産会社の宅地建物取引士より買主へ連絡が入り、契約の重要事項に関する説明が行われます。
その後不動産会社が作成した不動産売買契約書に署名・捺印を行い契約が締結されます。その後買主から売主に対し、売却価格の10〜20%の手付金が支払われます。
手付金と頭金の違いについて気になる人はこちらの記事をご覧ください。

⑥家の引き渡し準備・清算
売買契約が交わされたあとは、売主は引っ越しをして物件の引き渡しの準備を行います。スムーズに引き渡しができるように引っ越し準備は早めに着手することが大切です。
必要な準備として次のものもがあります。
- 所有権移転登記手続き
- 住宅ローンが残っているならば抵当権の抹消登記手続
- 電気や水道などライフラインの解約
- 家にかけている保険の解約
登記手続きに関しては司法書士に依頼しておくと、ミスなく完了します。ライフラインや保険の解約は自身で申し込んでください。保険はまとめ払いをしていた場合、日割り計算で未経過分を返金してもらえます。
買主から残額の入金を確認することができたら、物件の引き渡しを行います。
引き渡し当日にやるべきこと
実際に引き渡し当日に行うことは以下の通りです。
- 司法書士へ登記申請の依頼
- 残代金の受け取り
- 固定資産税や都市計画税などの清算
- 管理規約や保証書などの書類の引渡し
- 家の鍵の引き渡し
- 仲介手数料など諸費用の支払い
物件引き渡し当日は売主と買主が現地に赴き、両者立ち会いのもと最終確認が行われます。その後は銀行・不動産会社で残代金の決済が行われ、引き渡しが完了します。
家を売るときにかかる費用・税金
不動産会社に仲介を依頼して家を売る場合、次の費用がかかります。
- 仲介手数料
- 住宅ローンの繰り上げ返済の手数料
- 抵当権抹消登記の費用
- 印紙税
- 消費税
- 所得税・住民税
総額で数百万円になることもあり、把握していなければ手元に残るお金の少なさで予定が崩れるかもしれません。ここからは、なぜその費用がかかるのかや、どの程度支払うのかを詳しく紹介していきます。
不動産業者へ支払う仲介手数料
仲介で家を売る場合、売買契約が成立すると不動産会社への報酬として仲介手数料を支払います。額は家の売却価格で代わり、上限は次のように法律で決まっています。
- 売却価格税込が200万円以下の部分・・・・5%
- 売却価格税込が200万円超400万円以下の部分・・・・4%
- 売却価格税込が400万円超の部分・・・・3%
売却価格が400万円を超える場合は、以下の速達式で簡単に計算が可能です。
例えば、2021年10月に3,000万円で家が売れた場合、仲介手数料は次のようになります。

住宅ローンの全額繰上返済手数料
住宅ローンの支払いが残っている場合、不動産を売却する前に完済してしまう必要があるため繰上げ返済を行います。ローン残額の1部の繰上返済を行う場合には通常手数料はかかりませんが、全額繰上返済を行う際は手数料が発生する金融機関があるので確認する必要があります。
全額繰上返済を行なった場合の手数料の上限は、5万5,000円が相場となっています。
抵当権抹消登記の費用
家を売却する場合、残っているローンを全て支払い抵当権抹消登記を行う必要があります。抵当権抹消登記の手続きは、一般的には司法書士に書類作成を依頼します。司法書士に支払う報酬の相場として1万5,000~2万円が発生します。
なお、申請手続きは自分で行うことも可能です。自分で行うのであれば、登録免許税1筆1,000円(土地と建物は分けてカウント)で済むことからかなりお得になります。しかし実際の作業内容は、登記申請書の作成や添付書類の取集、管轄地の確認や申請手続きがあり、慣れない作業であることから手間や時間がかかります。普段忙しくてなかなか時間が取れないのであれば、抵当権抹消登記手続きは司法書士に依頼することをおすすめします。
抵当権抹消登記について取り上げたこちらの記事も併せてチェックしておきましょう。

作成する書類に必要な印紙税
家を売る時に作成する売買契約書には、記載する売却価格に応じて印紙税を納付しなければなりません。納付方法は購入した収入印紙を契約書に貼るだけで、額は次のように決まっています。
売却価格 | 印紙税 | 軽減税率適用後 |
10万円超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超え100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超え1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,00万円超え5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
軽減税率は2021年9月現在、2022年3月31日までに作成する売買契約書に自動的に適用されます。
家を売るまでに利用するサービスの消費税
消費税は、家を売るまでに利用したさまざまなサービスに課せられます。対象になるものとならないものは、次のようになっています。
課税対象 | 非課税 |
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消費税は2021年9月現在10%となります。家の登録免許税や印紙税は、これらがそもそも税金に該当するため消費税は発生しません。
売った家の利益に所得税・住民税
家を売った時の利益は次の式で計算ができます。
取得費は購入する時に支払った家の代金など、譲渡費用は上記で紹介してきた仲介手数料や印紙税です。利益は譲渡所得と呼ばれ、確定申告をして「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3種類を納税します。
所得税は家を所有していた期間で代わり、合計の税率は次のようになります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税(所得税の2.1%) | 合計 |
5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
5年超え | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
所有期間は1月1日時点で判断され、5年以下の利益は「短期譲渡所得」、5年超えの利益は「長期譲渡所得」区別されています。
所得税や住民税の詳細については、こちらの記事を参考にしてください。

家を売るために必要な書類一覧
ここからは、不動産の売却の際に必要な書類を紹介します。必要書類は多いことから、時間的に余裕を持って事前に用意することをおすすめします。買主が見つかり次第早めに準備することが好ましいでしょう。
不動産の売却に必要な書類は、以下の通りです。
書類名 | 注釈 |
身分証明書 | 運転免許証やパスポートなど |
住民票の写し | 役場での発行から3ヶ月以内のもの |
実印 | 売買契約書などに捺印するため |
印鑑登録証明書 | 発行から3ヶ月以内のもの |
土地建物登記済証(登録識別情報) | 売る家の登記上の所有者を確認する書類 |
固定資産税・都市計画税納付納税通知書 | 手元にない場合は役場で再発行 |
物件状況等報告書 | 売主が作成する家の詳細な状態を記載した書類 |
地積測量図・境界確認図 | 戸建ての家で境界が曖昧な場合は測量 |
建築確認済証・検査済証 | 建築基準法を守った家であることを証明する書類 |
マンションの管理規約 | 紛失しているなら大家か管理会社に相談 |
マンションの維持管理に関する書類 | 修繕積立金や管理組合費などが書かれた書類 |
マンションの重要事項に関わる調査報告書 | マンションの管理会社に発行してもらう(有料) |
表の下3項目はマンションを売却する場合必要なものです。必要書類の中には発行に時間がかかるものもありますので、スムーズに手続きを進めるため事前に確認して用意しておきましょう。
家を売る際に必要な書類については、こちらの記事でも詳しく紹介をしています。

家を適正価格で早く売る5つのポイント
せっかく自分の家を売るのであれば、できるだけ損することなく早く売りたいものです。しかし何も策もなく手続きを始めてしまうと、予定通り進まず買主自体が見つからないこともあります。
そこで、家を適正価格でスムーズに売るため、次の5つのポイントを詳しく見ていきましょう。
- 査定の依頼は複数の業者へ依頼
- 仲介を頼む不動産会社を見極める
- 売り出す前にリフォームをしない
- 内覧で買主への印象をよくする
- 売り出すタイミングを計る
査定の依頼は複数の業者へ依頼
売り出し価格の設定方法で、相場に合った価格にする必要性を紹介しました。しかし、家の査定結果は不動産会社ごとに差があり、100万円近く差が出ることも珍しくありません。
そのため相場の把握には、複数社の不動産会社への査定依頼が必須です。効率的に査定依頼を出すため、無料の一括査定サイトを使うことをおすすめします。家の立地や広さなどを入力すると、自動的に優良な最寄りの不動産会社をリストアップしてくれます。
不動産一括査定サイトは数多くありますので、できるだけよく調べて信頼できる不動産会社を厳選しているサイトを利用すると安心です。
査定が初めての人におすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」

- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
- 悪徳業者が徹底的に排除された査定サイトを使いたい
\ 厳選した優良会社に査定依頼 /
すまいステップで一括査定する
他にもおすすめの一括査定サイトを多数紹介したこちらの記事も併せてチェックしてみましょう。

仲介を頼む不動産会社を見極める
家の売却を成功させるためには、信頼出来る不動産会社を時間をかけて選ぶことがポイントになります。不動産会社の中には、不動産仲介の経験がほとんどない会社や、本気で買主を探すことをしない悪質な会社もあるので注意が必要です。
一括査定サイトを使っているとある程度は厳選されていますが、さらに絞り込むため次の基準で不動産会社を見極めましょう。
- 会社の実績
- サービスの充実性
- 査定根拠の信頼度
- 営業担当者との相性
実績がある不動産会社であれば、見込み客を抱えている可能性があり、早期の売却につながります。またサービスの充実性とは、荷物の一次預かりや売った後の設備保証などで、各不動産会社が独自に展開しているもののことです。
査定の根拠に納得できない場合は、顧客確保のためだけに高額な査定を出している恐れがあるため注意が必要です。担当が信頼できないと、こちらの要望を汲み取ってもらえません。引き渡しまではだいたい3~6ヶ月程度かかるため、少しでも話しやすい担当者がいる不動産会社にしましょう。
売り出す前にリフォームをしない
家を売る際には、可能な限りリフォームをした方が高く売却できるのではないかと考える人もいますが、決してそうとも言い切れません。基本的に家の売却の際は、リフォームをせずに販売を行います。
そもそも中古物件の売買では、買主が購入後に自らリフォームすることを前提としている人が多い傾向があります。購入した後は自分たちの好みにあった家に改築することから、売主がリフォームする必要はないのです。
さらに、せっかくリフォームしたとしても、そのリフォーム費用を売却価格に上乗せできない可能性が多いでしょう。上乗せすると相場を超えてしまい売れにくくなるため、結果的に値下げをせざるを得ず損失が生じる恐れもあります。
内覧で買主への印象をよくする
家のリフォームはする必要はありませんが、家の印象を良くすることはとても大切です。内覧相手は不動産会社の担当者などと違い不動産のプロではないため、家の性能よりも見た目に左右される可能性は大いに考えられます。例えば、家の周辺にゴミが散乱していたり、家の中が乱雑になっていたりすれば、買主としては購入意欲が薄らいでしまうでしょう。
また、庭付き戸建てならば庭の手入れは必ず行っておきましょう。庭木や雑草が至るところに生えているような手入れされていない庭は、家全体の印象を一気に悪くします。家の広さや間取りだけでなく、全体的な印象も購入にあたり重要な判断材料になります。時間を見つけてしかりと手入れを行い、買主との内覧に備えましょう。
売り出すタイミングを計る
家は売るタイミングによって、売れやすくなったりかかる費用が変わったりします。主に次に紹介するタイミングから、自身に合っているものを選びましょう。
- 新年度で引越しが増える2~3月
- 余計な出費がかからない修繕前
- 所得税を安くするため所有期間が5年を超えてから
- 買主が35年ローンを組める築15年以内
- 住宅ローン控除などが使える築20年以内
- マンションであれば競合がいないタイミング
所有期間の問題はありあますが、基本的に築年数が浅い内に売る方が、家の価値は高く売れやすいです。
家を売るタイミングについて詳しく取り上げたこちらの記事もおすすめです。


家を売るときにするべき4つの税金対策
家を売った利益には、最大で39.63%もの税率が課せられます。しかし様々な控除や特例が用意されており、売却価格によっては税金を0円にすることも不可能ではありません。実際に家を売る前にどのような税金対策があるのかを把握しておきましょう。
過不足なくかかった経費を計上
譲渡所得を少なく見積もるためには、経費である取得費や譲渡費用をどれだけ正確に計上できるのかが重要です。実際にお金を払っていても確定申告で計上し忘れてしまうと、それだけ支払う税金が増えます。
取得費や譲渡費用として認められるものは次のようになっています。
取得費 | 譲渡費用 |
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特に取得費が不明な場合は売却価格の5%が適用されます。もしも実際の取得費が3,000万円の場合でも、それを示す証拠がなければ、2,000万円で売却できた時に100万円しか利益を小さくできないということです。
最大3,000万円の特別控除
国税庁が提示する「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」という制度で、次の要件を満たしていると譲渡所得に最大で3,000万円の控除を適用できます。
- 家の所有者が現在住んでいる
- 住まなくなった日から3年が経過する年の12月31日までに売る
- 過去2年以内にこの特例を使っていない
- 買主が親族や内縁などの特別な関係にない
控除額が高額のため、取得時より数千万円値上がりするような家でない限り、適用すると所得税や住民税はかかりません。適用させるため、家を売った翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告をしてください。
新しい家への買い替えで特例
同じく国税庁が出している「特定のマイホームを買い換えたときの特例」という制度で、次の要件を満たした買い替えであれば、利益にかかる税金は将来に繰り延べることが可能です。
- 過去3年で他の特例を適用してない
- 家の売却価格が1億円以下
- 売った家の所有期間が10年以上
- 買い替えた家が日本国内
- 買い替える家の床面積は50平米以上で、土地は500平米以下
- 一定の耐震基準や耐火性能を有する
- 買主が親族や内縁などの特別な関係にない
ただしこの特例は、節税ではなく繰り延べであることに注意が必要です。どこかの段階で買い替えを辞めると、売った時に支払う税金が増える可能性があります。できるなら前項の特例のように、その都度節税していた方がリスクは少ないでしょう。
家を売る時に使える特例については、こちらの記事でも詳しく紹介をしています。


家を売って利益がでなくても損益通算
家を売って利益が出ない場合でも、損益通算という制度を使って節税することが可能です。給与所得や事業所得を損失の分だけ少なく見積もることができ、次年度の所得税や住民税の節税になります。
損失が年間の所得を超えている場合は、最大で3年は残額を繰り越すことができ、適用すると節税効果が大きいです。買い替えや住宅ローンの残る家を売る場合で、適用要件は変わってきます。
損益通算の仕組みや適用要件について詳しく知りたい人はこちらの記事がおすすめです。

家が仲介で売れないなら買取
家を売る方法は、不動産会社による仲介以外に買取というものもあります。仲介ではなかなか売れないときに選ばれることが多い方法ですが、いくつかデメリットもあるので気をつけましょう。
ここでは、そもそも買取とは何かや仲介との違い、家を買取ってもらう流れを紹介していきます。
家の買取とは
買取とは、不動産会社に家を直接買い取ってもらう方法です。買取を行う不動産会社さえ見つける事ができれば、比較的早い段階で家を売ることが可能です。
スムーズに話が進むと、家を売り出してから1週間ほどで売却が成立することもあります。普段忙しくてまとまった時間がなかなか取れない方などは、不動産会社に直接買い取ってもらう方が効率的かもしれません。
買取と仲介で家を売る違い
実際に家を売るとき、買取と仲介のどちらを選べばよいのでしょうか。両者の違いをメリットデメリットで見てみましょう。
売却方法 | メリット | デメリット |
買取 |
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仲介 |
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買取と仲介の大きな違いは価格とかかる期間です。買取は、業者が転売して利益を出すため仲介より安くなりますが、買主を探す必要がないため短期間で家を引き渡せます。
仲介で値下げをいくらしても売れないような家であれば、買取をおすすめします。価格は安くなったとしても、仲介手数料が不要であることと維持費の節約で、大きな損にならないかもしれません。
買取で家を売る流れ
家を買取してもらう流れは、仲介よりシンプルで次のようになっています。それぞれの工程で、どのようなことをするのかを詳しく見ていきましょう。
①買取を依頼する不動産会社を選ぶ
買取で家を売却する際は、まずは仲介と同じように不動産会社に査定を依頼します。その際は複数の不動産会社に対して査定依頼を行い、それぞれの査定額やその後の対応を参考にして買い取ってもらう不動産を選びます。
不動産会社に査定を依頼する際は、買取向けの無料一括見積もりサイトを活用することをおすすめします。買取専門の会社や仲介と買取の両方に対応した会社が見つかるでしょう。選ぶ時は仲介と違い、できるだけ高額の査定をしてくれた会社にしてください。基本的に査定結果で買取ってもらえるため、わざわざ安いところを選ぶ必要はありません。
②買取価格の提示とスケジュールの確認
買取を依頼する不動産会社を決めたら、その不動産会社の担当者から正式な買取価格の提示をしてもらいます。事前に担当者が物件に訪れ、物件の広さや間取り、方角や周辺環境なども確認します。事前に担当者と日程を調整して、確認作業に応じましょう。
物件の内容を確認した後は、不動産会社が相場を元に買取価格を提示します。その価格に納得できなければ不動産会社とのやりとりは終了となりますが、提示価格に納得できたらそのまま手続きを進めます。
具体的には、今後の売買スケジュールや引き渡し条件の確認を行います。手付金の支払い時期や残りの売却代金の支払い時期、家財道具の処分の要否や引き渡しにかかった費用の負担など、細かな部分まできっちりと確認して起きましょう。
③売買契約を結び残金の決済を行う
売買スケジュールが決まり様々な条件が確認できたら、いよいよ売買契約を結びます。買取価格だけでなく引き渡し条件などをしっかりと確認し、互いに契約書に署名・捺印を行えば契約は成立となります。
売買契約が成立した後は、不動産会社より手付金が支払われます。万が一何かの事情により売買契約が解除された場合には、この手付金を使用することになるため保管しておきましょう。
通常は、売買契約から約1ヶ月後に物件の引き渡しが行われます。この際に不動産会社は手付金を引いた残りの売却金額を売主に支払います。売主は引き渡しに必要な書類や領収書などを不動産会社に渡し、全ての手続きが終了します。
家を売るときの3つの注意点
最後に家を売るときの注意点について紹介します。せっかく家を売っても損をしたり、手続き自体がスムーズに進まなかったりするということを避けるため、次の3つの点に留意しておきましょう。
- 住宅ローンを残したままでは売れない
- 不動産業者を使わないで家を売るのは危険
- 古い家が売れなくても安易に更地にはしない
住宅ローンを残したままでは売れない
もし住宅ローンが残ったまま引き渡しをすると、売主の滞納で買主は家を出て行かなければならなくなります。そのため住宅ローンが残ったままでは売ることは困難です。準備段階で残債はあってもよく、引き渡しの段階で完済できる状態にしてください。
もし売却価格だけで不足する場合は、次の方法で完済を目指します。
- 貯蓄を崩し自己資金も充てて繰上返済
- 現在のローンと新規のローンを住み替えローンで一本化
- 無担保のローンを利用
出費を最小限に抑えたい場合は自己資金、新居を購入予定であれば住み替えローンがおすすめです。無担保のローンは住宅ローンより金利が高いため、他に選択肢がない場合だけにしておきましょう。
住宅ローンが残っている状態で売る方法については、こちらの記事でも紹介をしています。


不動産会社を使わないで家を売るのは危険
家を売るために必要な費用の中で、仲介手数料の割合は大きいです。もし家を買ってくれる人を既に見つけていると、仲介手数料の負担を減らすため、不動産会社の仲介なしで売りたくなります。家の個人売買は法律で認められており、挑戦したくなりますが、次のデメリットがあります。
- 売買契約書などを全て自分で作成しなければならない
- トラブルが起きてもサポートがない
- 買主が住宅ローンの審査に通らない可能性もある
後々トラブルにならない契約書の作成には、不動産の専門知識が必要で、初めて家を売る人にはハードルが高いです。書類に不備が起きる可能性が高いため、住宅ローンの審査にも悪影響が出ます。
また個人売買では、売主と買主が直接交渉をするため、感情的なやりとりになりやすいです。仲介手数料を支払ってでも、不動産会社を利用した方がスムーズに売れるでしょう。
個人売買のリスクについて取り上げたこちらの記事も参考になります。

古い家が売れなくても安易に更地にはしない
家が古い場合、更地にして土地だけで売った方が売れるのではと考えてしまいます。しかし、安易に更地にしてしまうと、次のデメリットがあります。
- 1坪当たり数万円の高額な解体費用がかかる
- 建物があったときよりも固定資産税が上がる
- 土地によっては新規に家を建てられない
解体費用は、30坪の戸建てで100万円近くになります。重機が通れないような立地であれば、坪当たりの単価はさらに上がります。土地の固定資産税は、建物がなくなると軽減措置が適用されず、最大で6倍になりますので、更地にした状態でなかなか売れない時期が続くと、高額な維持費で損をしてしまうでしょう。
また家が古いと、建てられた当時と現在で建築基準法が違ってきます。そのため、建ぺい率や容積率が変わったり、再建築許可されなかったりして、余計に売れにくくなるかもしれません。更地にする時は、不動産会社と相談をしてから工事を始めましょう。
更地渡しのメリットデメリットや成功させるポイントは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

まとめ
家を売ることは、人生において何度も経験することではありません。何も知識がない状態で挑むと、想定より安くなったり、予定した時期までに売れなかったりします。
この記事で紹介してきた基本的な流れやかかる費用・税金、必要な書類を把握しておくだけでも、手続きはスムーズになります。また適正価格で売る方法や税金対策を実践すると、手元に残るお金を増やせる可能性も高まるでしょう。これから家を売りたいと考えている人は、ぜひこの記事を参考にして計画的に手続きを進めましょう。
一括査定サービス利用者が選んだおすすめサービスTOP3
※クラウドワークス、クロスマーケティング調べ(2021/4/9~2021/4/13実施 回答数380人)
こちらは、サービス利用者のアンケート結果による「おすすめの不動産一括査定サービスTOP3」です。実際の利用者の声と編集部の知見が合わさったできたランキングですので、ぜひ参考にしてください。
なお、不動産一括査定サービスは、それぞれ対応するエリアや提携する不動産会社が異なるため、1つだけでなく複数のサービスを利用することをおすすめします。
次の記事ではより多くのサービスを含めたランキングや「査定結果の満足度TOP3」や「親族・友達におすすめしたいTOP3」などカテゴリ別にもランキングを紹介しています。さらに詳しく知りたい方は読んでみてください。
