結婚や出産といったライフステージの変化や仕事の影響などで、今住んでいるマンションを売却したいと考える人は少なくありません。古くなってきたマンションを手放して引っ越しを検討している人もいるでしょう。
そこで気になるのが「今住んでいるマンションはいくらで売れるのか?」ということではないでしょうか。できるだけ高く売るためにベストなタイミングを知りたいという人もいるはずです。
本記事では、マンション売却は築何年が売りやすいのかを説明するとともに、築年数ごとのマンション売却金額の目安や、売却のポイントについて解説します。特に初めてのマンション売却は不安がつきものですから、この機会に築年数と売却相場の関係について知っておきましょう。
マンション売却は築何年が売りやすいのか
まず、マンションは築何年ぐらいが売りやすいのかを知っておく必要があります。当然ですが、築年数はマンションの売却額に大きな影響を与えることになり、一般的には年数が古くなるとともにマンションの資産価値(市場価格)は下落します。
ただし、土地や市場全体の傾向にも影響を受けるので、年数にしたがって一定に下がるわけではありません。
人気のある築年数は10年まで
結論をいえば、築10年までのマンションは人気があって売れやすい傾向にあります。以降は築年数にしたがって徐々に売れづらくなり、市場価格も安くなります。たとえ同じエリアにあるマンションだったとしても、この傾向は変わりません。
具体的には、新築のマンション価格と比較して、築1年の中古マンションの場合は10%程度価格が落ちますが、築10年でも大体20%程度の下落率を維持できます。そこから売却価格はさらに下落し、築20年より古くなると新築の40%程度の資産価値にしかならない物件がほとんどです。
なぜ築年数が10年ぐらいのマンションの人気が高いかといえば、購入者にとって価格と新しさのバランスがちょうどとれているのが築10年ぐらいのマンションだからです。さらに買い手の立場からすると、築12年超のマンションは35年ローンを組めなくなるため需要が落ちる傾向があります。
成約率が高い築年数
下のグラフは東日本不動産流通機構(レインズ)による中古マンションの対新規登録成約率を示したデータですが、実際の成約率をみても築6~10年の物件がもっとも成約率が高いことがわかります。
※出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」
ただし、築10年を超えても売れないわけではなく、市場価格は下がるものの、築20年ぐらいまでは一定の需要があります。実際、中古マンションの築年数に対する成約率は築10年ぐらいまでは30%以上ありますが、築20年を超えると20%を下回る状況です(※2019年の場合)。
したがって、マンションを高く売却するなら築10年ぐらい、ある程度は価格が下がっても売りたいのであれば築20年ぐらいを目途に売却を考えるのがよいでしょう。
当然の話ではありますが、築年数が浅いほどマンション売買の成約率は高くなります。ただし、築5年までの中古マンションの成約率と築6年~10年のマンションの成約率を比較してみると、後者の方が高いという事実もあります。
これは上述のように、買い手にとって購入しやすい価格帯とマンションの状態とのバランスがとれているからです。築年数が5年以下のマンションは新築に近い新しさはあるものの、価格が高いと感じる買い手が多いということでしょう。築10年程度の物件はマンションは新築に比べるとわずかに劣化しているものの、購入するにはよい価格帯と感じる人が多いということです。
売るのが難しい築年数
そして築30年以上のマンションになると売るのが難しくなってしまいます。売却価格の相場も新築のマンションに比べて大体30%以下になってしまいますし、成約率も13%程度で市場に出してもあまり売れないことがわかります。
マンションの資産価値はどんなに古いものでもゼロになることはありませんが、実際に購入するとなると、耐震基準が満たされていなかったり、修繕費の問題があったりして購入を躊躇する人が多くなってきます。
購入価格は安くなるものの、そのまま居住するには問題のある物件もあるため、実際に住めるようにするためのコストを考えて購入を断念する買い手も少なくありません。
ただし、まったく売れないというわけではなく、買い手にとって現金で支払える範囲の物件や、短期の住宅ローンで済む範囲のものであれば安く購入したいと思う人もいます。事実、築30年以上の中古マンションの成約率は年々増え続けています。
築年数でみるマンション売却金額と購入金額
次に、築年数と実際のマンションの売却・購入金額について、耐用年数や実際の価格下落率の観点からみてみます。
マンションの耐用年数
中古のマンションを安く購入したい人でも、安全性の面で古いマンションに不安をもつ人もいるでしょう。マンションの実際の耐用年数はどれぐらいでしょうか?
日本のほとんどのマンションは鉄筋コンクリート(RC)で造られていますが、実はコンクリート自体は地震などの天災によって特別な損傷を受けなければ100年程度は使えるとされています。つまり、築30年以上のマンションでも居住には問題がなく、内装や外壁などの修繕管理の影響で建て替えられているのが実情なのです。
法定耐用年数
ただし、鉄筋コンクリートの法定耐用年数は税金の面から47年と定められています。アパートや戸建てに使われることの多い鉄骨の場合、軽量鉄骨ならば27年ほど、重要鉄骨造ならば34年となっています。
しかし、これらは減価償却の計算のためのものであり、建物自体の寿命とは無関係なので注意が必要です。法的な耐用年数が過ぎたからといって居住が危険というわけではありません。
最近では中古のマンションが増えていることもあり、建物を修繕したりリフォームしたりして可能な限り長く使おうとする傾向が出てきています。そのため、将来的には法的な耐用年数も改正される可能性があります。
物理的な耐用年数
鉄筋コンクリートの寿命はとても長く、建物の利用状況によって外壁や内装、設備などの劣化程度も変わってくるので、マンションの物理的な耐用年数を定義することは困難です。ただ、現状では実際に問題なく居住できる年数は60年程度とされています。
これは中性化によるコンクリートの使用限界が実際には60年ぐらいという検証や、過去に財務省が定めた法的耐用年数が60年だったことなどが関係しているようです。実際、1998年の税制改正によって耐用年数が47年になる前は60年とされていました。
ただし、日本のマンションはどれほど古いものでも築50~60年程度であり、それより古い物件は存在しません。つまり、60年を超えてもマンションとして問題なく利用できるのかどうか、ほとんど実証できていないのです。
多くのマンションは鉄筋コンクリートの問題ではなく、外壁・内装や配管などの老朽化によって廃棄や建て替えを余儀なくされているのが現状です。
初年度から価格は下がる
続いて、中古マンションの実際の売買価格についてです。
すでに説明したように、マンションの価格は建築時から年数とともに下がっていきますが、築年数と市場価格が綺麗に反比例するわけではありません。
新築物件として市場に出されてから、誰かが一度でも居住すれば中古物件となるので、たとえ築後数か月であっても資産価値は10%~20%程度は下落するといわれています。その後、築20年ぐらいまでは価格の下落が大きく、それ以降は緩やかに下落することになります。
そして最終的には土地の値段まで下がることになりますが、どんなに古くても資産価値がゼロになることはありません。
中古マンションの購入金額
中古マンションの購入金額の一例として、首都圏とそれ以外の主要都市の状況をみてみましょう。下表は2020年の5月から7月の三大都市圏における70㎡あたりの中古マンション価格を示したものです。東京カンテイ社によるプレスリリース「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」より抜粋しています。
地域 | 5月 | 6月 | 7月 |
首都圏 | 3,640万円 | 3,668万円 | 3,687万円 |
近畿圏 | 2,439万円 | 2,450万円 | 2,458万円 |
中部圏 | 1,942万円 | 1,944万円 | 1,952万円 |
首都圏は大体3,500万円程度、それ以外の地域は2,000万円台が中心価格となっています。ここ数年の傾向としては、首都圏では2014年あたりから多少の上下はあるものの緩やかな上昇傾向にあり、近畿圏・中部圏は安定して上昇基調となっています。都市部での中古マンションの購入を検討している方は参考にしてください。
築年数ごとのマンションの売却ポイント
マンションの築年数に応じた価格変化についてみてきました。ここからは、築年数ごとに中古マンションを売却する場合のポイントを簡単に説明します。
築5年までのマンション
築5年までの中古マンションは新築と設備や間取りでほぼ変わりはありません。新築より新しい中古物件が買い得だと考える人が多く、さらに流通数も少ないので売りやすいです。
ただし、新築物件に近いため市場のトレンドを受けやすく、価格が変動しやすい傾向もあります。そのため、ライバル物件の情報に精通している不動産会社を選んでサポートしてもらうことが重要です。多少時間がかかっても、信頼できる不動産会社をしっかり選んで適正な価格で売却できるようにしましょう。
築10年までのマンション
築10年までの物件が中古マンション市場においてもっとも売りやすい傾向にあります。市場価格こそ築5年以下の物件よりも下落しますが、買い手にとっては新しさと価格のバランスがとれており、物件に古臭さを感じないため購入希望者が多いです。
ただし、2000年4月以降に新築として購入したマンションは「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって物件保証を受けられるようになっています。これは購入したマンションに欠陥や生活に支障が出る問題があった場合、売主に修繕を求められるものです。
つまり、売り手にとって品確法による保証のあるうちにマンションを手放してしまうのは惜しいと考えることもできるわけです。場合によっては10年を超えて保証が受けられなくなってから売却する方がよい場合もあるでしょう。
築15年までのマンション
築15年までのマンションは物件数が多く、値下げ競争に晒されやすいのが特徴です。特に築12年を超えたマンションは長期の住宅ローンを使っての購入ができないことが多いため、築10年までの物件に比べると需要が落ちてしまいます。
加えて、一般的に物件として最初の大規模修繕を施す必要がある時期であるため、購入にあたって修繕負担を嫌がる買主も少なくありません。売却する場合は、不動産会社と協力しながら買主の需要やニーズを考慮した売値をつける必要があります。
築20年までのマンション
築20年になると、新築の状態に比べて価格は半分程度にまで下落します。買い手も少なくなるため、人気エリアや将来的に人口増加が見込めるような地域でない限り、価格にこだわらずに早めに売ってしまう方が無難です。
ただ、築20年以上になると市場価格の下落も緩やかになってきます。慌てて無計画に売却するよりは、少し時間をかけて信頼できる不動産業者を探しましょう。
築30年までのマンション
築30年になると、さらに需要が少なくなります。さらにマンションの室内のものを修繕したり交換したりする必要も出てくるほか、物件によっては建て替えを意識しなくてはならないこともあります。
特に修繕に関しては、マンション管理組合が修繕積立金を確保してきたかどうかで変わってくるでしょう。積み立てがない場合、修繕費の一部あるいは全部を買主に負担してもらわなければならないケースが出てくるので、さらなる価格の値下げも視野に入れなければなりません。
マンション管理の現状や管理組合の仕組みについて解説したこちらの記事もおすすめです。

築40年前後のマンション
築40年前後のマンション需要は全体の12%程度しかないため、売りに出してもほとんど売れ残ってしまうことになります。
リフォームによって売れるようになるという考え方もありますが、リフォームしたからといって相場よりも高く売れたり、成約率が高まるとは限らないのが実情です。古い物件の購入希望者のなかには、安く購入して自分で好きにリフォームしたいという人もいるため、むしろ何もせずに安く売った方がよい場合もあります。
どうしても売りたい場合は、相場よりも大幅な値引きを行うと注目が高まりやすいです。できるだけ早く手放したいと考えているならば、ある程度の値下げを覚悟しつつ、購入希望者のニーズに柔軟に対応する姿勢が必要でしょう。
マンションの資産価値の測り方
最後に、マンションの資産価値の測り方について説明しておきます。大きく分けて、マンションそれ自体の価値と、それ以外の環境や管理体制による価値の2つで測られることになります。
マンション自体の価値
マンションの資産価値は広さ(間取り)や設備、建物の構図といった基本要素に加え、日当たりや眺望などの要素、そして新築時に売主となるメーカーによっても変わってきます。
分譲マンションにおいて、入居者がそれぞれ生活する部屋は専有部分であり、エントランスや階段・廊下・屋上などは共用部分です。当然ながら、どちらも使用する年数が経過するごとに価値が減っていきます。なお、バルコニーは専有部分と思われがちですが、分類上は共有部分とみなされます。
マンション自体以外の価値
さらに交通アクセスや周辺環境、維持管理機能の充実度なども価格に影響を与えます。立地も重要で、人口が多くブランド力のある人気地域にあるマンションは資産価値が高くなる傾向が強いです。また、近隣にライバル物件がない場合も価値が高くなるケースがあります。
また、マンション近隣にショッピングモールや巨大スーパーなど生活に必要な施設がある場合や、マンションの管理体制の充実度も価格に影響を及ぼします。
いずれもマンションの資産価値を測るうえで重要な要素ですが、結局のところ、具体的な価値については専門家である不動産業者に聞かなければ正しい情報はわかりません。マンションの売却にあたっては、まず信頼のおける専門業者に価値を正しく査定してもらうことをおすすめします。一括査定サイトを使うと優良なところが厳選されており、効率的に探すことができます。
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まとめ
マンションの築年数に応じた売却のしやすさと築年数ごとのマンションの売却ポイントについて解説しました。一言で中古マンションといっても、年数によって市場価格が大きく変わるため、売り方のポイントも違ってきます。
多くの人にとってマンションの売却は一生のうちに何度もある出来事ではありません。できるだけ高く売るためにも、事前にしっかりと計画を立てましょう。
もっとも売りやすいのは築10年程度の物件といわれていますが、立地や周辺環境によっても買い手のニーズは変わってきますから、適正な価格で確実に売却するために、まずは時間をかけて信頼できる不動産会社を探すことをおすすめします。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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