物件概要書には何が書いてあって何が分かる?見方を徹底解説

fudousan26234542 不動産購入

不動産物件を探しているときに「物件がどこにありどのような特徴があるのか」が、書類1枚にまとまっていたらよいと思いませんか。実は不動産会社では、売りに出されている物件ごとに「物件概要書」と呼ばれる書類を作成し、不動産会社の店頭やインターネット上に掲示しています。しかし多くの方にとっては、物件概要書という言葉自体聞き慣れないかもしれません。

本記事では、物件概要書には何が書いてありどのように使われるのかや、その見方について解説します。これから不動産の売買を予定している方や、不動産投資を考えている方はぜひ参考にしてください。

物件概要書に関する基礎知識

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まず、物件概要書とはどのようなものなのかを紹介します。物件概要書は売主・買主・不動産会社を情報面でつなぐ役割を持っているので、その必要性についても見ていきましょう。

不動産物件の概要が記載された書類

物件概要書はその名のとおり、不動産物件の概要が整理して記載されている書類です。具体的な記載内容は、所在地や価格、交通アクセス、土地・建物の面積、建物の構造、用途地域などの土地利用制限などです。物件概要書は、他にも「物件状況等報告書」や「物件報告書」などと呼ばれることもあります。

具体的な記載事項については、後ほど詳しく説明します。

不動産会社が作成するのが一般的

物件概要書には決められた書式がなく、誰が作成してもよいものですが、通常は契約した不動産会社が作成してくれます。図面や外観・屋内の写真などと一緒にして、物件を探している人に見てもらうことが多いためです。

物件探しや条件交渉がスムーズにできる

物件概要書があれば、不動産会社は購入希望者に対して売却物件の情報を分かりやすく提供でき、購入希望者はその物件がどのようなものであるのかを簡単に把握できます。

そして、売主と買主の間で物件概要書に記載されている情報をもとに、条件を交渉します。物件について大切な情報が整理されているので、それらについて共通理解をしながらスムーズに交渉することが可能です。

引渡し後のトラブルが防げる

物件概要書には正確で客観的な情報を載せる必要があり、物件の問題点も記載されます。例えば、雨漏りやシロアリ被害、埋設物など、物件自体の問題や物件周辺の問題、心理的瑕疵などです。

これは売主から買主に対する説明義務があるためです。問題点を隠したり、説明を偽ったりして物件を引き渡すと、売主は民法上の契約不適合責任を問われ、買主から契約解除や損害賠償などの請求をされる可能性があります。

トラブルを防ぐためにも、物件概要書を用いて物件の問題点を共通理解しておくことが大切です。

投資物件として適しているかをチェックできる

投資物件として適しているかチェックすることにも役立ちます。例えば、利回りはどうか、再建築できるか、建ぺい率や容積率はどうか、違法建築物でないか、建物の構造や築年数はどうかなどです。これらの条件が良くなければ融資が受けられなかったり、投資に失敗したりするリスクがあるため、正確で客観的な情報をもとに判断しましょう。

投資目的におけるチェック事項については、後ほど詳しく説明します。

物件概要書の記載事項とチェックポイント

続いて物件概要書には、具体的にどのようなことが記載されているのかを見ていきましょう。物件概要書は決められた書式がないため、ここでは代表的な項目を紹介するほか、チェックポイントについても解説します。

基本情報

物件概要書には物件の種目や売出価格、所在地、交通アクセスなどの基本的な情報が記載されています。

記載事項 記入例 注記 チェックポイント
物件種目 売アパート(中古・1棟) 売アパート、売土地、売店舗などと、新築・分譲・中古などを記載
物件価格 1,500万円 土地の売買や中古住宅の個人間取引は消費税非課税(投資用物件の場合は課税対象)
権利形態 所有権 所有権、借地権などを記載 借地権の場合は融資が下りにくい
所在地 ○○市○○町 地番または住居表示を記載
交通アクセス ○○駅から徒歩5分 実測距離(直線距離ではない)で徒歩1分:80m、車1分:400mで計算

土地に関する情報

土地の面積・所有者・地目・道路など、土地に関する情報が記載されます。

記載事項 記入例 注記 チェックポイント
面積 515.00平米(154.28 坪) 公簿面積または実測面積を記載
地目 宅地 宅地、田、畑など登記簿上の地目を記載
接道状況 北側25m 国道
東側12m 市道
道路が敷地に接している方位、道路の幅員、道路の種類(国道、都道府県道、市町村道、位置指定道路、2項道路、道路以外の道)を記載 接道要件を満たさない場合は、再建築不可物件(後述
その他 地勢:平坦

建物に関する情報

建物の構造・種類、延床面積、築年月、間取りなど、建物に関する情報が記載されます。

記載事項 記入例 注記 チェックポイント
構造 木造スレート葺地上2階建
  • 用途にあった構造か(後述
  • 瓦葺の場合、リフォームが必要になることがある
種類 共同住宅 居宅、共同住宅、事務所などを記載
延床面積 298.48平米
建築年月 2000年3月
  • 築年数が経過しすぎていないか(後述
  • 1981年6月以降の新耐震基準に適用しているか
間取り・戸数 1DK 8戸
駐車場 なし ファミリー向け物件や徒歩20分以上であれば敷地内か、車庫証明がとれる直線距離で2km以内に駐車場の確保が必要

法令制限に関する情報

都市計画や用途地域、建ぺい率、容積率など、法令制限に関する情報が記載されます。

記載事項 記入例 注記 チェックポイント
都市計画 市街化区域 市街化調整区域または市街化区域を記載
用途地域 第一種低層住居専用地域 第一種低層住居専用地域など13種類ある
建ぺい率 60% 建築面積÷敷地面積 建築基準法に違反していないか(後述
容積率 200% 延床面積÷敷地面積
  • 建築基準法に違反していないか(後述
  • 容積率に余裕があるか
その他の制限 準防火地域、日影制限:10M以上 5h/3h/4m、高さ制限:15m、○○市景観条例・○○屋外広告物条例あり 防火地域、日影制限、高さ制限などを記載 各制限に違反していないか(後述

設備に関する情報

電気やガス、上下水道など、設備に関する情報が記載されます。

記載事項 記入例 注記 チェックポイント
電気 ○○電力
ガス ○○ガス プロパンガスの場合は「LPG」と記載
上水道 公営水道 接続工事が必要な場合は(接続要)を付記
下水道 公共下水 接続工事が必要な場合は(接続要)を付記
その他 インターネット無料接続 インターネット無料接続の場合、利用料は家主負担のケースがある

収入に関する情報

価格と、賃貸物件の場合は現在の賃料や利回りなど、収入に関する情報が記載されます。

記載事項 記入例 注記 チェックポイント
利回り 5.00% 集合住宅の場合は満室を想定
  • 表面利回りが9%以上か(後述
  • 利回りが相場より低すぎまたは高すぎないか(後述
月額賃料 50,000円

その他の情報

取引形態や仲介・販売にあたる不動産会社、引渡時期などの情報が記載されます。

記載事項 記入例 注記 チェックポイント
取引形態 仲介 売主、代理、仲介(媒介)を記載 仲介の場合は不動産会社に仲介手数料を支払う必要がある
仲介・販売会社名 ○○不動産 取引形態が売主の場合はこの会社が物件を販売、仲介の場合は仲介業者を記載
引渡時期 相談
現況 入居者居住中
その他 告知事項あり
町内会費負担あり
小学校は○○小と△△小が選べます
物件の特徴や伝えたい内容等があれば記載
  • 契約不適合責任が免責されていないか
  • 携帯基地局や電柱が設置されているか(されている場合は副収入源になる可能性がある)

図面や写真

物件概要書には、上記の他に配置図や周辺の見取図、建物の間取図などの図面や写真が付けられていることもあります。その場合は次の点をチェックしてみましょう。

  • 間取り・広さ
  • バスとトイレは別になっているか
  • 収納・クローゼットの広さは十分か
  • 物件の周辺に生活利便施設(スーパー、コンビニ、銀行、病院など)があるか
  • 物件の周辺に嫌悪施設(風俗店、工場、ごみ焼却場、墓地など)がないか

物件概要書からわかる投資に適した物件

投資に適した物件を見極めるためには、物件概要書に記載されている以下の3点を注意して見るとよいとされています。

  • 物件自体が投資対象として適切か(利回りや築年数など)
  • その物件に賃貸ニーズがあるか(交通アクセス、間取り、広さ、設備、家賃設定など)
  • 購入後に大きな修繕コストが発生しないか(設備更新、リフォーム、大規模修繕などの履歴)

これらの観点から投資に適した物件を紹介します。

用途にあった構造の物件

まず物件概要書の建物の構造や建築年月をチェックします。建物の用途に合った構造で、築年数が経過しすぎていない物件を選びましょう。

構造 用途 投資物件に向いている築年数 法定耐用年数
木造 一戸建て、アパート できるだけ新築に近いもの 22年
鉄骨造 アパート、マンション、オフィスビル、テナント・雑居ビル 10年未満
  • 軽量鉄骨:19~27年
  • 重量鉄骨:34年
鉄筋コンクリート造 オフィスビル 25年未満 47年

アパートの場合は、遮音性などを考慮すると木造より鉄骨造のほうがおすすめです。

不動産の耐用年数について詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。

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利回りが高い物件

続いて利回りをチェックします。物件概要書に書かれている利回りは、ほとんどが表面利回りです。表面利回りが9%以上であれば投資物件としては問題ないと思われます。ただし相場よりも高すぎるか、逆に低すぎる場合は注意が必要で、その場合は不動産会社の担当者に原因を聞いてみましょう。

また利回りは表面利回りでなく、購入時や運営時のコストを考慮した実質利回りでチェックするのがおすすめです。計算式は次の通りです。

実質利回り=(年間の家賃収入ー年間の諸経費)÷(物件の購入価格+購入時の諸経費)×100

利回りについては、次の記事でも触れられています。

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入居率が50%を上回っている物件

アパートやマンション、ビルを1棟買いするときは入居率の確認が必須です。50%未満の場合は購入候補から外したほうがよいでしょう。

あわせて3ヶ月以上の長期空室がないか、入居者・テナント同士や周辺住民とのトラブルがないかなども重要なチェックポイントです。

積算価格が物件価格を上回っている物件

積算価格とは、土地を購入してその土地上に建物を建てるといった、実需に着目した価格です。土地と建物それぞれの現在の価格を求めて合算し、さらに修正額を加えて求めます。

積算価格=土地の現在価格+建物の現在価格+修正額

土地と建物の現在価格は次の計算式で求めます。

土地の現在価格=土地の価格×土地面積
建物の現在価格=建築単価(再調達単価)×建物面積×(残存年数÷耐用年数)

積算価格の計算は少し複雑ですが、ネット上にシミュレーターを公開しているサイトがいくつかあるので、それらを利用するとよいでしょう。

積算価格が物件価格よりも高ければ収益性や資産性が高いと見なされ、投資物件としては問題ないとみてよいでしょう。逆に積算価格が物件価格よりも安ければ、融資が受けられない可能性もあるので、購入は慎重にすることをおすすめします。

積算価格については、次の記事でも触れています。

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収益価格が物件価格を上回っている物件

収益価格とは主に不動産投資をする際に、不動産価格を算出するために利用されるもので、購入した物件から得られる家賃などの収益性に着目した価格です。1年間の純収益を還元利回りで割って求めます。

収益価格=純収益÷還元利回り

例えば、1ヶ月の家賃が5万円、諸経費(維持管理費、修繕費、公租公課、損害保険料等)が年間30万円の場合は、次の計算式で純利益を求めます。

家賃収入(5万円×12ヶ月)ー諸経費30万円=純利益30万円

還元利回りは、不動産情報サイトでエリアごとの想定利回りを調べられます。今回は5%に設定して、次の計算式で収益価格を求めてみましょう。

純利益30万円÷還元利回り5%=収益価格600万円

この収益価格が物件価格よりも上回っていれば、収益性が高い物件と見なされます。ただし、収益価格と上記の積算価格の両方が物件価格を上回る物件は、それほど多くはありません。

物件概要書からわかる要注意物件

物件概要書では、不動産を購入する際に注意を要する物件も分かります。ここでは、投資物件やマイホームとするには不向きの要注意物件を2つ紹介します。

違法建築物件(法的瑕疵物件)

ひとつは法律等に抵触している違法建築物件(法的瑕疵物件)です。主に次のような物件が違法建築物件に該当します。

  • 建築基準法:建物の構造上の安全基準や接道義務、容積率、建ぺい率などが基準を満たしていない物件
  • 消防法:火災報知器やスプリンクラー、防火扉など消防設備・防災設備が未設置・未更新の物件
  • 都市計画法:市街化調整区域・用途地域など建築制限があるエリア内の違反建築物

これらは物件概要書だけで見抜くことは難しいのですが、他の情報を組み合わせて分かることがあります。また備考欄に何らかの訳ありの文言が記されている場合は要注意です。

違法建築物件であるかどうかを確認したいときは、物件がある市町村の建築指導課や都市計画課などに相談してみましょう。

容積率についてより詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。

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再建築不可物件

もうひとつは再建築不可物件といって、現在建物を解体・撤去して更地にしたあとで、新たな建物が建てられない土地です。

都市計画区域と準都市計画区域のエリア内は、建築基準法により接道義務が課せられています。接道義務とは「建物が建っている土地は、幅員4m以上の道路に2m以上接している必要がある」というもので、この要件を満たしていないと再建築ができません

再建築不可物件は安く購入できるため人気がありますが、融資が下りなかったり,災害等で建物が損壊した場合は、更地にするしかなかったりするなどのリスクがあるので注意が必要です。

都市計画区域と準都市計画区域については、次の記事でも触れています。

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物件概要書を自分で作るときのポイント

物件概要書は、通常不動産会社が作成しますが、個人間で売買する場合などで自分が売主になったときは、自ら作成することもできます。そのようなときは次のことを心がけましょう。

  • 登記簿謄本や測量図、購入時の契約書類などをしっかり調査する
  • 良い面も悪い面もありのまま記載する
  • 不明な点は「調査中」と記載するか、空白にする

万が一、事実を隠したり、偽りの説明をしたりして物件を引き渡した場合は、売主は民法上の契約不適合責任を問われ、買主から契約解除や損害賠償などを請求される可能性があるので注意しましょう。

まとめ

本記事は物件概要書に書かれている内容や見方、チェックすべき項目などについて解説してきました。物件概要書は、その物件がどのような物件なのかを1枚で表した書類で、物件を探す際や交渉するときなどに役立ちます。

これから不動産を購入しようとしている方や、投資目的で購入しようと考えている方は、この物件概要書の見方に慣れることで、良い物件の見分けができるようになります。ぜひ本記事を参考にして優良物件を探し当ててください。

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