家を購入する目的で住宅ローンの融資を受けるためには、金融機関が設けた審査を通過する必要があります。審査は金融機関によって、またローンの種類によっても異なりますが、ある程度の基準が設けられています。
「住宅ローンでどういったところを見られるのかわからない」「審査に落ちてしまうのではないかと不安」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
本記事では住宅ローンの審査基準を解説します。審査に落ちてしまう可能性が高い人の特徴や、審査通過のポイントについても述べていますので、ぜひ住宅ローンの利用にお役立てください。
住宅ローンの審査基準
住宅ローンの審査では、主に次のような基準を満たすかどうかを判断されます。
- 借入時と完済時の年齢
- 現在の健康状態
- 融資金額と返済負担率
- 購入する物件の価値
- 年収や勤続年数
金融機関によってこれら以外の基準が設けられていることもありますが、上記のような基準を満たすことで通過しやすくなるでしょう。
借入時と完済時の年齢
住宅ローンを借り入れる際の年齢や、完済予定時の年齢は審査に大きく影響します。特にほとんどの金融機関で借入時の年齢は20歳以上、完済時の年齢は80歳未満と設定され、大切な審査基準のひとつになっています。
住宅ローンの融資は返済されることが大前提です。安定してしっかりと返済されるとみなされた場合に融資がされるため、借入時の年齢が若すぎる場合や、完済時の年齢が高齢すぎる場合には審査に落ちてしまう可能性があります。定年退職後何十年も多額の返済が続く計画では、安定した返済が見込まれないと判断されてしまうでしょう。
現在の健康状態
融資金額や年収などに気を取られてしまうことが多いですが、契約者の健康状態は融資に大きく影響します。健康状態に問題があり、働けなくなって収入が見込まれないという点ももちろんですが、住宅ローンの融資に必要な団体信用生命保険への加入が難しいという点で審査が下りない可能性もあるでしょう。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が死亡するなどして返済ができなくなった場合に残債の返済を免除できる保険のことです。保証内容は保険によっても異なり、死亡以外にもガンを患うと免除されたり、ケガや病気での入院に保証がされるものもあります。多くの金融機関は住宅ローンの融資条件に、金融機関指定の団体信用生命保険への加入を挙げているため、保険に加入できる健康状態であることが審査基準となっています。
融資金額と返済負担率
融資金額が収入や年齢に見合っていなければ融資されることはありません。融資金額が見合っていると判断する基準として、返済負担率があります。返済負担率は、年収における年間のローン返済額が占めるパーセンテージのことを言い、次のように計算します。
理想の返済負担率は20%前後ですが、年収の30~35%程度までであれば審査に通りやすいと言われています。住宅金融支援機構が提供するフラット35は、年収400万円以上で負担率35%以下を基準としており、比較的審査がおりやすい住宅ローンと言われています。
返済比率についてより詳しく解説している記事としてこちらもおすすめです。

購入する物件の価値
返済負担率といった条件を満たしていたとしても、購入する不動産の価値が低ければ、融資してもらえない可能性が高いです。それは住宅ローンの仕組みに由来しています。
住宅ローンを利用すると、購入した不動産を担保にする抵当権を設定することになります。抵当権は契約を結んだ金融機関に設定され、もしも返済が滞ってしまった場合に金融機関が不動産を競売にかけることができる権利のことです。金融機関としては、何らかの理由で返済がされず競売にかけた場合、ある程度の価格で売却できなければリスクが大きいため、融資ができません。
担保として価値があるかどうかは、物件の築年数や平米数、立地といったさまざまな要件で判断されます。築年数が経った中古物件や、極小物件といったものを購入するための融資は比較的審査が難しい可能性があるため注意しましょう。
年収や勤続年数
返済負担率を見るという点においても、年収はとても重要な審査基準です。毎月の返済が滞りなくおこなわれるかどうかは、毎月安定した収入があるかどうかで判断されます。毎月の支払額は月収の30~35%程度が理想とされています。
また、勤続年数も重要です。高額の年収があったとしても、就職したばかりであったり、短いペースで転職を幾度も繰り返しているようでは、安定した収入があると判断されず、融資が難しくなる可能性があります。勤続年数は3年以上が基本ですが、金融機関によっては1年や2年という基準を設けていることもあります。就業形態が正社員で固定給であれば比較的有利に審査を進めることができるでしょう。
住宅ローンの審査を受けるときの流れ
住宅ローンの審査は基本的に次のような流れでおこないます。
- 購入する不動産を見つける
- 事前審査を受ける
- 本審査を受ける
- 住宅ローンの契約を締結する
それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
購入する不動産を見つける
前述したように審査は購入する物件の担保評価も見てされるため、物件を見つけないことには審査をすることは出来ません。物件を選ぶなら、返済負担率などを見て審査が通るであろう物件を見つけることが大切です。不動産業者を訪ねて、相談しながら物件探しをおこなうと良いでしょう。
住宅購入を失敗しないために、次の記事も参考になさってください。

事前審査を受ける
住宅ローンの審査は、事前審査と本審査の2回に分けられます。購入したい物件を決めたら、その物件の情報をもとに事前審査に申し込みます。申し込みは金融機関の窓口やインターネット、不動産会社が提携している金融機関であれば不動産会社で可能です。
事前審査では、申込者の年収や勤務状況、物件情報などをもとに審査がおこなわれます。事前審査が通過した時点で、物件購入は売買契約を結ぶ段階にシフトしていくため、頭金や手付金といった初期費用はこの段階である程度用意しておくと安心です。
事前審査の必要書類
事前審査には次のような書類を用意しましょう。会社員と自営業とでは必要書類が異なるため注意が必要です。
- 印鑑
- 本人確認書類
- 収入証明書(会社員:源泉徴収書、自営業:確定申告書)
- 物件情報資料(チラシ、見積書、図面など)
場合によってはこの他の資料が必要になる場合もあるため、詳しくは金融機関のホームページなどを確認しましょう。
本審査を受ける
事前審査を受けて、本審査の申し込みをすると、金融機関との間で住宅ローンの契約を結ぶことができるようになります。事前審査に通過したからと言って、本審査にも必ず通過するというわけではありません。本審査では、事前審査と比べてより詳細な審査がおこなわれます。
審査基準で挙げた申込者の健康状態は主に本審査で扱われるため、事前審査で通過していても基準を満たさなければ審査に通らない可能性もあるため、審査に通らないのではと懸念される点があればあらかじめ不動産会社に相談しておくと安心です。
本審査の必要書類
本審査には次のような書類を用意しましょう。
- 実印
- 住民票
- 申込者の収入証明書
- 連帯保証人の収入証明書
- 自己資金を証明する書類(預金通帳や証書など)
- 購入する物件の資料
物件に関する書類は、購入する物件によって異なります。次の表を参照してください。
物件の種類 | 必要書類 |
土地付き戸建て物件の購入 |
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マンションの購入 |
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土地の購入 |
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新築する場合 |
|
本審査の必要書類も金融機関によって異なるため、詳しくはホームページや窓口で確認しましょう。
住宅ローンの契約を締結する
本審査を通過したら、住宅ローンの契約を金融機関と締結します。住宅ローン契約のことを正式に金銭消費貸借契約兼抵当権設定契約と言い、不備がなければ指定された融資実行日に融資額が振り込まれることになります。
契約から融資実行までは基本的に3日~1週間程度要することが多いです。購入物件を決めてから融資実行まで1ヶ月はかかると考えておきましょう。
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最適な住宅ローンを選ぶ際には、金利、諸費用、保障内容、総支払額などを複合的に比較して決めることが大切ですが、審査申込みは記載する内容も多く面倒で、比較をあまりせずに決めてしまう人は多いでしょう。
しかし、住宅ローンの金額は決して安いものではありません。条件の悪いプランでローンを組んでしまうと、大きな不利益となっていまいます。
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住宅ローンの審査に落ちる可能性が高い人の特徴
続いては、住宅ローンの審査に落ちる傾向のある人の特徴をご紹介します。
- 個人信用情報に問題がある
- 申告内容に嘘がある
- 他にもローンを借りている
このような条件にあてはまるようであれば、何かしらの対策を考えて慎重にローンの利用を進めていく必要があるでしょう。
個人信用情報に問題がある
金融機関が住宅ローンの審査をおこなう際、申込者の個人信用情報を参照します。個人信用情報とは、これまでのクレジットカードの利用記録やキャッシングやローンの履歴が残っている情報のことです。支払いを滞納してしまったり、過度に利用しすぎてしまうと個人情報に傷がつき、審査に不利に働く可能性があります。
しかし、個人信用情報には掲載期間があるため、過去にそういった経歴があったとしても、ローンの審査には影響しないこともあります。自分の信用情報は1,000円程度で開示を求めることができるので、心配であれば事前に確認すると良いでしょう。
申告内容に嘘がある
住宅ローンの契約は金融機関と個人の信用をもとに成り立っています。審査に通りたいからと言って、年収や勤続年数を偽って申告してしまうと告知義務違反となり、審査に落ちてしまいます。審査に通りにくいと思われる申告内容であったとしても、返済期間やボーナス払いといった方法で審査に通る可能性もあります。申告は事実のみをしっかりおこないましょう。
審査を通過するためのポイントについては次の章で詳しく述べていますのでぜひご覧ください。
他にもローンを借りている
カードローンや自動車のローンというようなローンを利用していると、新たに住宅ローンを組むのが難しくなる可能性があります。他に支払っているローンがあると住宅ローンが組めないというわけではありませんが、融資可能額が低くなったり、審査条件が厳しくなってしまうことがあるため注意が必要です。
また、自動車などのローンがなかったとしても、スマートフォンの端末代金などを分割で支払っている場合にもローンがあるとみなされて審査に影響することがあるため気を付けましょう。毎月の支払いを確認して、審査に影響するようなものがないか事前に確認すると安心です。
住宅ローンの審査に通るためのポイント
住宅ローンの審査に落ちてしまう可能性が高い条件に当てはまっても、住宅ローンが組めないということではありません。工夫次第で住宅ローンを利用して家を購入することは可能です。次のようなポイントをおさえると審査に通る可能性が高くなるでしょう。
- 頭金をできるだけ多く準備する
- ペアローンや親子ローンを利用する
- 落ちても他の金融機関のローンに申し込む
頭金をできるだけ多く準備する
頭金を用意して、返済額を減らすことはもっとも単純でわかりやすい審査通過のコツのひとつです。頭金を用意すればするほど毎月の返済額が減るため、将来の計画が立てやすくなるというメリットがあります。また、返済負担率から考えると購入できない物件であっても、頭金を用意することで購入できる可能性もあります。
ただし、物件購入に必要になるのは住宅購入の代金だけではありません。不動産会社への仲介手数料や、引っ越し代など、さまざまな費用が必要になります。返済額を減らすために預金を使い切ってしまうようなことがないように注意しましょう。
ペアローンや親子ローンを利用する
1人の収入では購入したい物件の代金を融資できない場合、夫婦の収入を合わせてローンを組むなどすることでローン審査に通りやすくなります。こういった仕組みのことを収入合算と言います。夫婦ペアローンや親子リレーローンなどがその例です。
収入合算でローンを組むと、自分の収入では利用できないローンを組むことができて大変有用です。しかしその反面、双方に物件の所有権が分けられ、返済もそれぞれが担うことになるためデメリットもあります。夫婦でローンを組むと、離婚した場合に財産分与が困難になったり、どちらかが死亡した場合でも一方の残債しか返済が免除にならないため、その後の生活が厳しくなる恐れがあるでしょう。
また、親子ローンの場合には相続問題がどうしてもつきまといます。収入合算でローンを組む場合には、一方が支払いできなくなった場合にどうするかなど、あらかじめ話し合っておくことをおすすめします。
落ちても他の金融機関のローンに申し込む
金融機関によっても審査基準は異なります。1つの金融機関で落ちたものと同じ条件で審査を申し込んだとしても、他の金融機関では審査に通る可能性があります。
例えば、比較的審査が通りやすいフラット35を利用したり、ネット銀行を利用すると審査に通りやすいです。事前審査が通ったからと言っても必ず本審査に進まなければならないわけではありません。ひとつの金融機関で審査に落ちてしまったからと言って諦めず、複数の金融機関で審査を受けると良いでしょう。
住宅ローンの審査基準に関するQ&A
この記事の最後に、住宅ローンの審査基準に関するよくある疑問とその回答をまとめました。疑問を解消して住宅購入にのぞみましょう。マイナビニュースには住宅ローンに関してさまざまな記事が掲載されていますので、他の記事もぜひ参照してください。
自営業だと審査に通りにくいのか?
収入が固定給である会社員に限定しているローンもありますが、個人事業主だと住宅ローンを組むことができないわけではありません。個人事業主の場合は、会社員とは異なる基準で審査を受けることになります。
自営業主に返済能力があるかどうかは、年間の収入を確定申告書で確認したり、事業を継続してきた年数などで判断します。基本的には2~3年以上は事業を継続していることを基準としていることが多いです。
個人事業主のなかでも、医師や弁護士といった国家資格をもとにおこなう事業の場合には、開業から1年程度でも申し込むことができる可能性もあるため、金融機関に問い合わせると良いでしょう。
審査にかかる期間はどのくらい?
審査にかかる時間は金融機関によっても異なりますが、基本的には事前審査は1日~1週間程度、本審査には1週間~1ヶ月程度の時間を要します。
しかしこれは審査が滞りなくおこなわれた場合で、書類に不備があったり、記入漏れがあったりすると更に時間がかかってしまいます。また、銀行よりも信託銀行の方が審査に時間を要することもあり、融資が難しいと考えられている場合には審査が長引きやすいと言われています。
特に本審査が遅れてローンの締結が遅れてしまうと、不動産の売買契約にも影響が出るため気を付けましょう。
審査基準のゆるい金融機関はある?
審査に申し込むための要件は金融機関のホームページで確認することができますが、実際の審査基準については公表されていません。金融機関によって要件も審査基準も異なるため、審査基準がゆるい銀行やローンも存在します。
また、同じ金融機関であっても、支店やタイミングによって審査基準が厳しかったり、ゆるかったりするため、審査が甘いとされている銀行を選んでも落ちてしまう可能性もあるでしょう。
審査に通りやすい金融機関の特徴をまとめた記事として次もおすすめです。

まとめ
物件の購入には住宅ローンの利用は不可欠でしょう。気に入った物件が見つかっても、ローン審査に落ちてしまっては意味がありません。
住宅ローンを利用するなら、その要件や審査基準をしっかりと確認しておくことが大切です。事前に確認することで自分の申し込み内容に適した金融機関やローンを選ぶことができ、審査も有利に進めることができるでしょう。
金融機関によって審査基準や重視するポイントは異なるため、審査に落ちてしまったとしても異なる金融機関でも審査を申し込むようにしましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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