高齢者が集中する限界集落にある相続予定の家をどうするべきかお悩みではありませんか?もし両親から受け継げる貴重な資産があったとしても、限界集落では土地だけでも活用が難しいことが予想されます。さらに過疎化やインフラの低下の影響もあり、移住すら困ってしまう可能性も高いです。
そこで本記事では限界集落とは何か、その問題について解説します。限界集落にある家の活用方法についてもご紹介するので、お悩みの方は合わせてご覧ください。
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限界集落の基礎知識
限界集落とはいわゆる田舎にある高齢者世帯が集中した地域を指しています。高齢な方が大部分を占めている地域なためインフラが欠けてしまい、不便性や孤立化が問題となっています。少子高齢化社会が問題になっている現代では、少なからず見聞きしたことがある方も多いはずです。
また、その限界集落には明確な定義があり、それに合致する地域が認定されます。そこでまずは限界集落の定義について見てみましょう。
限界集落とは
限界集落を具体的に定義すると、65歳以上の人口が地域の50%以上を占める状態を指します。同時に公共機関や病院、物流などが滞っていたり全く機能していない状態であることも特徴です。この2つの条件が揃うと限界集落と呼ばれる地域ということになります。
そもそもこの定義は1990年代に社会学者の大野晃が提唱したことで広く知れ渡ることになった問題です。都市開発が進むと共に地方の人口流出が進み、地方の高齢化・過疎化が進んでしまったという背景があります。孤立した限界集落をどう救済するのかということは、いわゆる社会問題としても捉えられる事案でもあるでしょう。
つまり限界集落は高齢化と過疎化で社会的共同生活を送るのが困難な地域であり、救済が必要になる孤立社会であるということです。
高齢者の住民が半分以上の集落数
全国的にどれほど限界集落があるのかという現実的な数値は国土交通省も過疎地域現状調査に乗り出しています。
過疎地域現状調査から算出した限界集落のデータは以下の通りです。
高齢者が50%~100%未満 高齢者が100% 北海道 678(17.80%) 23(0.60%) 東北圏 1,561(11%) 87(0.60%) 首都圏 365(15.90%) 14(0.60%) 北陸圏 477(27.30%) 34(1.90%) 中部圏 1,018(26.10%) 44(1.10%) 近畿圏 728(23.20%) 39(1.20%) 中国圏 3,612(28.70%) 217(1.70%) 四国圏 2,264(31.50%) 162(2.30%) 九州圏 2,939(19.70%) 106(2.30%) 沖縄圏 7(2.50%) 0 合計 13,649(21.30%) 726(1.10%) “引用:国土交通省「「過疎地域現状調査」平成28年3月」”
このデータによると高齢者が50%以上を占める集落数は全国で13,649ヶ所、それに加えて100%の地域が726ヶ所あることがわかります。それぞれを合計すると限界集落数が14,375ヶ所、全国的には約22%を占めることになります。目に見えにくいですが、全国的にそれなりの数の限界集落があることがわかるでしょう。
限界集落が生まれる原因
現在、限界集落が生まれる主な原因は全国的な少子高齢化です。医療の発達によって平均寿命は伸びる一方、育てにくい社会であることから子供を持たないという方が増え、高齢者が増えながら若者が増えないという状況が続いています。
地方の集落でもその影響が大きく、高齢化が進む集落は働き口のなさや子育て環境の問題から若者が離れていってしまうのです。この少子高齢化による影響は地方から首都圏にまで及ぶ社会問題なのです。
住民の年齢による人口比の村落区分
社会学者の大野晃が提唱した限界集落の定義では、正確には住民の年齢による人口比の村落区分があり、以下のように定められています。
区分 | 量的規定 | 質的規定 |
存続集落 | 55歳未満の人口が半分以上 | 社会的共同生活を担う次世代の跡継ぎがいる集落 |
準限界集落 | 55歳以上の人口が半分以上 | 社会的共同生活を担う次世代の跡継ぎがいない集落 |
限界集落 | 65歳未満の人口が半分以上 | 高齢化で社会的共同生活の存続が困難と見られる集落 |
消滅集落 | 人口なし | 住民がいなくなった集落 |
“参考:大野晃(2008 )『限界集落と地域再生』p.22、京都新聞出版センター”
つまり、村落区分では年齢比率や社会的共同生活を支える跡継ぎの有無でその集落の状態を判断します。
限界集落の5つの問題点
限界集落の問題点はインフラの維持が困難であること、周辺地域の害獣問題や治安など外敵からの対策が疎かになる点です。さらには食糧難という問題すらある場合もあります。住民が健やかに暮らすための柱を担う人がいないというのは、暮らしていくために必要となる当たり前のことができなくなるという大きな問題にぶつかります。
ここからは限界集落が具体的にどのような点が問題なのかご紹介しましょう。
住民が利用するインフラの維持が困難
限界集落の問題で一番最初に出てくるのは、住民が利用するインフラの維持が困難なことです。高齢化し、人が少なくなった土地では当たり前にあるべきものが利用しづらい・利用できないという問題があるのです。
具体的には例えばスーパーや交通の便という日常的なものから、病院や福祉など住民の健康に関わる部分も損なわれている可能性があります。さらに物流が悪いという面から、郵便や食料なども届きにくい集落も。たとえ農林水産業が盛んな地域だったとしても、高齢化が進むと地域の自給自足も困難になってしまうでしょう。
このようにインフラが衰退してしまうと本来享受できるはずの社会的な生活が損なわれてしまうという問題にぶつかるのです。
周辺地域での獣害や病虫害の増加
高齢化が進んで人が少なくなると獣害や病虫害が増えてしまうのも限界集落である問題です。人が少なくなることで生きとし生けるものが根を伸ばすことは自然なことですが、住民の生活を脅かしてしまうほどであると危険です。特にイノシシやクマなどの害獣が見られる地域については人里に降りてきて人を殺めてしまうこともあるため、特に注視しなければならない問題になります。限界集落ではこのような自然との共存も大きな問題です。
耕作放棄地の増加で食料自給率の低下
高齢化が進むことで農林業を担う人が減り、ゆくゆくは全体的な食料自給率の低下に繋がるという問題もあります。これは集落が平野部から山間部の間にある緩やかな中間地にあり、農林業に非常に向いている地域であることが関係しています。
そのような集落などを含む地域では農林業が盛んに行われ、間伐などが定期的に行われることによって耕作に適した土地が整うのです。さらには山林を間伐することによって海にも良い栄養が渡り、海の生命を豊かになるという節もあります。
そのため、もし高齢化が進んで農林業をする人がいなくなれば、耕作などができない土地になってしまうという問題があるのです。そもそも日本の食料自給率は38%と比較的低いため、放置すればいずれは食の供給に影響を及ぼす可能性が高いでしょう。
災害リスクの増加
高齢化で様々な担い手がいなくなれば、災害リスクも増加することも問題です。例えば土地を管理する人がいなくなれば、豪雨の影響による土砂崩れを予防するのも難しくなります。さらには災害時に住民を誘導したり、危険を伝えることが遅れてしまう可能性もあるのです。人がいないことで事前に避けられるかもしれない危険を予防できないというリスクは少なからずどの限界集落にもあります。
集落の治安の悪化
限界集落ではちょっとしたきっかけで治安が悪化する恐れがあります。何故なら、犯罪者にとっては限界集落のような高齢化が進んで人が少ない地域は犯罪をしやすいからです。空き巣などの泥棒はもちろん、増えた空き家に不法滞在される危険もあります。実際に犯罪グループが集落で空き家を不法に占拠し、違法薬物の製造などで悪用していた事例もあります。そのため、限界集落のような場所では「田舎は安心できる」とは言えなくなってしまう可能性があるのです。
地域が取り組んでいる限界集落の対策
限界集落の地域によってはその問題を解決すべく、様々なアプローチで問題を解決しようと働きかけている場所もあります。
例えば企業を誘致して地域開発を目指したり、イベント開催や古民家経営などで観光地として盛んにできれば人の流入も増えます。現在の住民だけでどうにかするのではなく、外部の人の移住や流入を狙うことで限界集落の脱却を目指すのです。もしそのような需要があれば、相続をした家や土地も活用できる可能性が出てきます。
それぞれの地域が限界集落の対策をどのように取り組んでいるか詳しくご紹介します。
場所にとらわれない企業の誘致
限界集落の対策として場所にとらわれない企業の誘致を狙うという手段もあります。例えば光ファイバー網や太陽光発電などの事業を行う企業なら場所にとらわれることなく、逆に田舎という広大な土地を有効活用できます。
このようないわゆるIT系の企業なら回線などのインフラが整えば、場所に関わらず仕事ができるため限界集落でも人の流入が狙えるのです。実際に過疎地域にIT企業を誘致したことで周辺に飲食店なども増え、地域の活性化と人口増加に繋がったというケースもあります。このように企業の誘致を狙えれば、限界集落の対策となる可能性が高いでしょう。
イベントを開催し知名度アップ
その地域へ人の流入を起こすためには、まずは認知度を上げることも大切です。そこでイベントを開催して魅力をアピールし、知名度をアップさせるという戦略があります。
その地域の特産品や工芸品、景観の良さなどを活用してイベントを行うことで様々な人が地域の魅力を知ることができます。魅力を感じてもらえれば移住者や観光客なども増える可能性は十分あるでしょう。今まで知られてなかった魅力をより多くの人に知ってもらえるきっかけ作りをすることは地方にとっては重要です。
古民家を活用した観光地化
地方の暮らしの魅力は、いわば都心ではもうあまり見られなくなった昔の風情が感じられるところです。そのため、古民家を活用した観光地化を狙うという選択肢もあります。例えば大屋根や武家屋敷といった伝統的な技法で作られた民家を利用し、宿泊施設やカフェなどを経営することで観光客の流入を狙えます。地方の家を歴史的資源としてとらえ、観光地化を狙えれば地域も活発になるでしょう。
また、空き家の上手な活用術についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

限界集落にある不動産を手放す方法
もし限界集落にある不動産の活用が難しいと感じた場合は潔く手放すのも選択肢です。その場合には田舎で実績のある不動産会社に仲介や買い取りを頼むという方法があります。特殊な条件に精通したプロなら、良い売買取引ができる可能性も高くなるでしょう。
また、空き家の活用をしたい人・探している人を引き合わせる制度である空き家バンクという制度を利用するという手もあります。登録することで貸主と借主を引き合わせてくれるので、上手に活用してくれる人が見つかるかもしれません。
不動産を手放す場合のそれぞれの方法を詳しくご紹介します。
実績のある不動産会社に仲介を依頼
不動産を手放すなら実績ある不動産会社に仲介を依頼して、幅広く買い手を探してもらうことが重要です。具体的に言えば地方の家を売買した実績がある不動産会社が好ましいでしょう。
また、不動産会社を選ぶ際には不動産一括査定サイトを使用して優良かつ自身に合った場所を選ぶことも大切です。不動産一括査定サイトを使えばホームページに必要事項を入力するだけで、それぞれの会社に出向いたり問い合わせることなく複数社の査定を行えます。不動産一括査定を行うことで適正価格を知ったり、より良い会社の選定にも役立つのでおすすめです。
おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」

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その他の一括査定サイトや選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

不動産会社による買取
もし買い手が見つかりにくい場合には不動産会社自身に買取をしてもらうという方法もあります。不動産仲介で買主を探すのに比べ、不動産会社に買い取ってもらえるのですぐ資産を精算できます。不動産仲介で成約するまで約1年~だとすると、不動産会社による買取なら早くて1週間で売却が完了するのです。
そのため、不動産会社による買取では、相続した空き家を比較的早く現金化できるという強みがあります。しかし一方で、買取では売却価格が相場の60%~70%と安い傾向があり、その点は注意が必要です。
不動産売却の手引きとしてこちらの記事もおすすめです。

空き家バンクで購入希望者を探す
地方の空き家の売却方法として空き家バンクを利用して購入希望者を探すという手段もあります。空き家バンクとは全国の自治体が主導して、空き家の賃貸・売却情報を発信する制度です。登録することで自治体が空き家情報を買取希望者へ繋げてくれます。
さらに地方自治体によっては補助金が出ることがあるため、改修費用などの負担が軽減される可能性もあります。そのため、このような自治体の制度を最大限に利用して掛かる費用を浮かせつつ売却を目指すのもおすすめです。
空き家の売却に関する情報はこちらの記事もご覧ください。

不動産の相続放棄
負債や相続税の負担が大きく、不動産の相続が難しい場合には相続放棄という方法もあります。相続放棄とは親から受け継ぐ資産や負債合わせ、全ての財産を相続する権利を放棄することです。現金や不動産など一切の資産を相続する権利を失いますが、同時に相続税の支払いや負債を支払う義務もなくなります。
とはいえ相続放棄をしても不動産の管理責任は残るため注意が必要です。空き家を放置すると犯罪に繋がる可能性があるため、近隣の迷惑にならないためにも家を放置してはいけません。相続人が自分しかいない、もしくは相続人全てが相続放棄した場合には受け継がないにしろ家の適切な処理についてはきちんと決めるようにしましょう。
また、もし相続放棄をしたい場合には相続を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申立てが必要です。必要書類の用意など多少なりとも手間がかかるので、なるべく早く進めることをおすすめします。
相続放棄を検討するならこちらの記事もチェックしておきましょう。

限界集落の不動産で気になる疑問
限界集落の不動産を活用しようと思った時、実際に賃貸や開発に需要があるのか不安な方も多いはずです。地方の不動産、しかも限界集落となれば需要も未知数に感じられるでしょう。しかし、限界集落の不動産でも条件さえ揃えば活用先が見つかる可能性は十分あります。
本記事の最後に、限界集落の不動産で出てくる気になる疑問について解説していきます。
賃貸としての需要はあるのか
限界集落でもその場所と不動産によっては自然豊かな土地などが評価され、賃貸として需要が望めるケースもあります。何故なら、地方の風光明媚な環境は都心では得られない貴重なものであるため、定年後にスローライフを望む夫婦などのセカンドハウスに向いているのです。そのほかにも若い世代でも自然に寄り添った田舎暮らしに憧れる方もいるので、賃貸化することで上手く活用できる可能性はあるといえます。
太陽光発電での土地活用は可能か
もし日当たりの良い土地であるなら太陽光発電を利用した土地活用は可能です。しかし、山間部などの場合には木々が生い茂り、日照時間が短くなってしまうため太陽光発電には不利になります。山間ではなく、比較的平野部などの場合であれば太陽光発電に向いているでしょう。
また、その土地が農地であるなら農地転用して活用することも可能です。農地は農地法によって許可なく他の用途での使用ができないため、それを利用して農業をしたい人などに貸したりすることが有効です。
農地の活用方法や太陽光発電の注意事項などについてはこちらの記事もおすすめです。


不動産を放置すると何が問題か
不動産を放置する場合に問題となるのは治安の悪化や老朽化による倒壊などです。すでに前述した通り、空き家では犯罪者の根城となる可能性は捨てきれません。さらには手入れを怠ることで老朽化や積雪によって家が倒壊し、近隣住民へ被害が及ぶ場合もあります。怪我人が出ればそれこそ一大事です。万が一被害が出れば損害賠償を支払う必要も出てくるでしょう。
また、平成26年11月には空き家対策として、空家等対策特別措置法という法律も制定されました。空き家と認定された場合、空家等対策特別措置法に則って行政が助言や指導を行います。その後、改善が見られない場合には最終的に罰金や行政代執行が行われてしまう場合もあるのです。
相続した不動産は必ず活用するか、処分するのか責任を持って決めましょう。
空き家を放置するリスクに関して詳しく解説したこちらの記事もおすすめです。


まとめ
高齢化した限界集落では社会的な生活の維持に問題がある場合も多いです。しかし、地方にある特色を活かして受け継いだ不動産で商売をするなど様々な展開も不可能ではありません。受け継いだ家や土地を活用することができれば限界集落でも有益な資産運用ができます。
とはいえ、もし活用するのが難しいと感じた場合には不動産会社や空き家バンクなどを通して売却し、手放すことも選択肢です。精算することで家を放置してしまうことからも避けられます。遠い土地であったとしても相続する不動産には責任を持たなければいけません。
本記事でご紹介した活用法なども参考に相続した不動産をどうするべきか早めに対処するようにしましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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