一大決心をして家を購入したけれど、お仕事の都合で突然転勤をする必要が出てきたなんて人いるのではないでしょうか?
単身赴任が可能であれば、家の心配をする必要はありませんが、家族と一緒にいられる時間は少なくなってしまいます。しかし一緒に引っ越しをするとなると、残る家の扱いが悩みの種です。
家族と一緒に転勤したあとの家の扱いとして、売るのと賃貸にするのと2択があげられやすいですが、果たしてどちらがよい選択でしょうか?お金に余裕があれば空き家のままにしておけますが、多くの人は維持費を支払いながら、新しい生活費を捻出することは困難です。
そこでこの記事では、転勤をする場合に家を売るのと賃貸にするのは、どちらがよいのかを比較解説します。ぜひ参考にして、それぞれのメリットやデメリットから、将来の収入や生活を具体的に検討してみてください。
※2014,2016,2017年 実査委託先:楽天リサーチより転勤で家を売る3つのメリット
まずは転勤するときに、家を売る場合のメリットを見ていきましょう。せっかく見つけた理想の立地や間取りの家を、手放してしまうのは簡単にできる決断ではありません。しかしこれから紹介する3つのメリットを知ると、考え方は変わるでしょう。
転勤先で家の買い換えができる
家を購入している人の多くは、住宅ローンを組んで毎月支払いをしています。返済比率は、日常生活に支障がでないように設定しているはずですが、そこに新しい家の住宅ローンを上乗せすると、生活費は捻出できないでしょう。
家を売却すれば、売れたお金を住宅ローンの返済に充てることができ、完済すれば転勤先で新居を購入するために、新たな融資を受けやすくなります。うまくいけばこれまでと同等の返済比率で、築年数が新しく立地のよい物件を見つけられるかもしれません。また前回購入した経験を生かし、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。
家の維持費を節約できる
家を購入すると、たとえ空き家にしていても住宅ローン以外に、以下のような維持費がかかります。
- 固定資産税・都市計画税:3,000万円の家で年10万円程度
- 加入している火災や地震の保険料:火災保険だけで年5,000~1万円
- 修繕費(戸建ての場合):屋根や外壁の修繕で80万~130万円(10年に一度)
- 修繕積立金(マンションの場合):年12万~24万円
- 管理費(マンションの場合):年12万~24万円
もし3,000万円の家を売ることができれば、年間で40万~70万円程度の費用を節約できるのです。空き家の空気の入れ換えや掃除を定期的に行うことを想定すると、転勤先からの交通費の節約にもなります。維持費は新しく購入する家でも発生するため、売らずに1軒分を余分に支払い続けることは負担になるでしょう。
家の維持費について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

資産価値低下の不安がなくなる
基本的に家の資産価値は、古くなるほど低下していきます。たとえ周辺の開発が進み、土地と価値が上がったとしても、建物部分の経年劣化は避けられません。戸建てで築30年を超えると、新築のときの3分の1になることもあります。
しかし転勤で家を売ってしまうと、保有し続けることによる資産価値の低下の不安はありません。将来的に、周囲の過疎化が進んだり築年数が経ちすぎたりすると、なかなか売れない可能性も高まり、維持費はかかり続けます。よほど将来も需要が期待できる地域でない限りは、転勤のときに売ったほうが高く手放せる確率が高いでしょう。
転勤で家を売る3つのデメリット
メリットばかりをみて、家を売ることを決断するのは危険です。思ったよりまとまったお金が手に入れられなかったり、元の生活に戻れなかったりして、生活が大きく変わってしまうことがあります。以下で紹介する3つのデメリットも把握しておきましょう。
売った家には戻ってこられない
どんなに思い入れがある家でも、一度売ってしまうと基本的に戻ることはできません。転勤先から2~3年で戻ってくることになっても、新しい所有者が住み続けているため、別の家を探すことになります。数十年後であれば、売りに出されたときに買い戻すことはできますが、そのようなことができる可能性は低いでしょう。
仮に戻ってくるタイミングで売りに出されていても、売ったときの価格で再度購入できる保証はありません。新しい所有者がリフォームをしていたり、周辺地域の開発が進んでいたりすると、より高額になってしまうでしょう。
ただし子供が独り立ちするか、退職して夫婦だけで暮らすようになるほど先であれば、戻ってこられなくてもデメリットにはなりにくいです。その頃になると、暮らしやすい間取りや立地は変わるため、新しく家を探したほうが将来のためになります。
家を売ってローンを完済できない可能性
住宅ローンの支払いが残っている家は、売れたときの代金で完済して抵当権を抹消する必要があります。抵当権が残っていると、滞納により新しい所有者は立ち退きのリスクを抱えるため、購入希望者は現れにくいです。
しかし家が売れたとしても、住宅ローンが完済できない可能性はあります。築年数による劣化や建物の不具合、周辺環境の過疎化などによる価値の低下が原因です。その際の不足分は、自己資金で負担することになるでしょう。それでも不足するようなら、親族に借りるなどして完済を目指してみてください。
家を売るにはお金がかかる
住宅ローンの残高と同じ額で家が売れたとしても、完済することは不可能です。家を売るためには以下の6つの費用がかかるため、購入希望者から受け取ったお金はそのまま手元には残りません。
- 不動産業者に支払う仲介手数料:(売れた価格×3%+6万円)+消費税
- 売買契約書の作成で必要な印紙税:1,000~6万円
- 司法書士に依頼した場合の抵当権抹消費用:5,000~2万円
- 住宅ローンの一括返済の手数料:1~3万円
- 家が売れたときの利益に税金:利益×税率(20.315%~39.63%)
- 引っ越しやクリーニング代:20万~40万円
税金は確定申告などの節税対策で、利益が3,000万円以下なら0円にすることは可能です。しかし、それ以外にも費用が100万円程度かかり、手元に残るお金は売れた価格より少なくなってしまいます。かかる費用を含め、ローン完済に必要な額より価格設定を高くして、売りに出すのが望ましいです。相場とかけ離れた価格設定にさえしなければ、購入希望者は現れてくれるでしょう。
転勤で家を貸す2つのメリット
次に家を貸す場合のメリットについて見ていきましょう。家を売るよりメリットは少ないのですが、長期的な視点で見ると貸したほうがよい場合もあります。
将来貸している家に戻ることが可能
新しい土地に転勤しても、一生そこで暮らす必要はありません。会社の都合で再度の転勤がない場合でも、退職したら住む場所を好きに選ぶことができます。将来賃貸経営をやめて、貸していた家に戻ってくることも可能です。
自分の好きなタイミングで家に戻るためには、定期借地という方法で賃貸契約をしましょう。通常の賃貸契約では、住んでいる人が希望すると契約が自動更新されてしまいます。しかし定期借地なら、指定した期間しか賃貸として利用できず、自動更新はありません。例えば期間を退職予定の年にしておくと、スムーズに家に戻ってこられます。
不労所得で家賃収入がある
家を貸している間は、毎月家賃が収入になってくれます。住宅ローンや維持費は家賃で支払いができるため、自分で住み続けるよりプラスになるでしょう。住宅ローンの支払いが終わると利回りは格段によくなり、老後の大事な収入源になります。
家族で住むことを想定した戸建てや分譲マンションは、一度入居者が決まると、ワンルームマンションより長期での利用が期待できます。頻繁に入居者を募集する必要がなくなり、管理の手間も省けるでしょう。
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転勤で家を貸す3つのデメリット
転勤で家を貸して利益を得るためには、売るときと違い長期で経営を続ける必要があります。順調なら不労所得が手に入り将来的に戻ってこられますが、さまざまな手間やトラブルを完全に避けることは困難です。ここでは、代表的な3つのデメリットについて解説していきます。
空室が続くとローンが支払えない
アパートやマンションの経営と違い、戸建てや分譲マンションを貸出すと、空室が出たら即収入ゼロを意味します。しかし維持費はかかり続けるため、住宅ローンの支払いが残っている内は、貯蓄を崩すことになるでしょう。特に転勤先で新居を購入している人にとっては、負担が重いです。
住宅ローンの滞納が続いた家は、最終的に金融機関によって競売にかけられてしまいます。滞納する前なら、一時的な支払い額の変更などの相談はしやすいです。しかし届いた催告書などを無視していると、残金の一括返済を求められ、相談しても自分に有利な条件で話を進めることは困難になるでしょう。
委託をしないと管理に手間がかかる
家を貸すということは、家賃の回収や家の修繕、空室になったときの募集など、さまざまな手間がかかります。引っ越しが必要なほど遠方への転勤では、自分ですべてを管理しようとするのは無理があるでしょう。特に募集には広告の作成や内覧の対応が必要で、知識を持たない人が実践しても、すぐに新しい入居者が決まることはありません。
家を貸すときに発生する手間は、専門の業者に委託することで大幅に削減できます。自分でやることは、初回の業者の選定と毎月の入金の確認程度です。業者の選定は、かかる費用や管理の範囲などを複数社で比較し、納得できるところにしましょう。
家賃収入は確定申告が必要
これまで給与所得しかなかった人は、毎年年末調整だけで払いすぎた税金は返ってきていました。しかし家を貸していて家賃収入が年20万円以上になると、確定申告する必要があります。修繕費や住宅ローンの利息などは、経費として計上して節税対策もしなければ、損をしてしまいます。
確定申告で問題になるのが、慣れない作業で計算間違いをして、支払う税金を低く見積もってしまうことです。そうなると訂正を求められるだけでなく、過少申告加算税という追加の税金も支払うことになります。
確定申告で不安な点は、税理士や最寄りの税務署の力を借りるのがおすすめです。相談だけなら無料で対応してもらえる場合が多いため、修正などの余計な手間を省くことができます。
家を売るのか貸すのかを決めるポイント
転勤するときに、家を売る場合と貸す場合のメリットデメリットを見てきましたが、どちらにするかはなかなか決められないものです。そこで決めるためのポイントを3つ紹介します。将来どこでどんな暮らしをしたいのかまでイメージして、検討していきましょう。
長期的な収支で得なほうを選ぶ
1つ目の決めるポイントは、長期的な収支でどちらが得をするかです。家を売ると、諸費用を差し引いても住宅ローンを完済できるほどまとまったお金が手に入ります。維持費はかからなくなり、利益が出た場合は好きに使うことができます。
家を貸す場合は、家を売るときと同様のお金を得るまでに、数十年かかることも珍しくありません。利益を優先して家賃を高く設定してしまうと、空室が続くことになるでしょう。家を貸して住宅ローンが残っている内は、大きな利益は期待できませんが、完済してからは売るときよりも得をします。たとえ建物の価値がなくなっても、土地の価値は残り子供への遺産にすることも可能です。
今の家に将来戻ってくる予定はあるのか
2つ目の決めるポイントは、将来戻ってくる予定があるかどうかです。転勤先で長期間過ごすと、今の家がある場所より気に入って、退職後もそこで住みたいと考えることはあります。以下のように確固たる理由がないようなら、売ったほうが人生の選択肢が広がるでしょう。
- 今の家の近くに両親が住んでいて、将来介護などのため戻ってこなければならない
- 先祖代々住んでいる家で、手放したくはない
- 手放すと二度と手に入らないような一等地で、将来も安心できる
なお家を貸すときは、必ず定期借地で契約をしておきましょう。通常の契約では、自分の都合だけで相手を退去させられません。
手持ちの資金に余裕はあるのか
3つ目の決めるポイントは、手持ちの資金に余裕があるかどうかです。業者に管理の委託をして、家を貸すための準備を整えていたとしても、空室のリスクはゼロにすることは困難といえます。家賃収入の有無にかかわらず、住宅ローンや税金、維持費の支払いは続くため、手持ちの資金に余裕が必要です。
現状の住宅ローンの支払いだけで生活に余裕のない人は、家を売って新規で融資を受けたほうが、もしものときでも滞納して家を失うリスクを下げられます。すでに住宅ローンを完済して資金に余裕があるなら、貸したほうが安定した不労所得になってくれるでしょう。
転勤による家の扱いでよくある疑問
転勤による家の扱いは、判断を間違えると取り返しがつかずに一生後悔する恐れがあります。些細な不安もなくすために、よくある3つの疑問について解説していきます。
短期間の転勤なら空き家でも問題はない?
2~3年など転勤が必要な期間が決まっていて、以下の3点が負担にならない場合は、空き家でも問題ありません。
- 住宅ローンや税金の支払いで生活が困窮しない
- 定期的な空気の入れ換えなどが苦にならない
- 子供が転校に納得をしてくれる
短期間での定期借地は利用者を見つけにくく、家賃を相場より下げることになりやすいです。また短期間でも他の人が家を使うため、想定外の傷みもあり得ます。無理に家を貸すよりは手間がかからず、もしものリスクも回避できるでしょう。
相談は誰にしたらよい?
夫婦で話し合うだけでは、決断できない人もいるでしょう。そのようなときは専門家に相談してみてください。
- 賃貸と仲介の売却に対応できる不動産業者
- 住宅ローンを支払っている金融機関
- 不動産に詳しいファイナンシャルプランナー
いずれも相談だけなら、無料で対応してもらえる場合が大半で、それぞれの立場でメリットとデメリットを解説してくれるでしょう。要望を詳しく伝えるほど、類似の事例紹介や具体的な数字でのシミュレーションしてもらえて、イメージを固められます。
家はすぐに売ることはできる?
家は売れるまでに平均で3~6ヶ月程度かかります。ただし、売る家が戸建てで境界が曖昧な場合は、測量が必要でさらに期間がかかる可能性があります。また人気のない物件の場合も、時間がかかると思っておきましょう。
短期間で家を手放したい人は、不動産業者による買取という選択肢もあります。購入希望者を探さないため、買取価格に納得できるのであれば、3日程度で売買が成立します。その代わり仲介での売却相場より、買取価格は安いです。不動産業者が利益を上乗せして再販をするため、少しでも高額で家を売りたい人には向きません。
不動産売却にかかる平均的な期間の目安を詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

仲介で売却をする前には、家はどのくらいで売却できるのか正確な価格を把握しておいたほうが良いでしょう。そのためには、不動産一括査定サイトの利用をし、複数の不動産会社に査定をしてもらうことをおすすめします。
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まとめ
現在家を購入して住宅ローンを支払っている人にとって、転勤をするときの家の扱いは悩みの種です。売るか貸すかで迷っているなら、それぞれのメリットやデメリットを知った上で、以下の3点を基準に検討してみてください。
- どちらが収支で得をするのか
- 将来戻る可能性があるのか
- 賃貸で空室になったとしても、住宅ローンや維持費の支払いが可能か
よく考えないまま家を売ってしまうと、買い戻すことは困難です。家族だけでなく専門家にも相談して、後悔のない選択をしましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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