マンションを売却するなら、より高く売れるタイミングで売却したいものです。マンションの価格の変動は、経済全体の動きや不動産の需要の増減と大きく関わっており、売却に適したタイミングがあります。
仮に同じマンションを売却する場合でも、時期によって価格が変動してしまうため、無計画に売却してしまうと損をすることも。高い金額で売却するためには、そのタイミングを見極めることが重要です。
この記事では、マンションの価格が上昇する要因をもとに売却に適したタイミングや時期を紹介するほか、注意点も解説しています。マンションの売却には多額のお金が動くので、正しい知識を身につけてタイミングを判断していきましょう。
マンション売却の外的要因によるタイミング
一般的に、建物自体の価格は築年数が経過するにつれて下がっていきますが、マンションの売却価格は土地の価格や金利、その他のさまざまな外的要因によって変動します。
ここでは、いくつかの観点から売却にベストなタイミングを解説します。
マンションの成約件数が増える1~3月にかけて
マンションの売却は、購入ニーズが高まる時期が狙い目です。
東日本不動産流通機構が出しているデータによれば、首都圏の中古マンション成約件数は、2017年から2020年に至るまで、1~3月の成約件数が最も多いことが分かります。
1~3月 | 4~6月 | 7~9月 | 10~12月 | |
2017年 | – | 9,479 | 8,791 | 9,018 |
2018年 | 9,884 | 9,339 | 8,686 | 9,308 |
2019年 | 10,268 | 9,679 | 9,406 | 8,756 |
2020年 | 10,071 | 6,428 | – | – |
<参照元:東日本不動産流通機構「Market Watch サマリーレポート 2020年4~6月期>
その要因としては、4月からの新年度に合わせて転勤をする人や、子どもの進級や進学の新生活に備えてマンションを購入する人が多く、需要が高まっていることが挙げられます。
反対にどの年でも、7~9月は成約件数が落ち込んでいます。そのため売却する際は7~9月は避け、成約件数が最も多い1~3月に売却するのがおすすめです。
そうすることによって売値が高いだけでなく、早く買い手が見つかる可能性が高まるというメリットがあります。
ただし、マンション売却を検討している人の中には、そのタイミングでの売却が難しい人もいるでしょう。実際には、結婚や出産をきっかけにマンションを購入する人や、定年退職をきっかけにマンションを購入する人など購入動機はさまざまで、その時期が必ずしも初年度が始まる前に集中するわけではありません。
金利が低い時期
金利が低いときは、金利が高いときに比べてローンの返済総額が安くなり、それを利用してマンションを購入しようとする人が多くなるため需要が高まります。それによってマンション価格も上がるため、高い金額で売却できるでしょう。
仮に3,000万円の35年ローンを組んだ場合は、金利が1%違うだけで返済総額に617万円の差が生じ、毎月の返済額は15,000円も変わってきます。家計にとって、この差は大きいものです。
また低金利のときは「今後また金利が高くなってしまうかもしれないので、今のうちに買っておいたほうが得かもしれない」と、マンションの購入を検討している人の購買意欲が高まります。そのため、金利が低いうちに売りに出すのがポイントです。
新築マンションの価格が上がっている時期
インバウンド需要や土地価格の上昇などによって、新築マンションの価格が上がっているときは、それに伴って中古マンションの需要も高まる傾向にあるため、マンション売却には適したタイミングといえます。
なぜなら、新築マンションの値段が高騰すると予算をオーバーした買い手が新築を諦めて、中古マンションを購入するケースも少なくないからです。新築マンションが高騰すればするほど中古マンションの需要も高まるため、新築マンションの価格に比例して、中古マンションの価格も上昇すると考えていいでしょう。
新築マンションの価格高騰についてはメディアで取り上げられることも多いので、その情報をしっかりとキャッチすることが、マンション売却に適した時期を逃さないポイントになりそうです。
土地の価格が上昇している時期
土地の価格が上昇しているときは、相対的に新築マンションの価格も上昇します。新築マンションの価格が高くなれば、それに比例して中古マンションの価格も上昇するため、売却のタイミングとしてはおすすめです。
なお、土地価格は金利の上昇に連動します。金利が高くなるとローンの返済総額が高くなってしまうため、購買意欲が低下してしまいます。土地の価格が下がっているときは、売値も下がってしまうため注意しましょう。
売却するマンションがあるエリアが再開発される場合
日本経済全体の動きとは関係なく、一帯の再開発によって土地の価格が一気に上昇することがあります。再開発とは、一般的に既成の市街地を再整備することをいい、都市の機能性や移住性の向上にもつながります。
再開発が行われると、商業施設が充実して利便性が高まるだけでなく防災の面でも整備が進み、安全で快適な生活が送れるようになります。そうなるとその地域に住みたい人が増加するので、需要が高まり価格が上がります。そのため、再開発前にその土地にマンションを持っている人は、再開発後に売却することで高値での売却が可能になります。
ほかにも、オリンピックや万博などの大規模イベントが開催される場合も周辺エリアの需要が高まり、土地やマンション価格が上昇する場合があります。しかしその場合は開催後に需要が低下し、価格が著しく下がってしまう恐れがあるため注意が必要です。
マンション売却を考えている方は、周辺エリアの再開発や大規模イベントの予定を確認して、売却の時期のタイミングを考えてみるとよいでしょう。
所有者からみた売却のタイミング
ここからは築年数や税金、ローンの残債の3つのポイントをもとに、所有者からみた売却のタイミングについて解説していきます。
特に築年数はマンションの売却価格に直結するため、売却をするうえで最も重要なポイントになります。少しでも高く売却ができるように、築年数に注目してしっかり下調べをして売却を成功させましょう。
築年数が浅いほうが高く売れる
マンションの売却時期を見極めるのに最も重要なのが築年数です。マンションは築年数が浅いほど、売却価格が高くなります。
~築5年 | ~築10年 | ~築15年 | ~築20年 | ~築25年 | ~築30年 | 築30年~ | |
平米単価(万円) | 97.4 | 87.2 | 75.5 | 68.4 | 64.5 | 49.2 | 51.5 |
<参照元:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況 2020年4月~6月」>
こちらは、東京都の築年数ごとの平米単価を記載した表です。
この表を見ると分かるように、築30年までは築年数が浅ければ浅いほど単価は高く、築30年以上になると横ばいもしくは上昇する傾向が見られます。築25年以上築30年未満のマンションの場合は、築30年以上になったほうが売却価格が高くなる場合があるので、築年数以外の要素もあわせて検討するとよいでしょう。
また、築15年を超えると備え付け設備のトラブルが増えてしまいます。中古マンション購入後すぐに、修繕費がかかるのを嫌がる買主も多いため気を付けましょう。
税金の軽減されるタイミングになったとき
マンションの売却益には、譲渡所得税という税金が課されます。この譲渡所得の税率は譲渡する不動産の所有期間によって異なり、5年超と10年超のタイミングで軽減されるので、所有期間が5年以下より5年超、5年超より10年超のほうが税金の面ではお得になります。
そのため節税が可能になるという点で、所有期間もマンション売却のタイミングを考えるうえでの一つの要素になります。ただしその場合は、売却を遅らせることによる「売却価格下落のリスク」もあわせて検討する必要があります。
なお所有期間は、売却した年の1月1日時点で5年を経過しているかどうかでカウントされるため、注意が必要です。例えば、2015年8月1日にマンションを購入して2020年8月1日に売却した場合は、丸5年が経過しているように思われます。しかし、実際に所得期間としてカウントされるのは2020年1月1日までなので、この場合の所有期間は4年4ヶ月です。
ローンの残債がなくなるタイミング
売却予定のマンションにローンが残っている場合は、そのローンを全額返済する必要があります。
築年数が早ければ早いほど、売却価格が高くなります。しかし、売却時期が早すぎて多額のローンが残っている場合だと、売却金額でローンを全額返済できない可能性もあります。
自己資金で完済できれば問題ありませんが、そうでない場合は、そもそもマンション売却ができない可能性も高いです。したがって、売却価格がローン残債を下回る金額での売却はあまりおすすめできません。必ず売却の前に、売却によって利益がでるかどうかを確認しましょう。
売却するタイミングとしてはローンの残債がなくなったとき、もしくは売却価格と自己資金を合わせた金額がローン残債を上回るときがおすすめです。
マンション売却の値下げのタイミング
マンションを売却中に、値下げをすることは少なくありません。しかし値下げのタイミングの見極めは難しく、この時期を間違えてしまうと多大な損益を被ることになります。
ここでは、2つの観点から値下げの適切なタイミングを解説していきます。
競合物件が増えたとき
当然ですが、近隣に競合物件が登場した場合は、買い手の需要が分散されて売れるチャンスが減ってしまいます。販売が長期に渡ってしまうと売れにくくなってしまうため、ある程度期間を決めて、それまでに買い手がつかない場合は値下げをするのが一般的です。
しかし競合物件が登場した際は、買い手は検討するマンションの数が増えるため、その期間内に買い手を見つけることを考えて値下げをする必要があります。そうなると、必然的に大幅な値下げをすることになるため、その後競合物件が減りそうであれば、そのタイミングで値下げをするのが賢明な判断でしょう。
また競合物件が多くない場合でも、極端に価格の低い物件が近くにある場合も値崩れを起こしやすいため、注意が必要です。
販売が長期に渡りそうなとき
物件情報は新着で世に出たときのほうが、人の目につきやすく注目度が上がります。それと同時に長く販売していると、買い手に売れ残りというイメージがついてしまい、余計に売れにくくなってしまいます。
それを避けるためには「いつまでに買い手が見つからなければいくらまで値下げする」ということを、あらかじめ決めておくべきです。「できるだけ値下げはしたくない」と考えがちですが、長期販売になると買い手がつきにくくなるため、当初の予定よりも大幅に値下げをしなければならないということになりかねません。
値下げをする場合は、周辺の似ている物件の価格をもとに相場を確認して、検討するようにしましょう。
マンション売却で注意すること
さまざまな観点から、マンションの売却に適したタイミングについてみてきましたが、ここでは実際にマンションを売却する際の注意点を説明していきます。
売り出し前にリフォームは行わない
リフォームを行うと、見栄えがよくなり買主の印象もよくなることがあるため、売り出し前にリフォームをしようと考える方も多いでしょう。しかし、安易なリフォームは行わないほうがよいです。
なぜなら、リフォームをすることによって売却価格が大幅に上がるということはなく、仮にリフォーム代を売却価格に上乗せしたとしても、その分買主の負担が増えてしまいます。どうせリフォーム代を支払うのであれば、購入してから自分好みにリフォームしたいという人も多く、そのような人に売れにくくなってしまうのでおすすめできません。
もしどうしてもリフォームをしたいという場合は、不動産会社に相談をしましょう。
信頼のおける仲介会社と契約をする
マンション売却を初めてする人にとっては、分からないことや不安なことが多いのではないでしょうか。また、さまざまな要因で売却価格が変動する中で、競合物件の情報収集することや最適なタイミングを見極めることは、なかなか難しいかもしれません。
そこで熱心に売却活動をしてくれて、相談に乗ってくれるような信頼のおける不動産業者と契約することが重要です。中には悪徳な業者もいるため、必ず複数の業者を比較して騙されないように注意しましょう。
一括査定をしてから不動産業者を決める
不動産業者を決める際は、まず所有マンションの適正な売却価格を知るために、1社だけでなく複数の業者に査定をしてもらってから不動産業者を決めるようにしましょう。
複数の業者に査定をしてもらうことで、所有マンションのおおよその売却価格の相場を知ることができます。無料で一括査定をしてくれるサイトや不動産業者もあるため、それらを活用するのも一つの手です。
査定の金額ももちろん重要ですが、なぜその査定なのかという根拠も重要なポイントです。査定額の根拠について具体的な説明をしてもらい、納得できる不動産業者を選びましょう。
一括査定をしてくれるサイトは数多くありますが、今回おすすめしたいのは、優良な不動産業者に特化して査定依頼ができるすまいステップです。
おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」

- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
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一括査定サイトに関してより詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。

時間の余裕をもって売り出す
一般的にマンションの売却には3~6ヶ月かかるといわれています。時間に余裕をもって売り出さないと、早く売りたいがために売却のタイミングを見誤ってしまう可能性があります。また売却価格を相場よりも安く設定しなければならない場合もあり、結果的に損をしてしまうこともあるので注意が必要です。
反対に売却スケジュールに余裕があれば相場よりもやや高めに金額を設定し、できる限り高い価格での売却を試みることもできるので選択の幅が広がるでしょう。
マンションを売却する際は、あらかじめスケジュールを練っておくことが重要です。高額な取引になるので、1年で売却価格が高くなる1~3月の売却を目指すのであれば12月くらいから売却準備をし、スケジュールに余裕をもって売り出すようにしましょう。
タイミングを見極めて売却をしよう
マンションの売却価格には季節や築年数が大きく関わってきますが、ほかにもさまざまな要因が重なり合って売却価格は変動するため、必ずこのタイミングで売却するべきとはいえないのが現状です。
売却時期を見誤ってしまうと損をしてしまうため、慎重に検討する必要があります。個人ではその見極めが難しいこともあるため、信頼のおける不動産業者との契約することも重要です。
タイミングをしっかりと見極めることで、有利な条件で売却できたり早く買い手が見つかったりする可能性があります。積極的に情報収集をし、より高い売却益を得てマンション売却を成功させましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
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