「不動産を売却して早く現金が欲しい」と思っていませんか?近年は「土地を相続したものの使う予定がない」「固定資産税の負担を避けるために古くなった家を早く売りたい」などの事情から、不動産の買取を希望する人が増えています。
不動産の買取は、業者に買い手を見つけてもらう仲介に比べて手数料がかからず、契約不適合責任を負う必要がないなどのメリットがあります。ただし、売却価格が相場よりも安くなってしまうので、自分の状況に合わせて最適な売却方法を選択することが重要です。
本記事では、不動産を即金で売却するための方法について説明するとともに、不動産買取のメリット・デメリットについて詳しく解説します。現在、不動産の即時買取を考えている人は参考にしてください。
不動産を即金で売却する方法
不動産を売却して即金を得る方法として、次の2つがあります。
- 買い取り業者に即時買取を依頼する
- 不動産会社に買取保証を依頼する
どちらも不動産業者の買取サービスですが、売却できる金額や現金を得られるスピードが違うので、自分の状況に合わせてどちらかを選択しましょう。以下で、それぞれの方法を解説します。
買い取り業者に即時買取を依頼する
即時買取とは、売却したい不動産を買取に対応している不動産業者に、直接買い取ってもらう方法です。不動産会社との交渉が終われば即座に買取が完了するので、可能な限り早く現金を手に入れたい人向けですが、相場より安い価格で売ることになります。
本来、戸建てやマンションの売却は、不動産会社に仲介を依頼して買い手を見つけてもらいます。しかし、即時買取では不動産業者に直接買い取ってもらうので、不動産売却代金をすぐに受け取れることが特徴です。
即時買取がおすすめな人
即時買取は、たとえ相場より2~3割程度安い売却価格になったとしても、できるだけ早く不動産を現金に換えたい人におすすめです。具体的には、次のような事情がある人が即時買取を選ぶケースが多いです。
- 借金の返済や生活費を捻出するために、現金がすぐに必要な人
- 転勤などが決まっていて売却活動に時間を割けない人
- 仲介手数料など不動産売却にかかる経費をかけたくない人
- 不動産が遠方にあり、売却活動のために頻繁に行き来したくない人
- 土地を売るために建物のリフォームや解体が必要だが、費用の捻出が難しい人
このようにさまざまな事情が考えられますが、売却にかけられる時間が限られている場合や、手間をかけずに手っ取り早く不動産を売りたいといった理由で、即時買取を選択する人が多いです。
不動産会社に買取保証を依頼する
買取保証とは、期間限定で不動産会社に売買の仲介を依頼し、その期間内に売れなかった場合は、相場に近い金額で不動産会社に買い取ってもらう方法です。不動産会社による仲介と、即時買取の間をとったようなサービスといえるでしょう。
仲介で一定期間売れなかった場合には、事前に決めておいた価格で不動産会社が買い取ってくれるので、不動産がいつ売れるのかわからない不安を解消できます。
即時買取は不動産をすぐに現金に換えることができますが、相場よりも安く売却することになります。一方、買取保証は即現金化できるわけではないものの、比較的短い期間で相場に近い価格で売却できる可能性が高いです。
買取保証がおすすめな人
次のような事情がある人には、不動産会社の買取保証がおすすめです。
- 不動産を現金化したい時期が決まっている人
- 新居に引っ越す時期が決まっており、それまでに古い家を売りたい人
- 不動産を相続したので、できるだけ早く現金化して財産分与をしたい人
- 結婚や離婚などの理由で、今住んでいる家を確実に売りたい人
即時買取ほど早急に現金が必要なわけではないものの、一定の期限までに現金化しておきたい人や、すでに新居への引っ越しが決まっていて、それまでに住んでいる住居を売りたい人などにおすすめです。
即時買取ほど現金化できるスピードは早くありませんが、相場に近い値段で確実に売れるため、買い手がつかずに不要な資産として残ってしまうリスクを避けられます。
不動産を即金で売却するメリット
次に、不動産を即金で買い取ってもらうメリットについて具体的に解説します。
- すぐに現金化することが可能
- 仲介手数料が無料になる
- 周囲の人に知られずに売却できる
- 内覧の準備が不要
- 契約不適合責任を負う必要がない
- 確実に売ることができる
すぐに現金が手に入ることはもちろん、不動産会社に支払う仲介手数料を負担せずに済み、契約不適合責任などの不動産売却における売主の責任を回避できるといった付随的なメリットもあります。それぞれみていきましょう。
すぐに現金化することが可能
不動産会社に仲介を依頼した場合は、売却するまでに3~6ヶ月はかかりますが、買取の場合は1ヶ月程度で現金を手に入れることができます。特に即金買取の場合は売却金額で合意できれば、即日の支払いにも対応してくれる業者もあるので、すぐに現金が必要な場合にもおすすめです。
仲介手数料が無料になる
不動産を直接買い取ってもらう形式のため、仲介手数料が発生しないこともメリットです。
通常、仲介手数料は「売却価格×3%+6万円」を上限として、所定の金額を売買契約時と物件の引き渡し時に、不動産会社に支払うことになります。そのため、法的に決められた上限に至るまでは、売却金額が大きくなるほど多額の仲介手数料を支払わなければなりません。
一方、買取業者と直接取引をすれば、仲介手数料や物件の広告にかかる費用などが一切かからないので、売却時の諸費用を安く抑えることができます。不動産売買における仲介手数料の上限額や計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

周囲の人に知られずに売却できる
不動産の買取を選択すれば、周囲に売却することを知られずに済みます。仲介の場合は、不動産会社が売却する物件を情報誌や折り込みチラシ、インターネット上の物件情報などに掲載するため、第三者に売却することが知られてしまうかもしれません。
しかし買取の場合は、基本的に買取業者に物件情報を開示するだけでよいので、近所の人に知られずに買い取りが完了します。不動産の売却に関して、余計な噂を立てられたくない人におすすめです。
内覧の準備が不要
内覧の準備が不要な点も買取のメリットです。不動産会社を通じて他人に物件を売却する場合は、内覧のために部屋の掃除をしたり、壊れている部分を修復したりする必要があります。
特に遠方にある不動産の場合は、内覧の準備に大きな手間がかかってしまうでしょう。不動産を買い取ってもらう場合は、現状のままで構わないため時間やコストの節約にもなります。
契約不適合責任を負う必要がない
仲介売買の場合は、売主が買主に対して契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を負わなければなりませんが、買取では、売主に契約不適合責任が問われる心配はありません。
たとえば、売却した物件にシロアリの被害や設備の故障、雨漏りなどの問題が判明した場合には、通常なら売主が引き渡し後の3ヶ月間は補修や修理をしなければなりません。しかし買取の場合は、不動産会社が物件に問題があった場合の責任を負います。
業者側もそのリスクを負う覚悟で買取をしているので、元の売主は物件の引き渡し後の責任をすべて免除してもらうことが可能です。
確実に売ることができる
物件を確実に売ることができるのも、不動産会社に物件を買い取ってもらう大きなメリットです。仲介の場合は売却の話が進んでも、途中で購入希望者が契約を辞退するケースや、売買契約後もローン特約によって契約が解除されてしまうリスクがあります。
一方、買取は相応の資金力をもっている不動産会社が買主になるため、仲介での個人間売買に比べて信用力が高く、契約解除のリスクはほとんどありません。
不動産を即金で売却するデメリット
不動産の即金売却は多くのメリットがありますが、次のようなデメリットがあることも知っておかなければなりません。
- 仲介と比べると売却価格が安くなる
- 買取対応業者が見つけにくい
- 買取価格が適正価格か判断しにくい
- 築浅物件には向いていない
即金売却は、仲介による売買に比べて売却価格が安くなる点は、必ず知っておく必要があります。また業者が買い取る価格が適正かどうかが判断しにくい場合や、そもそも買取に応じてくれる業者が見つからない可能性も考慮しなければなりません。以下で詳しくみていきましょう。
仲介と比べると売却価格が安くなる
不動産を即金で売却する場合は、相場の70~80%程度の価格になることが一般的で、仲介と比べると買取価格がかなり安くなります。
買取業者は、物件の修繕や所有権移転登記にかかる費用、物件が売れなかった際の管理費用などを考慮して買取価格を出します。そのため、仲介によって個人に不動産物件を売却するよりも、どうしても低価格になりがちです。契約不適合責任の観点からいえば、不動産業者が負う物件のリスク分が、買取価格に反映されているともいえるでしょう。
特に立地が悪い物件や、設備が老朽化して大規模な補修が必要な物件などは、相場の半額以下でしか売れない場合もあります。即金を得られる分、買取価格で妥協しなければならないケースが多いことは覚えておきましょう。
買取対応業者が見つけにくい
物件によっては、買取に応じてくれる業者が見つけにくいことがあります。特に大手不動産業者の多くは、買取に対応はしているものの、築年数や専有面積、間取りなどに条件をつけていることが多いです。
買取業者も売れない物件を買い取るわけにはいかないため、条件を満たさない物件を売却したくても、買取業者を見つけること自体が困難なケースは珍しくありません。複数の不動産会社に査定を依頼するなどして、買い取ってもらえる業者を探しましょう。
買取価格が適正価格か判断しにくい
買取業者の提示する金額が、適正価格なのかを判断しにくいこともデメリットといえます。即金売却は、基本的に業者の言い値で交渉することになるため、買取価格が本当に適切なのかは、不動産鑑定の素人である売主には判断がつきにくいでしょう。
万が一、業者が不当に安い金額を提示してきても、相場感覚のない売手は黙って了承するしかありません。業者のいいなりになるような事態を回避するためには、不動産一括査定などを活用して、複数の買取業者に見積もりを出してもらうのが有効です。
築浅物件には向いていない
即金で売却することは、仲介ではなかなか売却しにくい築年数の古い物件のほうが向いています。当然、古くて人気のない物件は売れないリスクもあります。一方、築年数の浅い物件はリフォームや設備の修理なしでも売れることが多く、仲介のほうが大幅に高く売れるケースは珍しくありません。
すぐに現金が得られるからと、築浅の物件を買い取ってもらうと損になる可能性が高いです。そのため、どうしても即金が必要というわけでなければ、仲介による不動産の売却も検討するようにしてください。
不動産を即金で売却するときのポイント
続いて、不動産を即金で売却する際の3つのポイントについて解説します。
- 買取の得意な業者を選ぶ
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 不動産一括査定サイトを利用する
まず、不動産の買取に慣れている業者を選ぶことが重要で、適正な買取価格を知るためにも、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。そのためには、不動産一括査定サイトを利用すると便利です。それぞれ解説していきます。
買取の得意な業者を選ぶ
できるだけ不動産を高額で買い取ってもらうためには、業者選びが重要です。不動産会社によって得意分野は異なり、業者によって提示してくる買取金額にも幅があります。一般的に、買取の得意な業者のほうが高い金額で買い取ってくれるケースが多いので、事前に業者のWebサイトなどで買取実績を調べておきましょう。
基本的には買取実績が豊富なことをアピールしている業者や、もともと買取を専門にしている業者に依頼するとよいです。
複数の不動産会社に査定を依頼する
買取を依頼する際には、複数の不動産業者に査定を依頼するようにしましょう。査定結果を検討して、信頼できると判断した業者に依頼することをおすすめします。多くの業者は、無料で不動産の買取見積もりをしてくれるので、まずは大体の価格を確認してください。
ただし、業者が提示してくれる買取見積額はいわば予想額であり、実際の買値とは違う場合も少なくありません。業者によっては契約獲得のために、実際の不動産価値よりも高く見積もる可能性もあります。
査定の段階では大まかな相場を知るに留めて、業者が査定してきた金額を信じすぎないようにしてください。特に相場とかけ離れて高い金額を出してきた業者は、顧客を獲得するために、買い取るつもりのない金額を提示している可能性があるため注意しましょう。
不動産一括査定サイトを利用する
各不動産会社が出してきた買取価格が適正であるかを調べるために、買取専門の不動産一括査定サイトで査定額を算出してもらいましょう。複数の業者の査定額を比較し相場を確認することで、買取業者が見つからないという事態を回避でき、適正価格を提示している業者を見分けることもできます。
買取専門の一括査定サイトもたくさんあるので、できるだけ中堅から大手まで幅広い事業規模の業者に、査定を依頼できるサイトを選択するとよいです。
\ 厳選した優良会社に査定依頼 /
査定が初めての人におすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」
すまいステップで一括査定する
一括査定サイトに関してより詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。

不動産の即金売却に関するQ&A
最後に、不動産の即金売却に関してよくある質問と回答をみていきましょう。
住宅ローンが残っていても即金売却できる?
不動産の住宅ローンが残っている状態でも、何とか売却して現金を手に入れたいという人は少なくありません。
不動産の買取価格が住宅ローンの残額を上回っていれば、住宅ローンが残っている状態でも不動産の買取をしてもらえます。逆に、買取価格が住宅ローンの残債を下回っている場合は、不足分を補填するために現金を用意しなければなりません。
買取できる場合は、決済時に売却金額のなかから住宅ローンの残額を返済し、そのまま抵当権の抹消と所有権移転登記をする流れになります。
即金売却に必要な費用は?
不動産を業者に直接買い取ってもらう場合は、仲介時のように手数料や物件の広告にかかる費用などは不要です。ただし、それ以外に登記費用や印紙税、売却金額に応じた譲渡所得税などの税金がかかります。
また自宅を買い取ってもらう場合は、引っ越し費用や家財道具の処分費用なども考慮しなければなりません。不動産売却で発生する費用に関して、詳しくはこちらの記事で解説しています。

まとめ
不動産の即時売却は、スピーディーに現金を手に入れるのに有効な方法です。仲介手数料がかかりませんし、周囲に知られることなく不動産の売却が可能になるなど、多くのメリットがあります。
ただし、仲介による不動産売却と比べると売却価格が安くなり、業者が提示する買取価格も適正かどうかが判断しにくいデメリットもあります。そこで、不動産一括査定サービスなどを利用して事前に買取相場を把握しておき、信頼できる買取業者に依頼することが重要です。
早急に現金が必要というわけでなければ、仲介による不動産売却のほうが高く売れる分、有利になる場合もあります。よって自分の状況に合わせて、仲介か買取かを慎重に選択するようにしましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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