不動産売却は、人生で何度も経験するライフイベントではありません。多くの人は初めてのことばかりで、戸惑いを覚えるでしょう。特に売却に関連した手続きや税の支払い方法は、複雑で難しいと感じるものです。
そこでこの記事では初めて不動産売却を行う方向けに、売却で失敗しないために知っておきたい注意点を徹底解説するほか、売却時によく抱えがちな疑問点についても取り上げて、すっきり解決していきます。ぜひ最後までお読みいただいて悩みを解消し、不動産売却を成功させましょう。
大事な不動産の売却に必要な基礎知識
手始めに不動産売却の基本的な知識を取り入れておきましょう。知っておくべきは、売却までの流れと不動産処理方法です。一般的な不動産売却の流れから詳しく解説して、ケース別に行える不動産処理方法も紹介します。それでは早速見ていきましょう。
仲介での不動産売却の流れ
土地や戸建て、区分マンションを売却するときには次の手順で行われます。
- 不動産売却についての知識をつける
- 不動産業者に査定してもらう
- 不動産業者と媒介契約を結ぶ
- 広告を出して買主を探す
- 買主からの支払い
- 物件の引き渡し
- 所得の申告を行う
基本的に不動産売却は上記の流れで行われ、必要に応じて追加の手順を踏みます。誰でも大事な不動産を高値で売却したいと思うものです。そのためには、流れを含めた不動産売却の知識をつけておく必要があります。また、物件の状態についても詳しく知っておくべきでしょう。
情報を集めたらどれほどの価値があるのかを査定し、不動産業者と媒介契約を結んで買主を募ります。買主がみつかったら、支払いと同時に物件を引き渡します。また忘れてならないのは売却で出た利益の確定申告です。申告まで行って、初めて不動産売却を終えたことになるので確実に行いましょう。
以下の記事では、不動産の種類別で売却の流れを知ることができます。ぜひ合わせて読んでみましょう。



不動産売却の必要書類
不動産売却時に必要になる書類についても、把握しておくことは大切です。準備すべき書類は、以下3つの分野に分けられます。
- 売主についての書類
- 権利やお金についての書類
- 不動産についての書類
いつ、どの書類が必要になるかをあらかじめ知っておけば、慌てることなく手続きを行えます。次にあげる一覧表で、必要になる書類とその時期を確認しましょう。
書類名一覧 | 必要になる時期 |
|
媒介契約の時~引き渡しのときまで |
|
媒介契約のとき |
|
売買契約~引き渡し時 |
これらの書類がどのようなものか、またはケース別に必要な書類を知りたい場合は、以下の記事を参考にすることをおすすめします。

ケース別不動産の処理方法
不動産売却を行うときにはどれほどの期間で売却したいのか、なぜその不動産を処理したいと思っているのかによって、その処理方法も変わってきます。ときには、売却をしないという方向で進められることもあるでしょう。
続く部分では、すぐに売りたい場合と一時的にその不動産を使用しない場合に焦点を当てて、処理方法を解説していきます。
すぐ売りたいなら買取
売却までのスピードを求めるなら、不動産会社に直接物件を買い取ってもらうことができます。「買取」と呼ばれるこの方法は、さらに以下2つの種類から選択可能です。
- 即時買取
- 買取保証
即時買取は不動産会社に訪問査定を行ってもらい、その査定額で引き取ってもらう方法です。査定に来てもらいさえすれば、買取金額が算出されるのを待つのみなので、早くて3日、遅くても1カ月で売却が完了します。
一方、買取保証は不動産会社と媒介契約を結び、その期間内に成約できなければ、不動産会社があらかじめ提示していた額で引き取る方法です。一般に媒介契約は3カ月で期限を迎えるため、買取保証の場合は売却までに最長3カ月かかる可能性があります。即時買取に比べると期間は長めですが、媒介契約期間内に買主がみつかれば、不動産会社の買取価格よりも高く売却できることがメリットです。
紹介した2種類の買取方法は、すぐに現金化したいという人におすすめですが、仲介による売却に比べるとそれほど高い金額で売却できません。売却相場よりも10%~30%ほど、割安になってしまうことを知ったうえで利用するようにしましょう。
以下の記事では、不動産買取を利用するメリットとデメリットを詳しく解説しています。ぜひ一読してみましょう。

一定期間不在なら賃貸
転勤を理由に不動産の処理で悩んでいるなら、近い将来戻ってきたときのために、売却せずに残しておく方法を検討できるでしょう。賃貸として貸し出せば、毎月決まった額の不労収入が得られます。
賃貸として貸し出す前に、まず転勤年数を考慮しましょう。もし不在期間が数年であれば、期間を決めて賃貸として貸し出せます。しかし、長期間になったり戻る予定が立っていなかったりした場合には、期間を決めずに貸し出すことも可能です。
賃貸の方法には、以下3つの種類があります。
- 定期借家契約
- サブリース
- リロケーションサービス
定期借家契約とは、通常の賃貸契約とは違って貸主が自由に期間を設定できる賃貸方法です。期間が決まっているため、借主が居座り続けるということもなく安心して貸し出すことができます。しかし問題となるのは空き家のリスクですが、それを解消できるのがサブリースといえます。
サブリースは貸主と借主との間に不動産会社を入れ、貸主が不動産会社から家賃を受け取る方法です。通常の賃貸方法とは違い、貸主が不動産会社に貸し付けているという位置づけなので、たとえ空き家になっていても確実に家賃を受け取れます。ただし不動産会社へ支払うマージンとして、20%ほど家賃から差し引かれてしまうことはデメリットでしょう。
リロケーションサービスとは、定期借家契約とサブリースの両方を取り入れた賃貸方法です。期間を決めつつも、サブリースのように業者への貸し付けを行いますが、管理会社への貸し出しになるという違いがあります。
リロケーションサービス利用で注意したいことは保障内容です。管理会社によっては、空き家が出た際の家賃を支払わないケースもあるので、契約内容をきちんと確認して管理会社を選ぶようにしましょう。
売却と賃貸で迷っているという人は、ぜひ以下の記事で売却と賃貸のメリット・デメリットについて読んでみましょう。自分が不動産を処理したい理由に合った方法を選ぶ助けになります。

不動産売却で重要な査定と業者選びのコツ
どのような不動産業者を選ぶかは、買主とのよい出会いを引き付けるうえで重要な要素の一つです。できるだけ多くの業者情報を集めておけば、自分に合っていて信用のおける業者を決める判断材料となるでしょう。
ここからはおすすめしたい査定のコツ3つと、業者の上手な選び方や締結できる媒介契約の種類について詳しく解説していきます。
まずは便利な一括査定サービスを活用しよう
一括査定とは、インターネットを使って複数の不動産会社に査定依頼ができるサービスですが、とても手軽に行えるので特に不動産査定初心者におすすめです。無料で利用できる点も、人気の理由のひとつでしょう。一括査定は、以下の内容を入力して資産価値を測ります。
- 築年数
- 間取り
- 所在地
- 広さ
また、一括査定で行える査定方法は2種類あり、それぞれ簡易査定、訪問査定と呼ばれています。以下の表で各査定方法の特徴を見ていきましょう。
簡易査定 | 訪問査定 |
|
|
不動産を本格的に売りに出したいときには、まず簡易査定で大まかな金額を把握し、その後訪問査定を行って正確な金額を割り出します。
その他の一括査定サイトや選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

必ず複数の不動産会社に査定してもらう
一括査定サイトを利用すると、複数の不動産会社に査定してもらえます。なぜ複数に依頼する必要があるのかというと、1社のみの査定結果では本当の市場価格を把握できないからです。
査定額は、あくまで査定を行った不動産業者が算出したものなので、他業者の査定額と違うということが起こりえます。よって、その査定額が本当に相場に合っているのかを知るためには、複数の業者から査定してもらい比較することが大切です。
ほかにも、各業者の特徴を知ることもできます。価格の妥当性や信用度を知るためにも、必ず複数の不動産会社に査定してもらいましょう。
おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」

- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
- 悪徳業者が徹底的に排除された査定サイトを使いたい
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すまいステップで一括査定する
査定で見られるポイントとは
査定では、以下の点を調査して金額を割り出します。
調査項目 | 概要 |
築年数 | 法定耐用年数により査定が行われ、築20年を超えると価値が下落する |
内装 | クロス、床材の状態や、水回りの状態をチェックし、付加設備があれば価値にプラスされる |
立地 | 日の出・日の入りの位置や、土地の形、道路と面しているかをチェックされる |
地域の状況 | 買い物や交通に便利か、公共施設は近いかなどが考慮される |
所有者の確認 | 登記簿謄本や、登記事項証明書によって行われる |
境界線の位置 | 確定測量図をもとに確認 |
主にこれらの点を調査し、その不動産がどれほどの価値があるのかを見極めます。訪問査定までには、できる限り価値を高めるための対策を行いたいと考えるでしょう。
以下の記事ではハウスクリーニングはどれほど効果的か、またより魅力的に見せるために行えることを紹介しています。合わせて一読してみましょう。

自分でも相場を把握しておこう
具体的な相場は、何も査定額のみで把握できるわけではありません。公的な価格指標である時価公示価格、基準地価格、路線価は自分で相場を測るのに役立ちます。
時価公示価格 | 基準地価格 | 路線価 |
国土交通省が毎年発表する土地の評価額で、全国2万箇所以上に設定されている | 都道府県が調査して割り出した地価で、不動産取引で参考にする目的も含んで公表される | 国税庁や市町村が発表している宅地の評価額で、主に税金割り出しのために用いられている |
上記の指標は、あくまで大まかな金額を知る手助けとなるものですが、不動産所在地域の価格を調べるのに役立ちます。では、これらの情報はどのように手に入れられるのでしょう。
時価公示価格と基準地価格を確認できるのが、土地総合情報システムです。国土交通省が運営しているため、信頼できる情報が得られます。また、路線価図は国税庁ホームページで調べられます。もし直近の不動産取引事例を確認したいなら、レインズマーケットインフォメーションもおすすめです。このサービスでは、戸建てとマンションの実際に取引された情報を検索して閲覧できます。
相場を把握しておけば、買主が見つかりやすい適切な価格設定を行う基準にもなります。これらの指標を大いに活用して、相場感をつかんでおきましょう。
査定後の不動産業者の選び方
査定してもらう際は、以下のポイントを用いてよい不動産業者を見極めましょう。
- 納得できる査定理由を提示できるか
- 簡易査定での受け答えは丁寧か
- 売買実績はどれほどか
- 他不動産業者の特徴もよく知っているか
- 訪問査定は業者自ら行っているか
これらは業者の質を図るための要素になるので、ぜひチェックリストとして活用しましょう。また以下の記事では、後悔しないための業者選びのポイントをさらに詳しく深堀しているので、合わせて読むことをおすすめします。

売却の仲介をする会社と媒介契約
無事に信頼できる不動産会社を見つけたら媒介契約を結びますが、契約には3つの種類があり、それぞれ違った特徴があります。以下の表で各媒介契約の特徴を見ていきましょう。
媒介契約の種類 | 特徴 |
一般媒介契約 | 複数の不動産業者と契約でき、個人で売買契約を結ぶこともできる。契約期間は規定なし。 |
専任媒介契約 | 1社のみと契約を交わす。個人で売買契約をすることは可能。契約期間は3カ月。 |
専属専任媒介契約 | 1社のみでの契約で、個人での売買契約も不可。契約期間は3カ月。 |
一般媒介契約は自由度が高く、専任媒介契約、専属専任媒介契約は制約が課せられています。しかし、一般媒介契約には制約がないためのデメリットがあり、制約がある2つの契約にはそれなりのメリットも存在します。
以下に挙げた記事では、各媒介契約の特徴についてさらに詳しく解説しているので、合わせて読むとより自分のニーズに合った契約を選べるでしょう。



不動産売却に適したタイミングとは
ここまで、不動産売却の基礎知識や不動産価値を調べる方法、業者の選び方を紹介してきましたが、いつ不動産を売り出すと売れやすいのかを把握しておくことも大切です。
次に紹介するのは、不動産売却を行うのにベストな時期はいつなのかという点です。また、売却戦略上知っておきたい値下げのタイミングも紹介します。
不動産売却のベストな時期
おすすめしたい売却タイミングとして、主に物件の条件に関係する時期と需要が増している時期の2つが挙げられます。具体的な例を次のリストから見てみましょう。
- 保有期間が5年を超えている
- 築年数が15年以内
- 春の時期
- 土地や新築物件の価格が上がっているとき
- ローンが低金利で控除期間内にあるとき
物件の保有年数が5年を超えているなら、かけられる税率が低くなります。また築年数が15年以内であれば、中古物件としての価値があると判断される年数です。一般に築年数が20年を超えると価値が一気に下がってしまうため、15年をめどに売り出したほうが売れやすいといえます。
また春は転勤や転校シーズンに入るため、物件を探している人が多くなり需要が高まる時期です。さらに、金利優遇措置やローン控除の政策がとられている期間内であれば購入希望者が増え、必然的に土地や新築物件の価値が上がるでしょう。そのようなときには新築物件に手が届かないという理由で、中古物件にも需要が広がる傾向にあります。
現在、コロナや政権交代などの影響で経済や政策に変化がある時期でもあるので、市場の動きに注目しつつ売り時を見極めるようにしましょう。以下の記事では、高額で不動産売却を狙える10のタイミングについて解説しています。ぜひ合わせてお読みください。

不動産売却にかかる期間
不動産売却で売れやすいタイミングと、売却に動き出すべき時期は必ずしも同じではありません。なぜなら不動産売却には、平均で3~6カ月の期間が必要だからです。
もちろん申し分ない立地であったり、優良物件でニーズが高かったりした場合は、その期間よりも早く売却できる可能性が高くなります。しかし、大半の不動産は以下の点に左右されるため、半年ほどの期間がかかることを知っておきましょう。
- 仲介依頼する不動産会社の力量
- 所在するエリア
- 販売価格は適切か
- 時期はニーズに合っているか
物件条件や市場動向から売れやすいタイミングを見定めたら、その期間よりも2~3カ月前に動き出すようにします。こうして不動産売却の前準備期間を設けることで、慌てずによい売却計画を立てられるでしょう。不動産の種類ごとに売却するタイミングを知りたいときは、以下の記事を参考にしてください。より具体的な売却時期設定に役立ちます。

不動産売却で値下げをするタイミング
購入希望者が現れない事態に備えて、あらかじめ値下げ時期を考えておくことも必要です。一つの目安として、売り出してから3カ月が経過しても動きがないときには、値下げすることができます。
値下げ価格は、売り出し価格を設定するときから計画に組み込むようにすると、大幅に下げてしまうことを避けられるでしょう。例えば、売り出しから売却まで次のような計画で進められます。
- 相場より少し高い金額で売り出す
- 3カ月経過したら、相場の金額まで値下げする
- 6カ月経過時に売却金額の最低ラインまで値下げする
売り出し価格は、相場に10%ほど割り増しした金額で売り出してみましょう。それから徐々に相場金額と同じ値段まで値下げして、それでも売れない場合はあらかじめ決めておいた最低金額へと値下げをします。
このように戦略的に行うことで、市場の動きと相場に合わせた損のない売却ができるでしょう。
不動産売却で発生する費用と税金
不動産売却で発生する費用には、売却活動に必要になるお金と売却利益や手続き時に発生する税金があります。少しでも手元に利益を残すために、必要になる費用を詳しく見ていきましょう。
不動産売却で発生する費用
まずは、売却にかかる費用を下の表で確認してみましょう。
費用 | 概要 |
仲介手数料 | 広告活動や買主探しにかかる費用 |
司法書士への手数料 | 抵当権抹消や所有権の移転補助のためにかかる費用 |
土地や建物に対しての費用 | 建物解体や土地測量の費用 |
引っ越し代金 | 持ち物処分や家財道具輸送費用 |
これらは不動産売却で最低限必要になる費用です。不動産業者に支払う仲介手数料は成功報酬として支払うもので、売却金額をもとに割り出されます。その際によく用いられるのは以下の計算式です。
なお、司法書士への手数料相場は、1つの手続きにつき10,000~30,000円前後です。
おおまかに不動産売却でかかる費用について解説しましたが、以下の記事ではかかる費用や節約術までさらに詳しく深堀しています。ぜひ参考にしてください。

不動産売却で発生する税金
不動産売却時に支払い義務が発生する税金として、以下のものが挙げられます。
税金種類 | 概要 |
譲渡所得税 | 売却金額が購入金額を上回った場合に発生するもので、所得税・住民税・復興特別所得税で構成される |
印紙税 | 不動産売買契約書の作成時に印紙の形で支払う税 |
登録免許税 | 1不動産につき1,000円 |
贈与税 | 時価より安い金額での取引や、金銭のやり取りがない名義変更時に発生する |
固定資産税 | 売主があらかじめ支払っている分を、引き渡し日を基準に買主と相談して折半できる |
消費税 | 投資用不動産の売却で、前々年の賃貸売り上げ高が1,000万円を超えているときにかけられる |
譲渡所得税を計算するときには、短期譲渡所得か長期譲渡所得かによって税率が変わってきます。以下は各保有年数の税率一覧表です。
短期譲渡所得(保有5年以内) | 長期譲渡所得(保有5年以上) |
39.63% | 20.315% |
保有年数が5年以内であれば、かけられる税金も高くなります。よって、売却する際は自身が所有するようになった期間を調べて、売却益が出たときにはどの税率がかけられるのか、あらかじめ見当をつけておきましょう。
不動産売却時に支払い義務が出てくる税金について、さらに詳しい情報を知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。



利益が出たら確定申告をしよう
確定申告とは次年度の所得課税額を算出するために、得た利益を定められた期間内に申告することです。1月1日~12月31日までに得た収入分から、必要になった経費を差し引いて申告を行います。
会社から労働の対価として支払われる給料とは違い、不動産売却で得た利益は自分で確定申告を行わなければなりません。不動産売却で利益が出たら、必ず期限内に確定申告を行いましょう。毎年2月中旬~3月中の1カ月間が申告時期として設定されています。その時期までに、以下の書類を用意しておくとスムーズな手続きを行えます。
- 売買契約書のコピー
- 代金受取書のコピー
- 固定資産税納税通知書のコピー
- リフォームの請負契約書と領収書コピー
- 仲介手数料支払い証明書類
- 登記事項証明書
- ローン残高証明書(残債ありの場合のみ)
- 登記時に発生した手数料の領収書
- 不動産の全部事項証明書
不動産売却時の確定申告はわずらわしく感じるものですが、申告することで得する可能性があります。以下の記事では、確定申告を行うメリットについて解説しています。ぜひ確認してみましょう。

確定申告をすれば特例が受けられる
確定申告をすると、税の軽減を図れる特例措置を受けられることがあります。以下は、不動産売却時に主に利用できる措置の種類です。
特例措置 | 概要 |
3,000万円の特別控除 | 譲渡額のうち3,000万円分は課税されないという特例 |
特定居住用財産の買い替え特例 | 家の買い替え時に使える特例で、次に買い換えを行うときまで譲渡税の繰り越しができる |
10年越所有での軽減税率特例 | 3,000万円特別控除適用後に課税される額がある場合は、所有期間が10年を超えている不動産を対象に税率が低くなる特例措置 |
以下の記事では、これらの控除を受けるための条件についても解説しています。ぜひ合わせて読んでおきましょう。

もし不動産売却で損失が出たら
不動産を売却して買い換えたいときに、売却額が購入額よりも安いことで損失が出ることもあるでしょう。またローンが残っている不動産を売却しても、返済額に届かないこともありますが、どちらのケースも要件を満たしていれば、損失をカバーするための特例を利用できます。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、売却損が出た場合にその他所得に課せられる税を控除することで、損失を補えるように取り計らっています。また、損失額が多く売却翌年の相殺では補えない場合には、最大3年間相殺を行うことも可能です。
この特例を受けるためには、確定申告を受けておく必要があります。以下の記事では、売却損が出たときにこの特例を用いる方法や、確定申告のコツをプロのアドバイスとともに紹介しています。あらかじめ読んでおくと助けになるでしょう。

不動産売却で押さるべき6つの注意点
不動産売却を行うときには、知っておかなければ損をしかねない注意点もあります。続く部分では以下6つの注意点を取り上げて、どのような対策が行えるのかを解説していきます。
- 土地の境界を確認
- 高額な査定額に気をつける
- 仲介手数料無料の落とし穴
- 価格の種類を把握
- 内覧で気をつけたいこと
- 契約不適合責任の重要性
それでは、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
売却前に土地の境界を確認する
不動産売却でよくあるトラブル要因として挙げられるのは、土地の境界線が曖昧なことです。売却前に境目を明らかにしておかなければ、以下のトラブルに巻き込まれる可能性があります。
- 隣家との訴訟問題に発展する
- 買主がローン審査に通らない可能性
- いつまでも売れ残る
土地の境界が定められていない土地のことを境界未確定地といいます。リストで示したように買主にとってデメリットになる要素を多く含んでいるため、売却の妨げになりかねません。
そのような不具合を避けるためにおすすめしたいのは、確定測量をしておくことです。確定測量は土地の測量方法の中でも、正確性や隣家への周知性ともに優れています。以下の記事では、確定測量をする際に必要な費用や期間について詳しく解説しているので、ぜひ目を通しておきましょう。

査定額だけで不動産会社を選ばない
高額な査定額につられて不動産会社を決めることは、後々不動産売却に大きな影響を与えかねません。高額な査定額を提示する業者の中には、不動産会社の利益のためなら手段を選ばない悪質業者も存在します。
過度な客引き行為に引っかからないように、高額な査定額だった場合は、なぜその額になったのか説明を求めましょう。また、説明するときの態度に注目することもできます。積極的に分かりやすく説明してくれる業者であれば、信頼性が高いといえます。
仲介手数料無料と囲い込みには要注意
仲介手数料無料とうたっている業者の中には、両手仲介という手法を用いている場合があります。これは、その不動産業者が売主側だけでなく、買主側とも仲介契約しているという状況のことです。
そのような状況になったときには、不動産業者はお互いを取り持つ調整の役目を果たすことになり、買い手側からの値下げ要求を売主側に打診してくる可能性が高くなります。また、両手仲介が起きると囲い込みをされる危険性もあるでしょう。
囲い込みとは両手仲介を成立させるために、不動産業者が売却不動産情報を操作している状態のことです。他の不動産会社に契約をまわさないようにするため、レインズに登録している情報が閲覧できないように操作されてしまうことも。そうなると買主の紹介が激減するどころか、安値での売却を促される可能性があります。
これを未然に防ぐためには、媒介契約時に発行されるレインズの登録証明書を活用することです。レインズは一般公開用の情報とは別に、不動産会社公開用のサイトで情報を提供しています。レインズの登録証明書に記載されているパスワードでログインして、自分の売却する不動産情報が「購入申し込みあり」か「一時紹介停止中」となっていないかを確認しましょう。
仲介手数料無料という広告はとても魅力的ですが、その背景にはどのような仕組みがあるのかを理解しておくことで、デメリットが潜んでいないか確認できます。
価格種類の違いに注意
不動産売却の価格には種類があり、それぞれ違いがあります。この違いを把握していないと、最終的に売れた金額に疑問が残るかもしれません。以下の表で、各価格の相違点を確認しておきましょう。
査定価格 | 売り出し価格 | 成約価格 |
簡易査定・訪問査定で割り出された価格 | 相場や査定情報により、売主と不動産会社の相談で決められた価格 | 値下げ後に実際に売れた価格 |
査定額は、3カ月程の期間で売れるであろう価格の目安です。売却時の心構えとして、査定額や売り出し価格はあくまで仮の金額であり、その金額で確実に売れるというものではないことを把握しておきましょう。
成約価格は実勢価格ともいわれることがありますが、この価格を参考にすると、より具体的な売却可能性金額を知ることができます。以下の記事では実勢価格を調べる方法や、実勢価格に響きやすい注意点を詳しく解説しています。あらかじめ読んでおくと売却の助けになるでしょう。

不動産売却では内覧が重要
買主からの内覧申し出があると期待が高まるものですが、内覧に向けた準備をあらかじめ行っておくと、より万全な状態でプレゼンすることができます。以下は内覧のために行えるポイントです。
- 内覧希望者のスケジュールに合わせる
- ペットやたばこの臭い対策を行う
- 入念なハウスクリーニング
掃除する際はキッチンや浴室、トイレなどの水回りを重点的に行います。この部分にカビや臭いがあると、不潔な印象を与えてしまいかねません。汚れがひどい場合には、掃除のプロに依頼することもできるでしょう。またリビングやバルコニー、玄関などは、ものが散乱していると魅力をそいでしまいかねません。ものが多い場合も整理整頓して、スッキリ見せるように心掛けましょう。
さらに内覧のときは、押しが強い印象や威圧感を与えないためにも、女性が対応するようにしたり、場合によっては売主の立ち合いを希望するか聞いてみたりすることもできます。立ち合い時に説明を求められるときには、自分が買主ならどんなことを聞きたいかという点を考えながら、説明するとよいです。相手の立場に立つことで、より相手が魅力を感じやすい紹介ができるでしょう。
以下の記事では、内覧前に行える準備をさらに詳しく紹介しています。合わせて読んでおきましょう。

内覧時にネガティブな売却理由も伝える
売却する理由には、自分のライフステージに合った場所に移動するといった理由の他に、ネガティブなものもあるでしょう。ローンの支払いが難しくなったり離婚することになったり、その他負債により資産整理が必要になったりといった状況が考えられます。
ネガティブな理由を、人に知らせたくないと考えるのは普通のことですが、プライバシーが許す範囲で買主に伝えることは、売買契約の安心感につながります。そのような理由を述べたことが評価されて、売却につながることもあるかもしれません。
売却理由を尋ねられたときのことを想定して、どのように答えられるかをあらかじめ考えておきましょう。また、以下の記事では、伝えにくい売却理由を上手に説明する手引きを紹介しています。答え方に迷ったときは、ぜひ活用しましょう。


契約不適合責任に注意
2021年4月1日に行われた民法改正によって、瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わりました。これは、契約内容と違った物件を売却したときに、売主がその責任を負うという規定です。
買主から訴えられてしまうと、売主にとっては相当なダメージになるため、事前の備えをしておく必要があります。以下は対策として行える点です。
- 売り出す不動産をよく調査して、欠陥部分を知っておく
- 欠陥のある部分を隠さずに伝える
- 契約書に欠陥部分を説明した旨を記載する
- 免責できる部分を契約書に加える
- 契約不適合責任を負う期間を明記する
上記に挙げた点を注意深く行うことで、責任を問われるリスクを避けられるでしょう。
不動産売却でよくある悩み
不動産売却を行うときの基礎知識や注意したい点を紹介してきましたが、多くの人が抱えている悩みからも助けになる情報が得られます。最後に取り上げるのは、よくある8つの悩みについてです。特殊な売却ケースや売れないときの対処法についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
不動産の減価償却とは何か
不動産の価値を調べたいときに、よく聞かれるのが減価償却です。ものは年を追うごとに劣化していくので、その劣化した分を一定のルールをもとに計算する必要があります。
不動産の場合は建物部分の劣化が起こるものなので、劣化した部分を算出して、元の価値から差し引くことで行われる減価償却が必要です。しかし、土地は劣化するものでないことから減価償却の対象ではありません。建物付きの土地を売却するときには、建物部分のみ減価償却するようにして、確定申告までには算出を終えておきましょう。
減価償却をする際に、合わせて読んでおきたいのは以下の記事です。計算方法も紹介しているので、自分の不動産を減価償却するときに役立てましょう。

住み替えの手順が分からない
家を住み替えたいと思ったときには、売却と購入の手続きを同時に進めるので、どちらを先に行うべきか迷うかもしれません。特にどちらを先にすべきという規定はありませんが、特徴を参考にして売り先行か買い先行かを選ぶことができます。以下はそれぞれの特徴を比較した表です。
売り先行 | 買い先行 |
次の家を購入する自己資金をセーブできる反面、当面の住む場所に費用がかかったり、引っ越しの回数が増えたりする | 引っ越しが一度で終わるため、生活が安定しやすいが、あらかじめ新居購入費用を用意する必要がある |
売り先行は住み替え初心者におすすめで、売却金額を購入費用に回せるというメリットがあります。買い先行は資金に余裕があり、じっくり家探しをしたいという人におすすめです。どちらにするかは、自分の経済状況に合わせて選ぶようにしましょう。
それぞれの住み替え方法や費用についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしましょう。費用の内訳も合わせて確認できます。

ローンが残った不動産を売却できるのか
結論からいうと、ローンが残っている場合でも売却は可能で、以下の2通りの方法で売却することができます。
- 住み替えローンを利用する
- 任意売却する
住み替えローンとは現在支払っているローン残債を、新居のローン金額に合算して返済していく方法です。家を売却しても完済できないが、住み替えを行いたいといったケースでよく利用されています。
任意売却とは、ローン残債を今後支払っていけないと判明した場合に行われるものです。通常の売買のように、宣伝活動をして売却できるので、競売よりも高値で売却できる可能性があります。返済が滞ったときにとても有効な方法ですが、金融機関の同意が必要になるというハードルも。任意売却を行いたいと考えているなら、ぜひ弁護士など法のプロに頼りましょう。
以下の記事では、ローンが残っているときの売却をどのように行えるかについて、さらに詳しく解説しています。悩み解決のために、一読しておくことをおすすめします。

個人間で不動産を売却できるのか
不動産を個人間で売買することは違法ではないので、双方の合意があれば不動産業者の仲介をはさまずに、契約締結を行えます。個人対個人の売買時には、以下の流れで行われることが一般的です。
- 不動産の査定
- 必要書類の準備
- 売り出し価格を決める
- 内覧対応
- 価格の交渉を行う
- 契約締結
- 引き渡し
準備すべき書類は、建物に関連する登記や状態確認の書類、固定資産税に関する書類、土地の区画を確認する公図などです。
個人売買は仲介手数料が発生しないので、売買にかかる費用を安く収められるというメリットがあります。しかし、通常依頼できる手続きを自分で行わなければならないという不便さや、契約時に問題があっても自身で解決しなければならないことはデメリットです。それらの点をよく把握して行えば、起こりうるリスク対策をしつつお得に売却できるでしょう。
個人売買を行う前には、以下の記事を読んでおくこともできるでしょう。交渉の際に心掛けることができる注意点や、困ったときのサポートについて知ることができます。

不動産を代理で売却できるのか
所有する不動産が遠方にあるときや、幾人かの所有者と共有している物件などは、代理人を立てて売却することができます。その際は、必ず委任状を作成して進めるようにしましょう。
委任状には以下の点を記載します。
- 該当する不動産の情報
- 代理人は誰か
- どれほどの権限を与えるか
- 委任者は誰か
- 委任の日付
また委任状に加え、委任者全員の実印と印鑑証明書、住民票、本人確認書類も用意しておきます。代理人とは密に連絡を取りながら手続きを行うようにしましょう。そうすることで、委任内容と行われた手続きが違うといったトラブルを避けられます。
代理人をどのように選任するかは、委任するうえで最も大切な点です。以下の記事では、どのように代理人を選出できるのかという点に焦点を当てて詳しく解説しています。

相続した不動産は売却すべきか
相続というと資産が増えるイメージがありますが、場合によってはデメリットになることもありえます。すでにマイホームを手に入れているケースでは、二重に維持費を支払わなければならず、生活を圧迫することにもなりかねません。
相続することで負担になると判断したら、思い切って相続した不動産を売却しましょう。ただし、ここで注意したいことは、相続の手続きを終えているかという点です。所有者が売主に移転されていなければ、売却手続きを踏むことができません。必ず相続登記を先に済ませてから、売却の手順に移行するようにしましょう。
以下の記事では、相続した土地を売却するときに知っておきたい税金について解説しています。思わぬ負担に慌てることがないように、ぜひチェックしておきましょう。

離婚時に不動産売却は必要か
離婚をすることになったら財産を二分する必要があります。現金はすぐに分割できますが、ものである不動産はそう簡単に分割できません。そのようなときにできることは、不動産売却で現金化して分けやすくするという方法です。
ただし、離婚時の売却ではタイミングに注意が必要です。離婚時にスムーズな財産分与を行いたいと考えて、離婚手続きを終える前に売却してしまう人もいます。しかし、その方法はおすすめできません。
なぜなら、法律上夫婦であるときに行われると財産を贈与したという扱いになり、受け取る側に贈与税の支払い義務が発生してしまうからです。離婚の手続きを行ったあとで売却するのであれば、贈与税の対象にはならないので、その点をおさえながら売却しましょう。
また売却する不動産にローンがあるなら、売却利益で完済できるかをあらかじめ確認しておくことも大切です。完済できないオーバーローンの状態になることが判明したら、任意売却も検討しましょう。以下の記事では、分けるときの基本のルールや、離婚時に財産を上手に分ける方法について解説しています。ぜひ参考にしましょう。

不動産がなかなか売れない
不動産がなかなか売れないと、売却活動にかかる費用や維持費がかさんでしまいます。売れ残りの兆候が表れてきたら、次の方法を行ってみましょう。
- 広告の出し方を変えてみる
- 囲い込みがないか確認する
- 価格は妥当か再確認する
- 内覧時の対応を改めてみる
これらの点を再確認しながら改善していくことで、売却につながったというケースも少なくありません。ぜひプランや価格を見直してみましょう。ただし、大掛かりな改装や家屋の取り壊しは費用がかかるだけでなく、逆に売れ残るリスクを高める可能性もあります。メリットとデメリットをよく考慮して、慎重に決定することが重要です。
対策を行っているのに、なかなか売れないというジレンマを抱えているなら、さらにできることがあります。以下の記事では売れ残ったときの対策だけでなく、どうしても売れないときの対処法についても解説しています。ぜひ記事を読んで解決法を見つけ出しましょう。

まとめ
不動産売却は大きな金額が動くときだけに、誰もが緊張と不安を感じるものですが、その不安は和らげることができます。不動産を売却するときの一連の流れを把握して、準備すべき資料や必要になる費用と税金についての知識を取り入れておけば、自信を持って売却に臨めるでしょう。
また、売却のパートナーとなる不動産業者をよく注意して選ぶことで、安心して任せられるだけでなく、思い描く売却イメージを実現することにつながります。この記事で取り上げた売却の悩みに対する答えも参考にすると、大切な不動産を損なく売却できます。ぜひ蓄えた知識をフル活用して、後悔の残らない売却を目指しましょう。
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