「抵当権抹消登記にかかる登録免許税って何?」「いくらぐらいかかるの?」と悩んでいる方はいませんか。
住宅ローンを完済した不動産や、ローンが残っている不動産を売却する際は、債権者から抵当権の抹消を行う必要があります。この手続きには登録免許税という税金がかかりますが、どういった税金でどれほど支払わなければならないかについて詳しく知っておくと、スムーズに売却できるだけでなくトラブルを避けることにもつながります。
この記事では、抵当権抹消登記の際に発生する登録免許税の基礎知識や登録免許税の計算方法、登録免許税に関する注意点などを詳しく解説しています。
登録免許税のことを正しく理解し、抵当権抹消登記の手続きをスムーズに進めましょう。
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抵当権抹消登記にかかる登録免許税とは
抵当権抹消登記の手続きを行うためには登録免許税を支払う必要があります。ここでは、抵当権抹消登記の際に発生する登録免許税とは何か、どうやって納税するのか、登録免許税の上限など、登録免許税の基礎知識についてわかりやすく解説していきます。
抵当権抹消登記の手続きにかかる税金
登録免許税は、抵当権抹消登記の手続きを行う時、国に納める必要がある税金のことです。登録免許税に支払期限はありませんが、抵当権抹消登記の手続きを行うタイミングで必ず支払う必要があります。
この税金は抵当権抹消登記の手続きの時だけ発生するものではありません。たとえば、土地や建物を売却した場合に、不動産を購入した人に所有権を移転する登記が必要になりますが、これにも登録免許税が発生します。また登録免許税は住宅ローンを組む時にも発生します。金融機関が土地や建物に抵当権を設定する登記が必要になるからです。
抵当権抹消登記の登録免許税と、所有権移転登記、抵当権設定登記の登録免許税の大きな違いは計算方法です。抵当権抹消登記の際に使われるのは、一定の金額ですが、所有権移転登記や抵当権設定登記では、課税標準額に税率をかけることで算出されます。その場合、定められた要件を満たすことができれば、登録免許税の軽減措置を受けることも可能です。
収入印紙を購入して納税する
登録免許税を現金で支払うことはできません。収入印紙で納める形になるので収入印紙を購入する必要があります。
登録免許税分の収入印紙を購入したら、印紙貼用台紙に収入印紙を貼り、法務局の窓口に提出してください。
収入印紙の購入方法
収入印紙は法務局に設置されている印紙販売所で購入することが可能で、抵当権抹消登記の手続きを行う当日に購入することができます。
また法務局以外では、郵便局やコンビニでも販売されています。
まれにオークションサイトで販売していることもありますが、収入印紙は金銭と同等のものと扱われるので違反の可能性があります。正規取扱店以外で購入するのは避けてください。
上限が設定されている
抵当権抹消登記の登録免許税には20,000円の上限が定められています。
20,000円の上限に達するケースとしてよくあるのが、投資用マンションを1棟売却する場合です。マンションが建っている土地は1つではなく、複数の土地にまたがっていることがあります。それで、筆数によって登録免許税額が20,000円となることがあるのです。
通常の戸建て売却ケースでは、20個以上の不動産を一度に売却することはあまりないでしょう。知識の1つとして、上限額が定められているということを覚えておきましょう。
抵当権抹消登記の登録免許税の計算方法
抵当権抹消登記の登録免許税の計算方法は、不動産の個数に登録免許税の金額をかけるだけなので簡単に計算することができます。ただし、不動産の個数の数え方には注意点があります。
それでは詳しくその計算式と注意点についてみていきましょう。
不動産1つにつき1,000円
抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1つにつき1,000円で計算します。抵当権抹消登記にかかる登録免許税の計算式は、以下の通りです。
土地と建物は別々に計算することになっているので、土地と建物で合わせて1つの不動産として計算しないよう注意が必要です。
例として一般的な戸建て住宅の場合を考えてみましょう。土地を1つ建物を1つとして換算し、不動産の数は合計2つです。その結果、支払うべき登録免許税額は2,000円になります。
マンションの場合も同様
不動産がマンションの場合も同様です。マンションが建っている土地と建物を別々にカウントして、登録免許税を計算します。マンションの部屋が1つ、土地が1つの場合は、不動産が2つなので登録免許税は2,000円になります。
マンションによって、マンションが建っている土地の見た目は1つの土地でも、登記簿上では土地が2つに分かれている場合もあります。その場合は、マンションの部屋の数と土地の数を合計すると不動産が3つになるため、3,000円の登録免許税を支払う必要があります。
複数の土地があるなら加算される
複数の土地の上に建物がある場合は、登記簿に記されている不動産の数だけ登録免許税が必要になります。土地の数が1つ増えるごとに、登録免許税が1,000円加算されていく計算です。しかし、先に解説したように上限額以上かかることはありません。
またこのルールは企業や経営をしている人が行う根抵当権の抹消時にも適用されます。個人が売却する場合でも、法人の売却でも1,000円加算されていくということを覚えておきましょう。
抵当権抹消登記の手続きについて
抵当権抹消登記にかかる登録免許税をスムーズに進めるためには、抵当権抹消登記の手続きに関することを詳しく把握しておく必要があります。
続く部分では以下の点を取り上げます。
- 抵当権抹消登記の手続きが必要なケース
- 抵当権抹消登記の手続きの流れ
- 抵当権抹消登記の手続きに必要な書類
- 抵当権抹消登記を行わないリスク
それでは各項目を詳しくみていきましょう。
抵当権抹消登記の手続きが必要なケース
抵当権抹消登記の手続きが必要なケースは以下の通りです。
- 不動産を売却するとき
- 住宅ローンの残っている不動産を売却するとき
- 抵当権抹消登記が行われていない不動産を相続したとき
- 相続した不動産を売却するとき
- 住宅ローンの借り換えをしたいとき
住宅ローンを完済すると抵当権はなくなりますが、登記簿上の記録は抵当権抹消登記の手続きを行わないと消えません。抵当権がついたままだと、上記のようなケースで対応できなくなるので、早めに外してしまうことをおすすめします。
抵当権抹消登記の手続きの流れ
抵当権抹消登記の手続きは次の流れで行いましょう。
- 抵当権抹消登記の申請書の書式を手に入れる
- 抵当権抹消登記について法務局に相談に行く
- 金融機関から書類が郵送されてくる
- 抵当権抹消登記に必要な書類を準備する
- 法務局に必要書類を提出する
抵当権抹消登記の手続きを自分で行う場合の大まかな流れは、上記の5ステップで進めていきます。自分で申請するのが難しい場合は、司法書士に手続きの代行を依頼することが可能です。
抵当権抹消手続きを自分で行う方法について詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめです。

抵当権抹消登記の手続きに必要な書類
抵当権抹消登記を行う時には、以下の必要な書類を用意しておくことができます。
- 抵当権抹消登記申請書
- 登録免許用印紙貼用台紙
- 金融機関の委任状
- 登記識別情報または登記済証
- 登記原因証明情報または解除証書(弁済証書)
提出書類はすべてコピーが不可になるので、原本を用意して提出する必要があります。また、抵当権抹消登記を自分で行う場合でも委任状が必要となるので用意するのを忘れないように注意してください。
抵当権抹消登記の委任状の書き方についても詳しく知りたい方はこちらの記事を読むことをおすすめします。

抵当権抹消登記の手続きを行わないリスク
基本的に抵当権抹消登記をしなくても問題が起こることはありません。ただし、抵当権抹消登記が必要なケースで手続きを怠った場合は、以下のようなリスクが考えられます。
- 不動産をすぐに売却できなくなる
- ローンをすぐに組めなくなる
- 抵当権抹消登記の手続きが複雑になる
- 書類の紛失により、手続き自体ができなくなる
抵当権抹消登記の手続きを後回しにしてしまうと、手続きが複雑になって手間がかかったり、必要書類の手配に時間がかかる場合があります。抵当権抹消登記の手続きが必要になったら、なるべく早めに手続きを済ませましょう。
抵当権抹消登記に関する注意点
抵当権抹消登記の手続きを自分で行うのはそこまで難しくありません。しかし、初めて抵当権抹消登記を行う場合は事前に知っておくべきいくつかの点があります。ここでは、抵当権抹消登記に関する4つの注意点について解説していきます。
事前に法務局に相談に行く
抵当権抹消登記の手続きを行うときは、必ず事前に所有している不動産を管轄している法務局に直接相談に行くか、電話で相談を行います。
各地域の法務局によっては抵当権抹消登記の手続きや、必要書類が異なる場合があります。また、抵当権抹消の理由によっても手続き方法や書類が変わることも。相談なしで手続きに行ってしまうと必要書類が足りなかったり、手続きができなくて何度も法務局に足を運ぶことになる場合があります。
申請に必要な書類は保管しておく
抵当権抹消登記の手続きに必要な書類の中には、紛失してしまうと再発行に手間がかかる書類も含まれています。抵当権抹消登記の必要書類は申請時に初めて取得するものと、抵当権抹消時に取得しているものがあるので、すでに取得している書類はなくさないようにしましょう。
書類を誤って紛失してしまうと、抵当権抹消登記の手続きをすぐにしたくても再発行に時間や手間がかかり、手続きがスムーズに進められなくなってしまいます。抵当権抹消時に金融機関から郵送されてきた書類は、なくさないよう厳重に保管しておくことをおすすめします。
法務局に提出した書類は返却してもらう
法務局に提出した書類は、原本還付という手続きを行うことによって、手続き完了後に返却してもらうことができます。返却が必要な書類はコピーをとって原本の書類と一緒に提出しましょう。抹消完了後に原本還付をスムーズに行えます。
抵当権抹消登記の際に提出する書類は基本的にすべて原本となりますが、原本還付を行わない限り返却されることはありません。特に原本還付を行わなければならないのは、債務者の代表者事項証明書です。通常債務者から原本の返却が求められます。
登記済証は原本還付をしなくとも、手続きが完了すれば返却されます。一方、登記識別情報は返却されず、原本還付を申請することもできないので注意が必要です。
所有者が亡くなっている場合は相続人が手続きを行う
抵当権が抹消される前に物件の所有者が亡くなってしまった場合は、相続登記を行った後に、相続人が抵当権抹消登記を行うことになります。
相続登記を行う場合は、以下の書類が必要です。
- 登記事項証明書または登記簿謄本
- 相続登記申請書
- 住所証明情報
- 固定資産税評価証明書
- 被相続人の戸籍謄本と除票
- 被相続人すべての戸籍謄本と住民票
- 相続人すべての印鑑証明書
相続登記を行うためには、このようにたくさんの書類を用意する必要があるので手間がかかります。相続登記と抵当権抹消登記の手続きを同時に行うため、期間もそれなりにかかります。手続きをスムーズに進めるために、相続登記と抵当権抹消登記の準備は同時進行で行うようにしましょう。
抵当権抹消登記の登録免許税に関するQ&A
抵当権抹消登記の登録免許税についてわからないことがある場合は、手続きを進める前に解決しておく必要があります。
続く部分では、抵当権抹消登記を司法書士に依頼した場合は登録免許税の他にいくらかかるのか、不動産売却の場合抵当権抹消登記にかかる登録免許税は誰が負担するのか、登録免許税を計算するために不動産の個数を把握する方法はあるのかなど、抵当権抹消登記の登録免許税に関する疑問をQ&A形式で解説していきます。
司法書士に依頼した場合の支払い
抵当権抹消登記の手続きを司法書士に依頼した場合は、登録免許税の他に、5,000円~10,000円程度の報酬を支払う必要があります。
費用はかかりますが、登記手続きに不安を覚える場合には有効な方法です。また、仕事が忙しくて時間が取れない、法務局に行くのが難しい場合などの事情がある場合以外は、司法書士に頼らず自分で抵当権抹消登記をした方が費用節約につながります。
負担するのは誰か
不動産売却のために抵当権抹消登記を行う場合、登録免許税を負担するのは誰になるのでしょうか?抵当権抹消登記にかかる登録免許税を負担するのは基本的に売主です。売主が住宅ローンを組んだことで抵当権が設定されているという理由を考えると、解除する費用も売主が負担する必要があると言えます。
また、同じ理由で以下の場合でも売主が登記費用を負担するべきでしょう。
- 住所変更登記
- 氏名変更登記
- 相続登記
一方、買主が負担する必要がある登記の種類は、所有権移転登記や抵当権設定登記です。
その他不動産売買時の登記費用についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてみましょう。

不動産の個数を確認する方法
登録免許税を計算するために、抵当権が設定されている土地の個数を調べたいときは、抵当権設定契約書を確認しましょう。抵当権設定契約書とは、抵当権を設定した際に債務者との契約を証明するものです。ローンの返済が終わって抵当権が外れると、債務者から不動産の所有者に返却されます。
抵当権設定契約書の中には不動産の表示という項目があり、その中の借地権の表示という欄に敷地の情報が記されています。その後、抵当権の設定されている敷地の個数を数えると簡単に抵当権の設定されている土地の個数を把握することできます。
まとめ
抵当権抹消登記にかかる登録免許税とは何か、登録免許税の計算方法や抵当権抹消登記の手続き、抵当権抹消登記を行う際の注意点について解説してきました。
計算方法や具体的な金額、また手続きの流れや準備すべき書類を把握しておくなら、タイムロスのない手続きを行えるでしょう。
また、住宅ローンを完済しているのに抵当権抹消登記を早めに行っていなければ、いざ不動産を売却しようと思った時に売却が難しくなってしまいます。この記事を参考に、抵当権抹消登記の手続きや登録免許税の支払いをスムーズに行うなら、手続きに伴うストレスからも解放されます。ぜひ登録免許税の知識を深めて不備のない手続きにつなげましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.retpc.jp/chosa/reins/
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
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