離婚後の財産分与で頭を抱えていませんか?離婚して財産を分ける方法で悩んでいたり、これから離婚を考えていたりする場合は調停をおすすめします。夫婦で築いた財産を分割するためには、確認や調整に何かと手間がかかります。しかし調停を行えば、分け合う交渉を専門の第三者委員会が手伝ってくれるため、分割するのもスムーズです。
また、調停成立にできれば法的効力も発生するので、財産の権利を明確に示すこともできるでしょう。今回は離婚で重要な財産分与における調停についてや、有利な進め方についてご紹介します。
財産分与で行う調停とは
財産分与における調停は、第三者を通してもめごとを避けつつ夫婦で財産を分割して離婚することです。例えば、夫妻で土地などの大きな財産を分割する際に、所有権争いによるトラブルを避けるためにも行います。当人同士ではなく、第三者を通すことで冷静に財産分与を進めやすいからです。
そこでまずは、財産分与における調停について詳しく解説していきます。具体的にかかる時間や費用などについても紹介するので、事前に準備していきましょう。
第三者が入った財産分与の話し合い
調停の概要を簡単に説明すると、離婚を考えている夫妻に対して調停委員会が財産分与するために、両者の話し合いの仲裁を行ってくれることです。また、調停委員会には裁判官が関わっているという特徴もあります。
そのため、最終的にはそれぞれ法的に財産を所有する権利を証明できます。とはいえ、裁判官が関わっていも訴訟のように厳格に手続きするわけではありません。基本的には必要書類を用意して、裁判所に申し立てを行えば調停は簡単です。
申し立てが通ったら、調停委員会が交渉や財産権利の確認をしてくれます。争いを避けつつ、法的にも財産問題を解決できる方法といえるでしょう。
財産分与の調停の申し立てにかかる費用
財産分与で調停をしたい場合の申し立ては家庭裁判所で行いますが、提出するためには費用がかかります。申立書に必要なのは、収入印紙代や連絡用の切手代です。
また、もし調停でサポートをしてもらうために弁護士を雇いたい場合には、別途費用が必要です。弁護士への依頼費用は最低2,000円~80万円と幅があり、どの程度まで自分で行いどの部分を任せるのかによって、費用は異なります。
調停では手続きの工程が多いため、混乱しないように費用がどれほどかかるものなのかを、あらかじめ整理しておくことが重要です。
調停の申し立てに必須の費用
調停の費用には幅がありますが、最低限必要なのは収入印紙代と連絡用の切手代で、調停をするためにはこの2つは必須です。具体的には、収入印紙代1,200円と切手代800円前後で、合計で2,000円程度かかります。
しかし、裁判所によって費用は多少異なることもあるため、事前に確認しておきましょう。また、弁護士のサポートが欲しい場合には、依頼費用によって額が大きく変わります。
弁護士に依頼した時の費用
弁護士に離婚調停のサポートを依頼することもできます。その場合は、依頼する際に必要な着手金や調停が成功した際に支払う報酬金が必要です。ただし法律事務所の相談は、一般的に初回は無料で受けられることも多いため、ひとまず気軽に相談してみるのもよいかもしれません。
一般的な費用相場の内訳は以下のとおりです。
内容 | 費用相場 |
相談料 | 1時間10,000円 |
着手金 | 約20万~30万円 |
報酬金 | 回収金額の10%~15% |
実費(日当・書類作成費) | 約30,000~50,000円(移動距離により異なる) |
相場から推算すると、依頼時から調停中までは約35万円前後の費用が目安になるでしょう。さらに報酬金がいくらになるかによって、支払う金額は大きく左右します。
例えば、1,000万円の財産分与が獲得できた場合に報酬金は10%と仮定すると、支払う額は約100万円で、すべて合わせると約135万円の費用が必要です。もし弁護士を検討している場合には、事前にその費用も考慮しておきましょう。
調停にかかる期間の目安
調停成立までにかかる期間の目安は、半年~1年ほどとされていますが、調停ではさまざまな工程や確認を繰り返し行うためです。まずは裁判所へ調停の申し立てをし、調停期日の決定までに約2週間はかかります。そして一番長くなるのは調停での協議の時間でしょう。
財産分与について話し合いを行うのは、約1~2ヶ月に1回のペースです。自身と相手方が交互に財産の権利について主張し、どのように財産分与していくのか相談します。繰り返し行って、お互いに財産について確認しながら妥協点を見つけていくのです。
お互いに権利を譲らないなど調停自体が難航することもあるため、期間が長くなる可能性があることも念頭に置いておきましょう。
調停の申し立てから財産分与をするまでの手順
調停をスムーズに進めるためには、申し立てから財産分与までに必須な書類や手順を確認することが大切です。例えば、夫婦で共有していた財産をリストアップした財産目録、調停の申立書や戸籍謄本などの準備が必要です。特に財産目録は、調停委員会で話し合ううえで重要な証拠材料となります。そのため、手順を確認しつつ入念な準備が必要です。
ここからは、調停の申し立てから財産分与するまでの手順をご紹介します。必要書類や混乱しやすい項目を順を追って説明するので、調停を考えている方はぜひご確認ください。
調停に必要な書類を用意する
調停をするためには、最初に必要な書類を用意するところから始めましょう。
主に必要な書類は以下のとおりです。
- 夫婦の戸籍謄本
- 調停の申立書(原本、写し一通ずつ)
- 財産目録
- 財産に関係する書類(夫婦共に)
まずは夫婦であったことを証明するために、戸籍謄本を行政で発行します。そして調停の申立書を用意しましょう。それ以外の書類で時間がかかるのは財産目録です。夫婦で共有したもののうち、財産と認められるものとそうでないものがあるため、整理することになります。
例えば、夫婦であったときに共有した預貯金や不動産、家具などのプラス財産と呼ばれるものだけでなく、住宅ローンなど負債を含めたマイナス財産も、財産目録に記載しなければなりません。しかし婚姻以前に所有していた財産や、それぞれの親族から贈与されたものなどについては、財産に含まれません。
財産目録に含まれるものと含まれないものについては、下記を参照してください。
財産目録に含まれる | 財産目録に含まれない |
|
|
離婚後に所有できる財産に関わるため、財産目録とその他書類共に漏れなくチェックするようにしましょう。
また、不動産を財産分与する場合は、事前に一括査定サイトを利用して、不動産の価値を把握しておくとよいでしょう。
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不動産の財産分与に関して詳しくはこちらの記事もおすすめです。

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裁判所に申し立ての書類を提出
書類を用意したら、裁判所へ調停の申し立ての書類を郵送で提出します。提出する場所は、基本的に相手の住所地の近くの裁判所、もしくは当事者同士が決めた裁判所です。住所地で決める場合には、管轄区域である家庭裁判所に提出することになるでしょう。
また、その際に管轄区域を調べるには、全国の裁判所の情報をまとめた裁判所公式ホームページがおすすめです。こちらのページでは、裁判所手続案内ページから裁判所の管轄区域を調べることができます。最寄りの裁判所を調べ、管轄を調べて書類を提出するようにしましょう。
裁判所公式ホームページからの調べ方は以下のとおりです。
- トップから裁判所手続案内へアクセスする
- 「裁判手続を利用する方へ」ページから裁判所の管轄区域に飛ぶ
- 相手の住所地の最寄りの裁判所を検索して確認する
指定された調停期日に家庭裁判所で話し合う
調停申請が通れば調停期日が定められ、指定日に裁判所で調停委員会が開かれて話し合うことになるでしょう。その際は、調停対象である当事者両者が同日に呼び出されます。
そして当事者それぞれが、交互に調停室で調停委員会と協議します。時間は一度の話し合いにつき2時間程度で、折り合いがつかなければ次回に持ち越しです。
なお協議の際は、当事者同士が直接交渉することはありません。待合室は別であるため、顔を突き合わせずに話し合いを進めることができます。
調停書を作成し財産分与を実行する
調停でお互いに納得できたら、最後に調停調書を作成して実行します。この調停調書とは、お互いが取得できる財産について話し合い、同意した結果を記したものです。このときだけは内容を確認するために、双方の当事者が同席したうえで調停調書を作成する必要があります。
その後、作成した調停書が承認されれば、晴れて財産分与と離婚が同時に成立です。なお、万が一調停不成立となった場合は自動的に審判に移行し、代わりに裁判官が判断を下すことになるでしょう。
財産分与で調停を行うメリット
離婚という体力が必要な選択で調停をするメリットは、当事者同士が直接話し合うことなく、余計なトラブルを避けられるという部分が大きいでしょう。さらに作成する調停調書には法的な効力があり、財産を所有する権利を法的に認められることもメリットです。
ここからは、財産分与で調停を行うメリットについて、より具体的に解説していきます。
財産分与を請求できる期間を延ばせる
通常、財産分与を請求できる期間は定められていますが、調停をすればその期間を延ばすことができる点が1つ目のメリットです。離婚して財産を請求できる期間を除斥(じょせき)期間といい、離婚後2年を過ぎてしまうと夫婦で共有した財産の請求権を失ってしまいます。
この場合は、役所で離婚が承認された時点から時間制限が始まるため、それを過ぎてしまえば財産を所有できない恐れがあるのです。しかし、もし調停を行っておけば除斥期間を延ばせるため、財産を請求するための時間を稼げるでしょう。
財産分与する相手と直接話さなくてよい
調停を行う際には調停委員会が間に入るため、相手と直接話す必要がないこともメリットといえます。財産分与はそもそも、お互いに財産の所有権について言い合いになることも少なくありません。そのため、当人同士であるとけんかなどのトラブルに発展することもあり、財産分与がまとまらないこともあります。
しかし調停を選択すれば、直接話し合うのは調停委員や裁判官になるため、当事者同士は顔を突き合わせて交渉する必要がありません。よってトラブルを避けつつ、不要な心労などなく進めることができます。
作成する調停書には強制力がある
調停で最大のメリットになるのは、裁判所を通し法において財産分与を執行するため、法的な強制力があることです。調停書が作成されれば、法においてそれぞれが分け合う財産について同意したことになります。
そのため調停書作成後に、もしどちらかが相手に分け与える財産があるにもかかわらず、それを渡さなかった場合には裁判所命令で差し押さえが可能です。このように、万が一財産分与が正当に行われない場合にも、調停は有利に働いてくれます。
財産分与の調停を有利に進める3つの方法
財産分与を有利に進めるためには、明確な財産の開示と論理的な財産権利の主張が重要です。さらに、よりスムーズに相手方を説得したいなら、弁護士への依頼も検討する必要があるでしょう。ここからは、調停を有利に進めるための3つの方法についてご紹介します。
財産分与の対象となるものを全て開示させる
財産を正当に分割するためには、財産分与の対象になるものすべてを開示させることがポイントです。例えば、見当していた財産が隠されてしまった場合は、自身の取り分が減ってしまう恐れがあるでしょう。だからこそ、いかに相手に財産を正確に開示させるかが焦点になります。
しかし、調停はあくまでも財産分与のための協議の場所であり、相手に財産を無理矢理開示させることはできません。そのため財産を明確にするためには、婚姻の前後にかかわらず、財産の証拠を残しておくことをおすすめします。
または弁護士に依頼した場合は、証拠を照会できる弁護士照会制度を使えば、相手の預貯金などを開示させることができるため有効です。
また、財産に不動産がある場合には不動産査定も行っておきましょう。こちらの記事も合わせてご覧ください。

論理的に自身の主張を調停委員会に説明する
調停中はあくまでも冷静かつ論理的に、自身の権利を調停委員会に伝える必要があります。基本的に調停では、客観的に財産の権利を整理するので、感情的になっても一切効力はありません。どの財産を所有しているのか、そしてどの財産を分割すべきかを論理的に説明していきましょう。
また、一般的に財産分与の割合は夫婦で半分ずつですが、財産を作るためにどれほど貢献したかによって変動することもあります。そのため、もし自身が財産を築いた割合が大きい場合には、そのことを調停委員会にしっかりと説明しましょう。
弁護士に財産分与の調停を依頼する
調停のサポートをしてもらい、調停委員に説得力のある意見を伝えたい場合は、弁護士へ依頼するのも手です。そうすることで調停手続きもスムーズになり、心労も減るでしょう。さらに財産の権利や貢献度について、より上手に調停委員に伝えることもかないます。
また、不利な状況になりえるケースなども事前に知らせてくれるため、気づかないうちに財産が少なくなってしまったということも避けられます。そのため、調停をより積極的に進めたいと考えるなら、離婚専門の弁護士事務所などに依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。
財産分与で調停をする注意点
財産分与で調停を行ったとしても、成立する保証はありません。調停は相手方と調停不成立になることもあり、その場合には審判に移行してしまいます。さらに除斥期間を過ぎて調停不成立の場合には、財産を請求する権利を失ってしまうこともあるのです。
メリットの多い調停ですが、進めるにあたっては不成立であった場合も念頭に置く必要があります。そこでここでは、財産分与で調停をする注意点について解説します。
調停で財産分与が成立する保証はない
調停は決まれば強制力がありますが、それ以前に話が決着しなかった場合には成立する保証はありません。例えば、財産分与するものについてお互いが納得せずに、いつまでも話し合いが平行線である場合には、調停委員会が不成立とする場合があるからです。
また、そもそも調停に相手が出頭してくれないということで、成立しないこともあります。もし不成立となった場合には、自動的に起訴・審判に移行することになるでしょう。調停は当事者同士の合意の下で解決しますが、審判となると裁判所が分け合う財産の内容を決めることになります。
除斥期間を過ぎて調停不成立だと請求権がない
もし調停不成立で裁判を起こす場合は、調停を取り消す必要性が出てきます。しかし、除斥期間を過ぎて調停不成立だった場合は、財産の請求権がなくなってしまうため注意が必要です。
除斥期間の2年以内であれば、再度調停や審判へ進めることも可能ですが、2年を超えてしまうと請求できなくなってしまいます。そのため、期間の制約やリスクがあることはよく覚えておきましょう。
まとめ
調停を選択すれば、相手とのトラブルを避けつつ財産分与について話し合うことができます。調停書が定まれば財産の正当な権利も持てるため、離婚時にうやむやになりやすい財産分与をはっきりさせられるでしょう。申し立て自体も裁判とは違い、比較的費用がかからないため検討する価値はあります。
また権利の主張を確かなものにして、より円滑な調停を望むなら弁護士に依頼するのもおすすめです。依頼すれば、あなたの希望に沿って調停をサポートしてくれる強い味方になってくれます。離婚を考えている方は、今回の記事を参考にぜひ調停をご検討ください。
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