スマホ決済 Alipay(アリペイ)とは!?中国のスマホ決済を徹底解説

投稿日時:2020.04.21
近年日本には多くの外国人観光客が訪れるようになり、各店舗でも決済方法への対応が急がれています。最近はコンビニのレジでも漢字のロゴマークを見かけることがありますが、その中の一つがAlipay(アリペイ)です。
Alipay(アリペイ)のユーザーは中国を中心に周辺諸国にまで及んでおり、日本でも対応店が急増中です。中国のスマートフォン決済とは一体どんなものなのか、ちょっと興味が湧きますよね。
果たして私たち日本人にも使えるのでしょうか?これから中国で大人気の決済方法について徹底解説します。
Alipay(アリペイ)とは?中国で大人気のスマホ決済の秘密に迫る
中国で人気のスマートフォン決済Alipay(アリペイ)は、私たちの知らない間に日本のお店にも浸透しつつあります。
でも中には「アリペイなんて初耳」という方も居られるかもしれません。そこでまずは、この決済方法の概要からご説明しましょう。
アリペイは中国語では支付宝
以下の画像をご覧ください。これがAlipay(アリペイ)のロゴマークです。中国語表記で「支付宝」と書いてあるのがわかるでしょう。
もしもお店のエントランスやレジでこのライトブルーのロゴを見かけたら、そのお店ではAlipay(アリペイ)が使えます。
中国語では支付宝を「シーフーバォ」と読みますが、中国IT企業「阿里巴巴集団(アリババグループ)」の社名から、英語でAlipay(アリペイ)と呼ばれます。
Alipay(アリペイ)ユーザーは全世界で9億人
中国におけるAlipay(アリペイ)のユーザーは5億人以上。モバイル決済では世界最大規模と言われており、全世界のユーザー数は9億人を数えます。
中国本土では若い人だけでなく、年配の方もこのスマホ決済をバリバリ使いこなしています。中国人なら誰もがAlipay(アリペイ)ユーザーだと言っても過言ではありません。
日本でも外国人観光客向けにおよそ4万店がこの決済方法を導入しており、加盟店の数は増える一方です。
中国では長年偽札対策に苦慮してきた
それにしても中国はそもそも日本と同様現金主義の国だったのに、なぜこれほどまでにAlipay(アリペイ)がに普及したのでしょうか?
それには以下のような理由が考えられます。
- 中国ではクレジットカードを持てる人が少ない
- 電子決済は偽札対策が不要
- 電子決済は現金よりも安全
- Alipayは導入が簡単
Alipay(アリペイ)が一気に普及した背景には、中国本土のマネー事情も影響しているんですね。
特に中国では偽札の被害が深刻で、その対策には多大な費用をかけてきました。なのでその心配が一切ない電子決済は、お店にとっても大歓迎だったのです。
中国では露天でもAlipay(アリペイ)が使える
しかもAlipay(アリペイ)に必要な準備と言えば店内にQRコードのステッカーを貼るだけですから、これほど低コストで簡単に導入できる決済方法はありません。
中国では屋台や露天にもQRコードのステッカーが貼ってあり、お客は皆スマートフォンのカメラでそれを読み取って決済しています。
中国本土ではスマートフォンだけを持って外出する方も多く、普段の生活において現金は殆ど使われないとまで言われているのです。
日本ではスマホのQRコードを読み取ってもらう
Alipay(アリペイ)にはこの「ステッカー型」も含めて全部で3通りの方式があり、日本国内では「端末型」がよく使われています。
Alipay導入タイプ | 説明 |
---|---|
端末型 | スマホのQRコードを端末で読み取る ※日本で多く使われる |
タブレット型 | タブレットのQRコードをスマホで読み取る |
ステッカー型 | ステッカーのQRコードをスマホで読み取る ※中国で多く使われる |
中国ではお客がQRコードを読み取って決済しますが、日本ではその反対にスマートフォンのQRコードをお店の端末で読み取ってもらう形となります。
財布やカードを出すことなくスマートに清算できる
以下は日本の同じタイプの決済方法の使用イメージです。こんな風に、スマートフォンを手に持ったまま清算が完了します。もちろんお財布やカードを取り出す必要はありません。
コードを読み取るか読み取ってもらうかは、お店によって異なります。
ペイペイもAlipayと同じタイプの決済方法
日本国内にも、中国のAlipay(アリペイ)と全く同じタイプのスマートフォン決済が数多く存在します。あなたはこの中の幾つをご存知でしょうか?
100億円キャンペーンで大きな話題となったPayPay(ペイペイ)も、このAlipay(アリペイ)と同じQRコードを使用するスマートフォン決済です。
日本でもスマホ決済ユーザーは増えている
このように数多くのスマートフォン決済が流通していても、日本では相変わらず現金主義の人が多く、またクレジットカードや電子マネーもそこそこ普及しています。
なので日本でのスマホ決済は、中国におけるAlipay(アリペイ)ほどの拡大には至っていません。しかしこのタイプのスマートフォン決済の利用者が近年増加していることは、最近のデータからも明らかになっています。
Alipay(アリペイ)の使い方!どこでどうやって使うの?
Alipay(アリペイ)は中国本土だけでなく、周辺諸国にまで利用が拡大しています。それだけこの決済方法の使い勝手が良いということですよね。
そこでAlipay(アリペイ)はどこでどのように使えるのか、またどのような使い方ができるのか、さらに詳しく見ていきましょう。
実店舗ではQRコードをスキャンして決済する
まずは実店舗での決済方法です。Alipay(アリペイ)は日本語に対応していないので、中国語と英語表記でご説明しましょう。
読み取り方はそのお店の方式に従ってください。もしもそのお店にQRコードのステッカーが貼ってあれば、次の方法で決済します。
①「Scan」をタップ
②起動したカメラでQRコードを読み取る
③清算完了
以下はお店の端末で読み取ってもらう方法です。
①「付款」もしくは「Pay」をタップ
②自分のQRコードを表示させる
③お店の端末で読み取ってもらう
④清算完了
どちらも簡単なので、初めての方でも間違いなく決済できるでしょう。
ローソンやドンキホーテでも使える
近年日本を訪れる外国人観光客は増える一方ですよね。東京オリンピックや大阪万博ではさらなる増加が見込まれるため、決済方法の対応はお店の急務となっており、Alipay(アリペイ)の導入もその一つです。日本では現在以下のような店舗でAlipay(アリペイ)が利用可能です。
- 東急百貨店
- 近鉄百貨店
- 大丸松坂屋
- そごう・西武
- 高島屋
- 東武百貨店
- ローソン
- セブン-イレブン
- ファミリーマート
- ビックカメラ
- ヤマダ電機
- エディオン
- ドンキホーテ
- 関西国際空港
- 成田国際空港
- 羽田空港
- 中部国際空港
- 無印良品
- ユニクロ
- JTB
Alipay(アリペイ)は導入しやすい決済方法ですから、上記のようなチェーン店に限らず、小さなお土産店や飲食店にも支付宝のロゴマークを見つけることができます。
PayPay加盟店でもAlipay(アリペイ)が使える
注目すべきなのは、100億円キャンペーンで話題のPayPay(ペイペイ)がAlipay(アリペイ)への対応を始めたことです。
- 2018年9月5日に発表された
- 対応店ではPayPayのQRコードがAlipayでも読み込める
- 日本人はPayPay、訪日客はAlipayという棲み分けに対応
但しこの業務提携は始まったばかりなので、現時点で全てのPayPay加盟店でAlipayが使える訳ではありません。またこれは相互乗り入れではないことにご注意ください。
日本人が中国旅行でPayPayを使おうと思っても、中国本土のAlipayのQRコードは読み取ることができません。
中国の通販サイト淘宝網の支払いも簡単
Alipay(アリペイ)は実店舗だけでなく、オンラインショッピングでも使えますよ。アリババ社が運営するショッピングサイト淘宝網(タオバオワン)も、Alipay(アリペイ)残高からの支払いが可能です。これが淘宝網のロゴマークです。
淘宝とは「宝なら何でも見つかる」という意味なんだそうです。淘宝網は中国のオンライン市場の70%という圧倒的なシェア率で、日本でも代行業者を介さず、直接ここから購入する人が増えています。
クレジットカードでの決済も可能ですが、カード決済に対応していないショップもあるので、淘宝網ではAlipay(アリペイ)の方が使い勝手が良いですよ。
ユーザー同士の送金もカンタン
Alipay(アリペイ)が便利なのは、決済だけではなくユーザー同士の送金もできるところです。もしも目の前に相手がいるなら、以下の手順で送金します。
②送金者がQRコードをスキャンする
③金額を決定して送金を実行
お店で決済するのと全く同じ要領なのでカンタンですね。また遠くのユーザーには電話番号を使って送金することも可能ですよ。またその際には簡単なメッセージも添付できます。
Alipay(アリペイ)ならワリカンも簡単
Alipay(アリペイ)にはワリカン機能もついています。これを使えば複数の飲み会での清算が簡単になるので、幹事さんも大助かりです。
ワリカンはAlipayユーザー同士でなくても構いません。相手がWeChat(中国で人気のメッセージアプリ)のユーザーでもOKというのは便利ですよね。
預金機能「余額宝」で利子をゲット
中国のユーザーは、何と貯蓄にもAlipay(アリペイ)を使っています。電子決済で貯蓄だなんて日本人にはピンときませんよね。でもその仕組みはとても単純で、今すぐに使わないAlipay(アリペイ)の残高を投資に回すだけなのです。
この「余額宝」は一元から運用できる上に、銀行に預けるよりも高い利子(4%以上)がつくため、中国では多くのユーザーが愛用しています。
芝麻信用で自分の信用度が一目瞭然に
この他にもAlipay(アリペイ)には「芝麻信用」というユニークな機能があります。これはスコアリングシステムの一種で、Alipay(アリペイ)の利用履歴を基準とし、その人の信用度を点数化したものです。
- アリババ社が開発した個人信用評価システム
- 決済履歴など5つの指標で個人の信用度を評価
- 最低350点?最高950点
- 点数が高いとローン金利が下がるなどメリットがある
日本の金融業界でも、やはり同様のスコアリングが用いられています。ただしその基準はカード会社によって異なりますし、会員は自分のスコア(点数)を知ることができません。
しかし芝麻信用は誰にでも分かりやすく数値化され、いつでも自分自身の目で点数を確認できるのです。
芝麻信用は他企業にも提供され、スコアが高くなるとビザ申請が簡略化できたりホテルのデポジットが不要になるなど、多様なサービスで優遇を受けることができます。
日本人は日本国内でAlipay(アリペイ)払いできない
Alipay(アリペイ)は多くの機能を併せ持つ、とてもユニークな決済方法だということが分かりました。中には中国本土でしか使えないサービスもありますが、日本国内にもAlipay(アリペイ)で支払えるお店は数多く存在します。そこで私たち日本人も、この決済方法を使えるのかどうかを調べてみました。
日本のAlipay(アリペイ)対応店は中国人観光客が対象
結論から先に言うと、日本人が日本国内のお店でAlipay(アリペイ)を使うことはできません。
なぜなら日本国内のAlipay(アリペイ)対応店舗は、あくまでも訪日中国人を対象としているからです。
- × 日本人のAlipayは使えない
- ○ 中国人観光客のAlipayは使える
- ○ 中国本土なら日本人のAlipayも使用可能
つまり日本人がAlipay(アリペイ)を設定したとしても、中国に行く予定がなければ使用する機会がないんですね。
登録する身分証明の数で限度額が決まる
それにしても同じAlipay(アリペイ)なのに、どうして持ち主が中国人か日本人かがわかってしまうのでしょう?それはAlipay(アリペイ)に個人データが登録されているからです。
アプリをダウンロードしたりアカウントを取得することは誰にでも出来ますが、Alipay(アリペイ)の決済機能を利用するにあたっては、必ず1つ以上の身分証明を登録しなくてはなりません。
そして登録する身分証明が多いほど信用度がアップし、Alipay(アリペイ)が使える限度額も高くなります。
ランク | 身分証明の数 | Alipay利用限度額 |
---|---|---|
ランク1 | 1つ | 累計額で1,000元 (約17,000円) |
ランク2 | 3つ | 年間10万元 (約170万円) |
ランク3 | 5つ以上 | 年間20万元 (約340万円) |
例えば携帯電話番号(日本のものでOK)を登録すればランク1になります。ただしこのランク1は累計1,000元以上は使えないため、殆ど実用性がありません。Alipay(アリペイ)を自由に使いこなしたいのなら、やはりランク2以上が要求されます。
日本人はパスポートを登録する
では日本人はどんな身分証明を登録すればいいのでしょうか?以下がAlipay(アリペイ)に登録できる身分証明の種類です。
- パスポート番号と写真
- 中国の身分証明書
- 中国の銀行の口座番号
- 中国の公共料金や鉄道などのAlipay払い実績
中国ではPayPay(ペイペイ)を使えない
なお日本のペイペイ対応店の一部でもAlipay(アリペイ)が使えると言いましたが、こちらも同様に訪日中国人が対象です。
このサービスは日本人=ペイペイ、中国人=アリペイという棲み分けが前提となっており、元より日本人のアリペイユーザーは視野に入っていません。
またこれは相互乗り入れではないため、中国本土のAlipay(アリペイ)対応店で日本のペイペイを使うことができないことにもご注意ください。
Alipay(アリペイ)とは?日本人が中国旅行で使う方法
残念ですが、日本人は日本国内でAlipay(アリペイ)を使うことができないことが分かりました。しかし中国に行けば、国籍にかかわらずAlipay(アリペイ)での決済が可能です。コンビニや屋台でスマホ決済できれば、旅行中だけでも大助かりですよね。
そこで次に中国旅行に向けて、日本人がどのようにAlipay(アリペイ)を登録すればいいのかを見ていきましょう。
中国本土で銀行口座を開設する必要がある
問題はAlipay(アリペイ)に紐付けるカードです。Alipay(アリペイ)には中国の銀行が発行するバンクカードしか登録できません。しかも日本国内の中国の銀行の支店ではだめで、中国本土の銀行で口座を開設する必要があるのです。
クレジットカードを登録できれば話は簡単なのですが、今のところAlipay(アリペイ)は国際クレジットカードには対応していません。
日本のクレジットカード(VISA,Mastercard)で登録できたという例もありますが、この場合も単に登録できたというだけで、肝心のチャージができないのです。
送金や代行サービスによる入金も可能
しかし中国の銀行の口座を作らなくても、実はAlipay(アリペイ)への入金(チャージ)は可能です。これにはAlipay(アリペイ)の送金機能を使用します。
- Alipayユーザーから送金してもらう
- チャージ代行サービスを使う
チャージ代行サービスもありますが、知人に現金を渡してその場で入金してもらえば手数料もかかりません。この方法なら、中国の銀行口座がなくても中国本土でAlipay(アリペイ)を使うことができます。
日本在住者がAlipayを使いこなすのは難しい
実名認証ランクが低ければ利用限度額を超えてしまいますし、人に送金を依頼するにも限度があるでしょう。中国旅行においても、日本人のAlipay(アリペイ)には様々な制約が発生します。
やっぱり中国の銀行口座や中国本土での利用実績がないと、Alipay(アリペイ)を自由に使いこなすことはできないんですね。
Alipay(アリペイ)以外の中国の決済方法
最後にAlipay(アリペイ)以外の中国の決済方法をご紹介しましょう。中国はキャッシュレス化がとても進んでおり、Alipay(アリペイ)の他にも様々な電子決済が使われています。
WeChatPayも中国で人気の高いスマホ決済
Alipay(アリペイ)と同じくらい中国で人気の高いスマホ決済が、WeChatPay(ウィーチャットペイ)です。
これはメッセンジャーアプリを利用した決済方法で、分かりやすく言えば中国版のLINE Pay(ラインペイ)ですね。
WeChatPay(ウィーチャットペイ)はグリーンのロゴマークで、Alipay(アリペイ)のライトブルーのロゴマークと並んで日本でもよく見かけるようになりました。
- 中国語:微信支付
- QRコード方式のスマートフォン決済
- 送金機能なども使える
- Alipay(アリペイ)に迫る人気
- 利用には中国の銀行口座が必要
こちらもAlipay(アリペイ)と同じようにQRコードを使って決済します。やはり中国の銀行口座が必要なので、日本人が使うのは難しいでしょう。
銀聯クレジットカードは日本でも簡単に作れる
日本人でも手軽に作れるのは銀聯カードです。銀聯カードは日本国内のカード会社からも発行されており、日本人も申し込めば簡単に作ることができます。もちろん中国の銀行口座を開設する必要もありません。
あなたがもしも三井住友カードの会員なら、銀聯クレジットカードを追加発行することも可能ですよ。
- 中国のカードブランド
- 英語ではUnionPay
- 中国ではデビットカードが中心
でも実は中国の方が使っているのは、実はクレジットカードではなく銀聯デビットカードです。デビットカードは即時引き落とし型の決済カードで、海外ではクレジットカード同様もしくはそれ以上によく使われています。
日本で作れるのは銀聯デビットカードではなく銀聯クレジットカードで、国内もしくは海外の「UnionPay」ブランド対応のお店で使えます。
今のところ日本人にとって最も使いやすい中国の決済方法は、この銀聯クレジットカードです。Alipay(アリペイ)も将来的にクレジットカードに対応したり、またPayPayと相互乗り入れできるようになれば話は別ですが、今のところ日本人の利用には無理が多く現実的ではありません。
Alipay(アリペイ)とは中国人観光客用の決済方法
Alipay(アリペイ)には預金機能や信用機能もあり、中国の方にとっては決済方法を超える大きな存在です。
ただしAlipay(アリペイ)には原則的に中国本土の銀行口座が必要で、日本人が簡単に使えるものではありません。中国に行く予定のない方にとっては、登録・使用いずれも困難な決済方法です。
また、店舗側が中国人観光客に向けて対応する決済ツールとみてよいですね。