厳しい経済環境が長引く中、企業が成長を続けるための条件のひとつとして「目まぐるしく変化するビジネス環境への適応」が挙げられている。近年、ビジネスとITシステムは不可分の関係となっているが、企業が環境に適応していくためには、新たに生まれるビジネスプロセスや組織に、システムを適応させていくことも必要になっている。

しかし、昨今、ITシステムの調達コストには厳しい目が向けられており、担当者には、合理的なコストでの調達が強く求められるケースが増えている。企業として、削減できるコストは削減しつつ、より付加価値を生む分野へとリソースを投入しようと考えるのは当然の判断だろう。

そうした状況の中、注目を集めているのが「リユースサーバ」だ。リユースサーバは、その名のとおり、「中古再生」サーバである。初期の導入コストが割安になる一方でハードウェアメーカーの保証が受けられないケースも多いが、リユースサーバの販売を行う事業者による製品保証や保守サービスが用意されている場合には、十分に実用性がある選択肢となり、実際に導入を進める企業も増えている。

名古屋を本社とし、ほかにも東京、大阪、岡山、福岡に拠点を構え、フリーペーパーや一般雑誌の流通を主軸とした物流業を展開しているジェイトップは、変化していくビジネス状況と業務に対応した、ITシステムの刷新を検討する中で、データライブの「リユースサーバ」サービスを導入した。リユースであっても、データライブによる「保証」と「サポート」が提供されることが、検討のきっかけになったという。ジェイトップ取締役、マーケティング本部 本部長の松本誠氏と、執行役員 管理本部 本部長の白井宏氏に、導入の経緯と、現在の「リユースサーバ」の活用状況を聞いた。

ジェイトップ

フリーペーパーなどの印刷物を中心とする物流業を展開する企業。株式会社学生援護会の配送を担う企業として1979年に設立され(当時の社名は株式会社エイエヌエキスプレス)、今年で35期目を迎える。

昨年、トップエキスプレス株式会社と合併し、現在の社名に。配送だけにとどまらず、交通機関や各種店舗にフリーペーパーを配布するためのラックを設置しており、印刷物の流通支援事業を展開している点が大きな特徴。例えば、サークルKサンクスに設置されているフリーペーパーラックは、すべて同社が運用/管理している。

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ジェイトップが抱えていた課題と、リユースサーバによる導入効果

導入前の課題 リユースサーバ導入効果
(1)基幹システムの刷新計画があった。 リユース機器を活用したデータライブの保守は1年単位で契約可能あったため、ハードウェアのサポートサイクルに左右されることなく、余裕のある新基幹システムのリプレイス計画を立てる事が可能になった。
(2)現行の基幹システムで利用しているサーバのメーカー保守が終了時期にきていた。しかし、現行システムへの投資は最小限にとどめたかった。 条件に合ったリユースサーバを5台調達。リプレイスの10分の1以下の価格で、稼働が保証されたサーバをそろえることができた。
(3)現行システムから新基幹システム導入までの間のサーバの維持管理・障害時の運用について模索していた。 調達したリユースサーバを既存サーバのスタンバイ機として稼動させることで、現行資産を有効的に活用しながら、システムの冗長化を図ることができた。




――まず、ジェイトップの事業内容についてお聞かせください。

ジェイトップ 取締役 マーケティング本部 本部長の松本誠氏

松本 : ジェイトップは、設立から35期を迎えた「物流業」を営む会社です。かつて「日刊アルバイトニュース」を発行していた学生援護会の物流を担う子会社として創業し、後に独立しました。現在の一般運送事業のほかに雑誌の流通事業、フリーペーパーや有代誌(有料の雑誌)の流通を行っています。

中でも大きいのはフリーペーパー事業で、「サークルKサンクス」をはじめとするコンビニエンスストア、駅、スーパー、ファミリーレストラン、書店といった全国約1万6000個所の流通ポイントにフリーペーパーラックを設置し、その運営と管理も行っています。事業のイメージとしては、印刷物向けのマンションを建て、その部屋貸しを行うと同時に、送迎までお手伝いさせて頂いているかたちですね。フリーペーパー以外にも、ライブなどのイベントやコスメ新商品の告知リーフレット、分譲マンションのチラシ広告などプロモーション活動にもご利用頂くことが多くなっています。現在も、常に効果的な流通ポイントの開拓を続けており、将来的にはこれらのポイントと配送網を新たな「流通インフラ」ととらえて、総合的な物流業として新たな事業を展開していきたいと考えています。

――今回"リユースサーバ"を導入されたシステムは、どのようなものでしょうか。

白井 : 配送を行うための基幹システムになります。フリーペーパーや雑誌の配送にあたって、どれだけのものを、どの店舗に、どのような経路で配送するのかについての作業指示書を出すことができます。合わせて、配送計画や実績の管理、事業としての売上の管理、有代誌については売掛や買掛の管理も可能で、これらを経理のパッケージソフトと連携させる役割も担っています。

――ジェイトップの事業にとっては、必要不可欠なシステムですね。

ジェイトップ執行役員 管理本部 本部長の白井宏氏

白井 : はい。しかし、システムは問題を抱えていました。

現行のシステムは、事業内容の特性からパッケージではなく、自社の業務に合わせた完全なオリジナルシステムであり、ある大手SIerに発注して6年前に導入したのですが、ここにきて、サーバのメーカー保守切れが近づいていました。そこで、SIerにリプレイスの依頼をしたところ、最適なサーバの新調と動作検証のために2000万円ほどかかるとの見積が届いたのです。

ちょうど同じ頃、システム自体に関しても、6年前とはビジネスの環境が変わる中で、現状業務にそぐわないケースが増えてきていました。また、外注先とのタイムリーな情報共有や内部統制整備、戦略的経営計画の作成や効率化等、システムにさらなるアドバンテージを求めるニーズが高まってきていました。そのため、基幹システム刷新の計画立案が開始した時期でもあったのです。

現状を踏まえて、現行システムへの投資を最小限にとどめるにはどうすれば良いか、また、新システムの導入までの間、保守切れを迎えるサーバをどのように維持管理していくか、特に障害時の運用をどうするかについて検討していたところ、同じような課題を抱えていた企業がデータライブさんの「リユースサーバ」サービスを導入しているという記事をWebで拝見し、問い合わせを行ったのです。実は、自社のサーバは、データライブさんの製品ラインナップの中にはなかったのですが、快く対応していただけるという返事をもらい、現行システムの延伸稼働を議論の俎上に載せることができました。

データライブ リユース事業部 営業部長の武藤友徳氏

武藤 : IT機器・パーツの調達に関しては、国内50社、北米/欧州700社から成るネットワークがございますので、当社Webサイトのメニューにない製品に関しても、ご相談いただければ対応できるケースは多いですね。特にメーカーでの販売終了したモデルに関しては一般の方では入手が困難なので、お力になれると思います。

――導入の決め手になった部分は、どこなのでしょうか。

白井 : サーバはリユース品であっても、業務に利用する以上、購入後の「保証」は必須です。データライブさんでは、パーツ故障の際には最短1日での「部品交換」に応じてくれるとのことでしたので、安心して導入を決めることができました。また、「オンサイトサポート」も行っているということで、いざという時にはそうした対応が可能だという点もありがたいと感じました。

データライブさんには条件に合ったリユースサーバを探してもらい、導入検討から約半年で、5台のサーバを購入しました。結果的に、新品見積の10分の1以下の価格で、稼働が保証されたサーバがそろい、それらを現行システムのスタンバイ機として構成することができました。

今振り返っても、リユースサーバという選択肢が生まれたことは非常に大きかったですね。 リユースサーバの保守サービスは1年単位での更新が可能なため、新システム導入までのサイクルを折り込んだ余裕のある計画を立てることが可能になった点、基幹システムのダウンタイムを縮小させシステムの冗長化を図ることが出来た点、万一のサポート体制も整っている点、その何れも最小のコストで大きなメリットを得られたと思っています。

武藤 : ジェイトップさんは、東京にもオフィスがありますが、本社は名古屋でしたよね。当社は、本社を東京に構えておりますが、北海道から九州まで各地に物流倉庫とメンテナンス要員を置いています。常勤メンテナンス要員は、パートナー企業を含めて200人以上おり、故障時に即対応できる環境を整えているので、仮に地方拠点で問題が発生した場合でもサポートすることは可能です。今後も何かあればぜひご相談ください。

――今回は、移行期間の安定稼働を確保することを目的としたリユースサーバの採用だったわけですが、今後導入予定の新システムのハードウェアとして、リユースを活用する可能性はありますか。

白井 : データライブさんによる部品交換やオンサイトサポートといった「保証」があることで、リユースの活用の幅は大きく広がると考えています。例えば、新しいシステムであっても、すべてを「新品」で作る必要はないかもしれません。システムには「本番環境」「テスト環境」を用意しておくことが理想ですが、テスト環境用の機材については、本番機と同等のコストで新品を用意する必要はなく、リユースを採用してコストダウンを図ることも可能だと思います。

企業が事業のために使える資源は限られています。その資源をビジネスの発展のために、どのように配分していくかは大きな課題です。その点で、リユースサーバを効果的に活用できる態勢を整えてくれる、データライブさんのような企業に協力してもらえることは、会社として大変心強いですね。

――今後のシステム投資の計画を見据えた上で、データライブへの要望はありますか。

白井 : ジェイトップでは今後、モバイルデバイスのビジネスでの有効活用施策やセキュリティ強化施策、新システム化に伴う環境構築など、ハードウェアに対する需要もまだまだ生まれてきます。今後も、ぜひデータライブさんに協力してほしいと思っています。