さていよいよ「毎日、確実に英語で30分話す」方法の回だが、これはちょっとばかりお金がかかる。最近、静かなブームになっているかもしれない「オンライン英会話スクール」を使うのだ。

以前なら"英会話スクール"と聞くと、何十万円もするチケットを買わされたり(挙句の果てに倒産したり)、あるいは月謝制の場合、週に1回のグループレッスンでも少なくとも1万円はするのが相場だったと思う。

しかし、今回紹介する「オンライン英会話スクール」は違う。まったく違う。何しろ激安だ。毎日25分プライベートレッスンをして月5,000円なのだから。

ありえない……この価格はありえない。なぜこんな価格が可能なのか。それはレッスンをフィリピンにアウトソースしているから。

アウトソースというと、日本企業のプログラミング作業をインドや中国にアウトソースするのが通例。米国の企業のコールセンター業務をインドやフィリピンにアウトソースしているとも聞く。そう、ついに英会話スクールもアウトソースされる時代になったのだ。これを可能にしたのはまさに無料インターネット電話Skypeのおかげ。このビジネスモデルを最初に考え出した人はエライ!

さて、今回は私が人柱となって2つのスクールを無料体験してみたので報告しよう。

1つめは「レアジョブ」。ここは古くからやっているようだ。毎日50分話すと月8,000円で、毎日25分なら月5,000円。忙しい社会人の場合は毎日25分で十分ではないか。

Webサイトによると、講師はフィリピンの優秀な大学の現役生または卒業生とのこと。無料体験が2回できるので、さっそく体験してみた。

まず、先生の予約をWebサイトで行う。先生の写真と自己紹介があり、音声が聞けるので、好みの先生を選ぼう。平日は夜8時から深夜1時まで30分単位でレッスンが行われる。土日は午前もレッスンがある。

予約ができたら、当日Skypeを立ち上げて待っていると、先生からコンタクトに入れてくれとメッセージが入り、レッスンスタート。

今回の先生は応用数学専攻の学生だった。初回は自己紹介とレアジョブのレッスンの進め方など。テキストは初級の人は推奨テキスト(SIDE by SIDE)を別途買うか、レアジョブオリジナル教材を使うか(これは無料っぽい)、ESL用の外部のサイトなどを使って総合的に学習するか、または自分で用意した教材(Webの記事とか)でもいいようだ。

リスニングを鍛えたいと言ったら、ESLの教材のひとつをやらされた。初級だったので簡単だったと不平を言うと、上級になると難しくなるという。じっくりと総合的に学習したい人はESLのサイトを教材にするものよいだろう。

私の場合はスピーキングの場数を作るためにやろうとしたことを思い出して、フリートークをやってみた。

お決まりの自己紹介で、趣味はと聞かれて、reading books and seeing moviesと当たり障りなく答えると、どんな本かとか、どんな映画かとか突っ込まれ、action moviesとか、romantic comediesを観ると答えた。しかしまあ、あいかわらず言いたいことがするっと口から出てこないものだ。

25分のレッスンはあっという間に終わった。思ったとおり、英語は思うようには話せなかった。

と、ここで終わってはもったいないので、今日言いたかったが、ちゃんと言えなかったことを英語で書いてみて、先日紹介したLang-8に投稿しておいた。誰かが添削してくれるかもしれない。

当初の予定では、自分に関する100の文章をまず書いて、それをSkypeで場数を踏もうと思ったが、順番を変えようと思う。まずSkypeで何か話して英語が出てこなかった悔しさをバネにして、正しい表現を覚えるという方法だ。

海外旅行に行って英語が話せなかった悔しさは帰国するとそのうち消えてしまうけれど、毎日Skypeで話せば、毎日悔しい思いをするので、英語表現を学ぶモチベーションが維持され続けるのではないか。

で、2日目のレアジョブ。今回は建築学科の学生だ。ちょっと気を抜いたら、また自己紹介になり、昨日と同じことを聞かれ、"My hobby is watching movies." - 特に、action moviesとromantic comediesだよ!と同じ内容を繰り返してしまう。ああ、時間がもったいない、と思いつつも、もしかして今、私は自己紹介の場数を踏んでいるのかもしれないと思ったりした(ちなみにロマンチックコメディはrom-comという)。

あとオススメなのは、Skypeの会話を録音しておくことだ。聞き取れなかった部分を聞きなおしたり、いかに自分が話せていないかを直視するのにピッタリだ。Tapurというソフトを使えば簡単。

そういうわけで、レアジョブ、なかなかいい。先生の発音がフィリピン人だけに気になる人もいるだろう。たしかにネイティブとはちょっと違うが、この安さには代えられない。

2つめのオンライン英会話スクールの無料体験はスカイトーク。こちらはまだ新しい感じだが、システムがレアジョブと驚くほど似ている。先生の質も料金体系もほぼ同じ。ただしスカイトークはポイント制もあるので毎日はムリという人にはうれしい。

スカイトークは1週間の無料体験ができるので、4回体験した。4回目あたりで気づいたのだが、自分は必ずしも毎日英語で会話したいわけじゃないということ。仕事に疲れて帰ってきて、英語で話したくないことって、あると思う。会話が面倒という感じ。これではいけない。習慣付けにはあとひと工夫いるかも。

そうそう、スカイトークの初回のレッスンで行うレベルチェックは、いままで受けたことのない英語運用能力を測定するテストだった。これだけでも受けてみる価値があると思う。

今回試したレアジョブとスカイトークはどちらも英会話の場数を踏むにはオススメだ。まずは無料体験を試してみてほしい。

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる