退職代行を利用した退職を検討している人の中には、「退職代行を利用したら、損害賠償請求されるのでは?」という不安を抱えている人もいます。
退職代行の利用が損害賠償請求の直接的理由として見做されることはありませんが、退職時に法や社内規定に反する言動を取った場合は損害賠償の対象になるので注意する必要があります。
本記事では、退職代行を利用した退職が損害賠償請求の原因にならない理由を説明した上で、退職時の損害賠償請求リスクを回避する方法について説明します。
退職代行の利用自体が損害賠償の理由になることはない
退職時における退職代行の利用が損害賠償の原因になることはありません。
労働者が退職代行を利用して会社を辞めることは、法や社内規定に反する行為ではないと見做されているからです。
また、労働者が退職代行を利用したことで、会社が具体的に被る損害はないと一般的に考えられています。
しかし、退職代行利用者の中には退職の際に損害賠償を請求されてしまった人がいることも事実です。
その原因は退職代行を利用したことにあるのではなく、別の理由が関係していることがほとんどといえます。
退職で損害賠償請求を回避する7つの方法
法や社内規定、あるいは倫理に反する言動を控えることによって、退職時に損害賠償請求リスクを回避することができます。
退職で損害賠償請求を回避する7つの方法、
- 弁護士と提携している退職代行サービスを利用する
- 会社から借りている物品は必ず返す
- 無断欠勤をしない
- 退職時に機密情報を持ち出さない
- 研修や留学直後に退職しない
- 会社に損害を与えない
- 会社の名誉を傷つけない
について説明します。
退職で損害賠償請求を回避する方法1.弁護士と提携している退職代行サービスを利用する
弁護士と提携している退職代行サービスを利用すれば、根拠のない損害賠償請求を受けた場合に適切な対応をしてもらえます。
また、弁護士に退職代行を依頼した場合、会社側は法のプロである弁護士を経由して不条理な損害賠償請求をしてくることはないと考えられるでしょう。
退職で損害賠償請求を回避する方法2.会社から借りている物品は必ず返す
従業員が会社から貸与されている物品として、マニュアル、制服、靴、仕事道具などがあります。
退職時にこれらの返却を怠った場合や、返却に応じなかった場合には損害賠償請求の対象になることもあります。
特に、マニュアルは会社の機密情報が書かれているため、多くの会社が取り扱いに慎重です。
マニュアルを返却しなかったあげく紛失し、悪用された場合には責任を問われることになりえるでしょう。
退職で損害賠償請求を回避する方法3.無断欠勤をしない
無断欠勤は業務違反となるだけでなく、会社に損害を与えることにもなりえます。
出社してくるはずの社員が出社してこなかったために、その日の業務がまわらなかったり、顧客や取引先を怒らせたりしてしまうこともあるでしょう。
また、他の社員に対しても迷惑がかかります。
2週間以上の無断欠席は懲戒解雇の対象になる可能性があるので注意して下さい。
退職で損害賠償請求を回避する方法4.退職時に機密情報を持ち出さない
退職時に会社の機密情報を無断で持ち出す行為は、いかなる理由があっても認められません。
機密情報には、会社のノウハウ、マニュアル、人事に関すること、取引先の情報などが含まれています。
退職で損害賠償請求を回避する方法5.研修や留学直後に退職しない
会社のお金で研修や留学をした直後に退職した場合、それにかかった費用の返還を求められることがあります。
会社は社員が研修や留学を経て、自社により貢献してくれる人材に成長することを期待して費用を負担しています。
会社のお金で学び、スキルを身につけたものの、会社に貢献する素振りも見せず辞めることは法的にも好ましくないと捉えられています。
特に、自由参加の研修や留学は注意が必要です。
研修や留学の参加前に、参加後一定期間内に退職した場合における費用の扱いについて誓約書を交わすケースもあります。
退職で損害賠償請求を回避する方法6.会社に損害を与えない
突然退職すること自体が会社に損害になるというケースもあります。
担当しているクライアントに一言も告げずに退職して会社全体の信頼を落としたケースや、引き継ぎを一切せずに退職して業務が混乱したケースなどが該当します。
退職で損害賠償請求を回避する方法7.会社の名誉を傷つけない
退職代行を利用して退職する人の中には、会社に不平不満を抱えている人が多い傾向にあります。
退職後、SNSなどに会社や上司の悪口を書き込み、会社の名誉を傷つけた場合には訴えられる可能性もありますので注意して下さい。
不当な扱いを受け、退職を余儀なくされた場合であっても、会社に関する否定的内容をSNSなどに書かないことが無難といえるでしょう。
根拠のない損害賠償請求をされた時の3つの対処法
会社を退職する際、退職代行の利用の有無に関わらず、根拠のない損害賠償請求をされることもあります。
根拠のない損害賠償請求をされた時の3つの対処法、
- 弁護士に相談する
- 労働組合に相談する
- 事実確認が取れない段階で応じない
について説明します。
根拠のない損害賠償請求をされた時の対処法1.弁護士に相談する
会社から根拠のない損害賠償や「おかしいな?」と感じる損害賠償を請求された場合は、法律のプロである弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士は法律や様々な情報を考慮した上で、損害賠償請求が妥当か否かを判断します。
不当な損害賠償請求であると判断された場合、弁護士が適切に対応してくれます。
根拠のない損害賠償請求をされた時の対処法2.労働組合に相談する
労働組合は労働者を守るための機関です。
根拠のない損害賠償請求をされた場合は会社の人に相談せず、労働組合に相談するようにしましょう。
個人で会社に申し出を行い取り合ってもらえない場合であっても、団体交渉することによって解決できる場合もあります。
根拠のない損害賠償請求をされた時の対処法3.事実確認が取れない段階で応じない
会社から損害賠償請求をされたら焦りや不安を感じるものです。
損害賠償請求をされた人の中には、おかしいと思いつつもよく分からないために請求に応じた人や、不安のあまりに請求に応じた人もいます。
会社からの損害賠償請求全てが正当なものとは限りません。
根拠や事実を確認した後で、支払うようにして下さい。
まとめ
退職代行を利用すること自体が損害賠償請求を受ける原因にはなりません。
退職代行を利用した退職で損害賠償請求を受けた人は、退職時に法や社内規定に反する言動をとってしまった人や、根拠のない損害賠償を理不尽に請求された人であると考えられます。
損害を意図せずして会社に与えてしまった場合は損害賠償の対象となりますが、事実確認や金額の妥当性を確認することをおすすめします。
退職代行の利用を検討している人は、退職時に法や社内規定に反する言動をとらないように気をつけて下さい。