国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2017」が2017年9月1日から9月6日までドイツ・ベルリンで開催された。デジタル家電、白物家電、オーディオ機器、パソコン関連などの新製品が発表される場でもあり、エレクトロニクス関連業界のグローバルな新製品がデビューする場として注目を集めている。

IFAは年々来場者が増えている、世界的な展示会

今年は世界中から1,800社以上の企業が出展し、トータルで253,000人が来場。会場内は熱気にあふれ、ビジネス関係者やメディアだけでなく、家族連れの一般人も多く楽しんでいた。そんな中で、注目されていた白物家電についてご紹介したい。

サブギガ帯無線を使って調理できる「ダイアローグ・オーブン」

エントランスの目立つ場所に巨大な看板があった。何か新しいテクノロジーを予感させるようなイラストが気になったので、ミーレに行ってみることにした。ミーレはドイツのプレミアムブランドで、日本では食器洗い乾燥機などが有名だ。

入り口にあったミーレの看板。オーブン風なシルエットが気になったのでミーレのブースへ

ミーレの展示ブースはかなり広い。勢いを感じるメーカーだ

ミーレ展示ブースに行って巨大看板にあった製品の正体が判明した。今までにない方式のオーブンとなる「ダイアローグ・オーブン」で、今回のIFAで発表された新製品だ。

派手な演出でひときわ目立つ「ダイアローグ・オーブン」

特定の周波数で電磁波を生成させるモジュラーユニットが搭載されており、2つのアンテナからオーブン内に電磁波を送る。単一の周波数帯域だけでなく幅広い周波数帯を使い、伝達されたエネルギーがどれくらい吸収されたかを常に計測しながら調整を行いながら調理。電子レンジに比べて電磁波が食材のより深くまで浸透していくという。

915MHz周辺のサブギガ帯無線を使って調理できるので、食材を均一的に調理可能というメリットがあるとのこと。外を焦がすことなく、中まで均一に調理でき、ローストビーフなどをムラなくジューシーに仕上げられるという。ダイアローグ・オーブンでマーブルケーキを焼くと、従来のオーブンでは55分かかっていたものが37分で焼き上がる。所要時間は最低でも70%に短縮されるというから驚きだ。

新製品ダイアローグ・オーブンはユニークな機能を備えているが、今までにない製品のため、調理方法に迷うかもしれない。そういった事態を想定してMiele@mobileアプリのレシピ機能では、ダイアローグ・オーブン専用のレシピが常に開発され、データベースへ追加される予定だという。ダイアローグ・オーブンは2018年4月発売予定で、価格は7,990ユーロ。展示ブースでは多数のメディアや一般客がダイアローグ・オーブンの前で立ち止まり、スタッフに質問していた。白物家電の中でも特に注目度の高い製品だった。

扉を開けてみたが、一見ふつうのオーブンレンジと変わりがない

上にはヒーターが見える。これは表面に焦げ目をつける役割のほかに、温度を下げないために使用し、補助的なものだという

扉が分厚くてビックリ! 当然中は見えないが、きちんと食品の状態をコントロールする途中の状態が確認できなくても問題ないという

また、ミーレはアマゾンが提供するAmazon Alexaのボイスサービスと提携。スピーカーを使って「アレクサ、ミーレに洗濯物が終わったか聞いて」と問いかけると「乾燥機がまだ稼働中で、あと13分かかります」といった答えが返ってくるという。調理機器を使った際に要する野菜の調理時間などを調べることもできる。ただし、どういった機能に対応するか詳細は決まっていないとのこと。最初はドイツ語のみ対応しており、その他の言語についての対応時期は未定。

スマートホームを進めるミーレはAmazon Alexaのボイスサービスと提携

洗濯機も興味深い新機能が紹介されていた。洋服にシミが付着したとき、便利なのがMiele@mobileアプリに組み込まれた汚れ除去アシスタントだ。布地に付いてしまった汚れを取り除くための対処方法や、正しい洗濯プログラムと適切な洗剤をアプリが教えてくれる。

また、アプリ上ですぐに特定できない汚れがあった場合は、スマートフォンで汚れ部分と汚れていない布地部分の写真を撮影し、布地の種類と色を入力するだけで、汚れ除去ガイドが最適な洗濯方法を教えてくれる。こちらもコンセプトモデルとなっており、対応時期などは未定。

専用アプリ「Miele@mobile」で汚れを撮影し、布地の種類と色などの質問に答える

最後に最適なプログラムを表示してくれる。このまま洗濯機への送信もできるようになるという