スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですからスペック表を見ると、専門用語のオンパレード……おいそれと比較はできません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「連続待受時間と連続通話時間」についてです。

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連続待受時間とは、携帯電話が満充電のとき電源を入れてからバッテリーが尽きるまで、電波を正常に送受信できる平均的な利用時間のことです。なにもせず待受のまま過ごす"静止状態"がどれだけ続くかを計ることで、携帯電話としての基本機能である音声通話を利用できるか客観的に示すことができます。

この連続待受時間という概念は、スマートフォン登場以前の携帯電話(フィーチャーフォン)の頃一般化しました。フィーチャーフォンはスマートフォンほど多機能ではなく、液晶パネルのサイズが小さいうえ、高度なグラフィック処理は必要ありません。CPUなど演算装置に求められる性能水準もスマートフォンほどではなく、結果として電力消費量が抑えられます。そのため、連続待受時間が500時間を超える端末も珍しくありません。

一方のスマートフォンはといえば、300、400時間を超えた連続待受時間をうたう端末もありますが、実際に使用したときとのギャップは否定できません。それは音声通話がスマートフォンのいち機能に過ぎないうえ、見た目にはスリープ状態の待受中といえど複数のアプリ(プロセス)が稼働し、通知や位置情報などの機能によりデータ通信もひんぱんに行われるからです。スマートフォンの場合、実際の使用可能時間と連続待受時間には、フィーチャーフォン以上に大きな開きがあると言っていいでしょう。

そのような事情から、スマートフォンでは「連続通話時間」もあわせて参照されます。連続通話時間とは、文字どおり連続して音声通話が可能な時間のことで、連続待受時間の数十分の一ほどになる端末が多いようです。もっとも、端末の状態や基地局(アンテナ)からの距離など条件次第で通話時間は変化するため、実利用ではもち時間がさらに短くなります。実利用に近い時間を知りたいのであれば、ビデオやオーディオ、インターネット接続時の時間なども考慮することが現実的でしょう。

写真で解説

スリープ状態の待受中といえど、システムの背後では複数のアプリ(プロセス)が稼働し続けているスマートフォンは、実際の使用可能時間がカタログスペックにある「連続待受時間」を大幅に下回ります