思わずカメラを向けたくなる美しい桜の花があちこちで見られる季節になりました。今手持ちの標準ズームを生かしながら、より近寄ったマクロ撮影が可能になるアイテム、ケンコー「クローズアップレンズ」を使って、花のマクロ撮影を楽しんでみましょう。

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【ハウツー】「クローズアップレンズ」で楽しむ春のマクロ撮影 - 後編・望遠レンズの場合

ACクローズアップレンズ No.4を使用。絞り優先AE(F8 1/250秒) ISO160 ホワイトバランス:晴天 焦点距離:47mm カメラ:EOS 60D レンズ:「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS」(原寸大画像を見る)

桜などの花をデジタル一眼で撮る場合、もっと接近したいのに、これ以上近寄るとピントが合わない、といった経験はないでしょうか。多くの標準ズームレンズでは、最短の撮影距離まで近寄ると、およそ名刺大のサイズを画面いっぱいに撮ることができます。

この接写性能でもメモ用途なら十分かもしれませんが、桜などの花をクローズアップで捉えるには少々もの足りなさが残ります。もちろん製品によって差はありますが、それ以上に接近できるレンズは少数派といえます。

そんな時に役立つのがケンコー「クローズアップレンズ」です。一般的なガラス製フィルターと同じように、交換レンズの前面に装着するだけで、そのレンズの撮影距離を短くできるアクセサリです。高価なマクロ専用の交換レンズは使わずに、手持ちの標準ズームレンズを生かしながらマクロ撮影が楽しめるようになります。

ケンコー「クローズアップレンズ」。撮影距離の違いによってNo.1/2/3/4/5/10などの種類があります。また、各Noごとにフィルター径が異なる製品が用意。自分のレンズのフィルター径に合ったものを選びましょう

使い方はレンズの前面に装着するだけ。これで最短撮影距離が短くなります

ケンコー「クローズアップレンズ」にはいくつかの種類があり、製品名に記された番号が大きくなるほど撮影距離が短くなります。今回試用したのは、単玉タイプのもっともポピュラーな「MCクローズアップレンズ No.1」「No.2」「No.3」と、1群2枚で構成される「ACクローズアップレンズ No.4」、2群2枚で構成される「MCクローズアップレンズNo.10」の計5製品です。

まずはその効果を確認してみましょう。下の写真は上から順に、クローズアップレンズなし/No.1/No.2/No.3/No.4/No.10で撮影したものです。

クローズアップレンズなしで撮影。撮影距離は25cm。ワーキングディスタンス(レンズ前面から被写体までの距離)は約11.5cm(原寸大画像を見る)

MCクローズアップレンズ No.1を使用。ワーキングディスタンスは約10cm(原寸大画像を見る)

MCクローズアップレンズ No.2を使用。ワーキングディスタンスは約9cm(原寸大画像を見る)

MCクローズアップレンズ No.3を使用。ワーキングディスタンスは約8.5cm(原寸大画像を見る)

ACクローズアップレンズ No.4を使用。ワーキングディスタンスは約7.5cm(原寸大画像を見る)

MCクローズアップレンズNo.10を使用。ワーキングディスタンスは約5cm(原寸大画像を見る)

なお、製品名に含まれる「AC」の文字はアクロマートの略で、複数のレンズを組み合わせることで色収差を補正した高級クローズアップレンズを指します。通常の「MC」タイプと比較して球面収差が少なく、よりクリアーな像を得ることができます。

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