NASAが「Image of the Day」で取り上げた写真の中から、今回はスペースシャトル「ディスカバリー」の引退と、次世代機の開発風景をお送りする。

スペースシャトル「ディスカバリー」の切り離し

Space Shuttle Discovery Readied for Demate

2012年4月18日、ワシントン・ダレス国際空港で機体の切り離し態勢に入ったスペースシャトル「ディスカバリー」。最終目的地となるスミソニアン航空宇宙博物館への旅路の、中継地点をとらえた1枚だ。

NASAの軌道船として初めて引退する「ディスカバリー」は、これまでに39のミッションを完了。宇宙空間にいた日数は365日、地球を周回した回数は5,830回、そして移動した距離は148,221,675マイル(約237,154,680キロメートル)を記録している。

スペースシャトル「ディスカバリー」、スミソニアン航空宇宙博物館に到着

Space Shuttle Discovery Arrives at Udvar-Hazy

上記の画像から一夜明けた、2012年4月19日。スミソニアン航空宇宙博物館新館で行われた式典で、NASAの軌道船として初めて引退する「ディスカバリー」(右)と、スペースシャトル「エンタープライズ」(左)が対面した。

「ディスカバリー」は、それまで展示されていた「エンタープライズ」と交代して博物館に展示される。これまでの宇宙空間での功績を記念するとともに、次世代のための教育、感化のために今後も活躍する。ちなみに席を明け渡した「エンタープライズ」は、ニューヨークにあるイントレピッド海上航空宇宙博物館に移管される予定となっている。

新型宇宙船「オリオン」の落下試験

Orion Drop Test

宇宙船「オリオン」は、NASAが開発中の有人宇宙探査用輸送船。当初はこの「オリオン」がスペースシャトルの後継となる用途を担う予定であったが、一度開発中止が発表された後、2012年4月15日、オバマ大統領が「国際宇宙ステーションの緊急脱出装置」として開発を続行すると発表した。

「オリオン」は1つの機体に4人~6人の乗員を収容するように設計されている。また、国際宇宙ステーションへの民間・国際連携輸送サービスを補助することもできるようだ。

同機体を宇宙まで輸送するのは、「宇宙打上システム(the Space Launch System)」と呼ばれるロケット。低周回軌道を超えていくことができるため、人類による宇宙探査に全く新しい可能性をもたらすとされている。

この写真は、2012年2月29日にアリゾナ州ユマ郡にある米陸軍の性能試験場上空で行われた「オリオン」実験機の落下試験をとらえたもの。この試験では、機体自体によって生じる機体背後の気流の影響が測定された。

宇宙船「オリオン」から舞い降りるパラシュート

Testing the Orion Crew Vehicle's Parachutes

「ディスカバリー」切り離しの前日である2012年4月17日、アリゾナ州上空で、NASAによる有人宇宙船「オリオン」の突入・降下・着陸に関するパラシュート試験が実施された。

この試験は「オリオン」の軌道飛行試験の準備として行われたもの。主な目的は、パラシュートが早く開きすぎた場合にシステムがどう反応するかを見極めることと、軌道飛行試験で予想される高い動圧をかけた状態で減速用パラシュートの設計を確認することである。

おまけ:宇宙から見下ろしたモスクワ

Moscow at Night

国際宇宙ステーションから見た夜のモスクワ。画像中央に見える、まばゆい街の光が印象的だ。

これは2012年3月28日に約384キロメートル上空から撮影されたもので、画像上方向が西北西。北緯49.4度、東経42.1度、ボルゴグラードから100マイル(約160キロメートル)の位置である。画像の左側に写っているのは宇宙ステーションのソーラーパネル。地平線に沿って、オーロラ、大気光、夜明けの光が見える。

宇宙船「オリオン」は、実用化されれば国際宇宙ステーションに人員や貨物を輸送する役割を担う。次世代を担う機体が、美しい地球の姿を見るのはいつになるだろうか。開発の進展に期待がかかる。