待望の1stアルバム「冬花火」

――さて、今回のアルバムの表題曲として「冬花火」を選んだ理由を教えてください

「『冬花火』が使われているゲームを作った方から今回のアルバムのお話をいただいたというのもあるのですが(笑)、やはりライブでも『冬花火』は人気が高い曲なので、表に出す顔としては最適なのではないかと思います。発売されるのは春なんですけどね(笑)」

――「冬花火」の詞で注目してほしいところはどのあたりになりますか?

「Aメロなどを見ると、本当に『泣いて、泣いて』な世界になるんですけど、一人でも頑張っていきますといったサビを持ってくることで、あまりジメジメした感じにはしたくなかったんですよ。みんなそうだと思うんですけど、強そうにみえても、内側はけっこう脆かったりするじゃないですか。そんな強さと脆さの中、泣きすぎず、笑いすぎず、流れに乗っていけば、人生にはこういうこともあるよねって。でも歩いていかなければみたいな感じですね」

――「私の上に綺麗すぎた冬花火」なんて、もう詞を読んでいるだけでも泣けてきますよね

「泣いちゃってください(笑)。本当に切ないですよね。ライブでこの曲を聴いて泣いてくださる方がいらっしゃると、マイクを置いて、ギュッと抱きしめに行きたくなります」

――詞があって、曲があって、氷青さん歌があって、さらにゲームのイメージなども混ざり合ってくるんでしょうね

「ゲームを知らない方でも、自分の失恋とかと重なる部分があるみたいですね。男の子はけっこう恥ずかしがって、ウルって来ちゃいましたぐらいなのですが、女の子は本当に号泣している子もいます」

――単なる切なさだけでなく、そこから立ち上がる「強さ」というものを感じてほしい曲ということですね

「そうですね。恋愛において、失恋を忘れるのは、次の恋でしかないのですが、それは時間が経たないとどうしようもないことで、この時点ではまだ整理が付いていない段階の歌なんですよ。なので、とりあえず一人で頑張って立つところまでを歌にした感じですね」

――今回のアルバムに収録されている曲はすべてがお勧めだと思いますが、「冬花火」以外で注目してほしい曲をもう一曲選ぶとしたらどの曲になりますか?

「じゃあ寂しいついでで(笑)、『あなたがいなくて』ですね」

――また泣かせる曲ですね

「これはちょっと重たいですけど、大人になった方なら誰でも経験があるような失恋ソングになっています。比較的新しい曲で、ライブでも後ろのほうで歌う曲です。この曲は特に音源がなく、ライブではギター一本をバックに歌う曲なので、今回あらためてアレンジをしてもらったのですが、ますますいい感じの悲しい曲になりました(笑)」

――氷青さんの曲には比較的、失恋系のラブソングが多い感じですが、得意な曲はどのあたりになりますか?

「決して恨み節にはならず、でも明るくなりすぎず。一人の歌が多いですね」

――確かに辛いながらも現状は受け入れているといった感じですよね

「これを糧にして明日を生きていくというのが前提となっていますので、悲しいことも辛いことも受け止めて、人間を大きくしていく途中みたいな感じですね。楽しいか、寂しいかといえば、寂しい歌が多いかもしれません」

――あくまでもメッセージとしては「前向き」な感じですね

「そうですね。ライブに来てくれる女の子は、本当に良い子が多いんですよ。愛想も良くて、優しくて、仕事も頑張っていて。でも絶対にいろいろと辛いこともあるはずなので、ちょっと力を抜いたり、泣ける場になればいいなと思ってます」

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