「超小型衛星」というものが今、熱い。本当に熱いのだ。何と言っても、一辺わずか35cmの立方体、大学が開発したこのサイズの人工衛星が、地球を飛び出し、金星に向かうような時代なのだ―――。

注:衛星の世界では、数百kgのものでも「小型」と呼ばれるため、それ以下のものを「超小型衛星」として区別する。しかし、明確な定義があるわけではない

この衛星――地球を周回するわけではないので厳密に言えば"人工衛星"ではなく"人工惑星"になるが、慣例として"衛星"と表現する――を開発しているのは大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)。2002年に設立されたNPO法人で、この団体には40を超える大学・高等専門学校(高専)の研究室が参加している。

これまでに、実際に10機を超える衛星が、UNISEC所属の大学・高専によって開発され、軌道上に打ち上げられた。もともとは教育から始まった取り組みであるが、大学発の衛星開発ベンチャーが立ち上がるなど、今後、産業に繋がりそうな勢いもある。

UNISEC関連の衛星プロジェクト
打ち上げ 衛星名 開発大学・高専
2003年 XI-IV
CUTE-I
東京大学
東京工業大学
2005年 XI-V 東京大学
2006年 Cute-1.7+APD
HIT-SAT
東京工業大学
北海道工業大学
2008年 Cute-1.7+APDII
SEEDS
東京工業大学
日本大学
2009年 PRISM
STARS
KKS-1
SPRITE-SAT
東京大学
香川大学
東京都立産業技術高等専門学校
東北大学

これまでの10年はどうだったのか。そして、これからの10年はどうなるのか。2010年という節目を迎えた今回、UNISECの中須賀真一理事長(東京大学教授)に、超小型衛星について話を聞いた。

UNISECの理事長で東京大学 大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授の中須賀真一氏