ブログやSNS、YouTube、Twitterといったソーシャルメディアは個人で使う分には楽しいメディアだが、経営者は機密情報の漏洩経路として脅威に感じている。

今でも、会社の外に発信される従業員のEメールの中身はいざとなれば会社側が検閲するだろうし、社外の掲示板などで自社の悪い評判が書かれていないかチェックすることも行っているだろう。しかしこれらは脅威に対する対症療法だ。

Eメールが完全にビジネスに定着し、今後なくなることはないと思われると同様に、ソーシャルメディアも一時の流行ではない。さらにソーシャルメディアは我々のビジネスの方法を変える力を持ちうることを経営者は認識すべきだ。

つまり、経営者はソーシャルメディアを単に脅威として捕らえるのではなく、チャンスとして活用できないかと発想を転換する必要があるのだ。

Harvard Business Publishingの「ソーシャルメディアがビジネスにもたらす5つの課題(原題: Five Challenges Social Media Will Bring to Business)」という記事は、そんな経営者に向けた、今から準備しておいたほうがよい対応策の5カ条である。

1. ソーシャルメディアと社内組織の統合

ソーシャルメディアを真に活用してビジネスを行おうとするならば、組織のあらゆる部署が影響を受けることになる。社内のどの部署がソーシャルメディアを担当するべきか? Chief Social Officerといった役職は必要だろうか?

2. ソーシャルメディアのガバナンス

組織はソーシャルメディアを単にウォッチするだけでなく、一般人から賞賛された場合や、批判された場合の対応、さらには従業員が不適切なことを書き込んだ場合の対応といった、さまざまなシナリオに沿った対応ルールを整備する必要がある。

3. オープンな社風への転換

ソーシャルメディアを活用したオープンな社風を作り出すことにより、組織が利益を上げることができる可能性がある。

4. 人事管理

人事管理の方法を変える必要がある。Twitter以前は、社外ブログの書き方についてガイドラインを作ってきたかもしれないが、今ではTwitterやFacebookの不適切な使用により社員が解雇される時代だ。新たな技術の登場に伴い、規則を改訂し続けなければならない。ソーシャルメディアを仕事で使う社員への教育も重要だ。

5. 効果測定

ソーシャルメディアの効果測定のための新たな指標が必要だ。ソーシャルメディアはIT技術を使うため、測定は原理的には可能だが、ROIとして利益やコスト削減に結びつけるのは困難な課題だ。

経営者はこれらの5つの課題に対して、真剣に検討を始めてる時期にきているといえる。