『ウルトラセブン』は、1967年10月1日から1968年9月8日まで放映されたテレビ特撮ドラマである。『ウルトラQ』『ウルトラマン』に続き、いわゆる第1次怪獣ブームの時期に円谷プロによって制作された。これらに登場した怪獣、ガラモンやバルタン星人、エレキングなどは、現在もなお、不動の人気を誇っている。今回は、『ウルトラセブン』放送開始40周年を記念して、このようなウルトラ怪獣について語るのはこの方をおいては、ほかに考えられないであろう怪獣博士・マンガ家の唐沢なをき氏を都内のアトリエにお訪ねし、その魅力について存分に語っていただいた。

唐沢なをき氏

――今回は、怪獣について存分に語っていただきたいと思うんですが……。

「俺なんかで、いいのかなあという感じですが(笑)」

――いえいえ、怪獣といえば、唐沢先生ですから(笑)。

「なにから話せば、よいものやら(笑)」

――先生と怪獣との出会いから、うかがえますか。

「『ウルトラQ』の放送開始に先立って、雑誌に記事が掲載されているのを見たのが最初ですね」

――ご覧になった感想は、いかがでしたか?

「ショックでしたね。そこで、世界が変わってしまったというような。子ども心に、『こんなにおもしろいものがあっていいのか』みたいな。実は、それ以前は、アニメの『鉄人28号』に夢中になっていた子どもだったんですよ」

――それは、初耳ですね。

「鉄のロボット同士の闘いに、魂を奪われていました。自分では憶えていないんですが、『鉄人28号』の最終回を観て大泣きしたらしいんですよ。『もう、鉄人に会えない。この先どうしたらいいんだ!』みたいなね」

――その時は、さぞさみしかったんでしょうね(笑)。

「ところが、そのすぐ後に雑誌で『ウルトラQ』の記事を読んだら、今度はあっという間に怪獣に魂を奪われてしまって、鉄人のことは脇にやってしまったという。ちょっと、後ろめたいところがあるんですけれども(笑)」

――それは、どういった記事だったんですか?

「『ウルトラQ』の怪獣たち、ゴメスやペギラやカネゴンやらが見開きでドーンと載ってたんですよ。そこで時間が止まってしまったというか、その瞬間から心をワシづかみにされましたね(笑)。それからは、毎日が『ウルトラQ』一色という感じでした」

――よほど気に入られたんですね。

「ですから、テレビで第1話が放送される時には、すでに『ウルトラQ』博士になってましたね。その記事に書いてあったことしか知らないんですけど(笑)」

――放送前から、すでに怪獣博士だったわけですね(笑)。雑誌の記事は、絵に描かれた怪獣だったわけですけど、実際に動く映像をテレビでご覧になったときの感想は、いかがでしたか?

「これはすごかったですね。いきなりゴメスですからね。地面を割って出てきて『ギャオーッ』じゃないですか。その日から、頭の中は全部『ウルトラQ』(笑)」

――製作順でいいますと、「ゴメスを倒せ!」は第12作目になるんですね。

「放送第1話にゴメスとリトラの大格闘をもってきたっていうのも、まあ、後から考えると心憎いばかりですけど。もう、『こんなおもしろいものを観せてもらっていいの?』みたいな」

――しかも、そういうのが毎週続くわけですね。

「それがもう信じられないといいますか。この第1話だけでもすごかったのに、次の週もその次の週もそのまた次の週も、お茶の間に怪獣がやって来るわけですよ。子ども心に、『なんていい世の中なんだろう』と(笑)」