会話を続けるための最適なリアクションとは?

本業のアナウンサーのみならず、アニメ評論、アイドル評論、創作落語など多彩な仕事をこなし、近年ではバーチャルYouTuber一翔剣としての活躍など、多忙を極めているニッポン放送のアナウンサー、吉田尚記さん。そんな吉田さんが、単行本『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(アスコム)を出版した。

こちらの本では、吉田さんが会話のコミュニケーションに悩む人々を対象に期間限定サロンを開催し、そこから実際の悩みを拾い上げつつ、各分野の専門家を取材してコミュニケーションが苦手な理由や解決法を指南。まさに教科書として、コミュニケーションのテクニックが詰まった1冊となっている。

• ニッポン放送アナウンサーの吉田さんは会話をあるリアクションで乗り切る?

そこで今回は、ビジネスシーンでも活用できるコミュニケーションのテクニックについて、吉田さんにたっぷりとお話してもらった。

■会話を続けるテクニックはコレだけ!

――会話をしていて、妙な間ができてしまって会話が止まってしまうことってあると思うんですが、そういう状況にならないようなテクニックってあるんですか?

一番会話がしにくい相手って、ノーリアクションの人です。無人島でひとりなのに、延々としゃべり続けたりはしないですよね。会話は2人以上いないと成立しないもの。話をする側にとってノーリアクションの相手が一番困ります。ラジオの現場でも、ディレクターや放送作家がこちらを向いてくれていなければ、しゃべれません。

――確かに、何の反応もないとこのまま話していいのか……と、会話を止めてしまいたくなります。

リアクションにもいろいろありますけど、中でも聞き手にビックリしてもらうのが一番しゃべりやすい。老若男女誰であっても。だから聞き手としては「えっ!?」って言えたら、もうこちらのものです。「えっ!?」って言えたら、相手は勝手にしゃべってくれます。

――前回、話題を探すのではなく質問を探す、というお話をしていただきましたが、その質問に対して「えっ!?」とビックリするのがコツということですね。

質問とはパスを投げること、とお話ししましたが、「えっ!?」というリアクションは、受け取ったうえでワンタッチでパスを戻しているようなものなんです。たまに私は「えっ」とだけ言っているうちに、ゲストとのトーク時間が終わっていることもあります(笑)。それが一番理想的なんです。

――ゲストの側も、気持ちよくお話しできているということですもんね。まずはお話していただいたことに驚きでリアクションを返す、と。

なぜか、驚きって人前でやっちゃいけないと思っている人がけっこういるんですよね。失礼になるんじゃないかって。むしろ逆です。すごく普通のことだったとしても、全然「えっ!?」ってリアクションして問題無いんです。ただ、1の驚きを10くらい拡大して返すのはアリなんですけど、0を1にするのはダメですね。それは嘘なので、良くないと思います。

――嘘はダメだけど、たとえ些細なことでも、ちゃんとリアクションとして驚きを返すことが大切ですね。

たいがいのことは驚けることだったりするんですよ。前に京極夏彦さんにお話を聞いた時に、この世に面白くない本はない、とおっしゃっていました。駄作と呼ばれる本についても、駄作がなぜ駄作になってしまったかには大変興味がある、と。

■知らないことはダメじゃない

――何にでも興味を持って会話していれば、自然と驚きの気持ちも出てきそうですね。

子どもなんかはとってもシビアですよ。大きなリアクションで驚いて話を聞いていると、子どもはすごく寄ってきてくれます。逆に、嘘のリアクションをとっていると「あ、コイツ接待だな」って寄ってこなくなります。子どもって普通「聞いて聞いて!」って来るじゃないですか。人って、本質として「聞いてほしい」んです。ただ、世の中には聞いてくれる人、驚いてくれる人の数が圧倒的に少ない。だから、聞き手になった瞬間に、需要がめちゃくちゃあるんです。逆に一緒にいてつまらない人って、驚かない人なんですよね。

――確かに、さも知っていました、みたいな感じで返されると、こちらも話に詰まってしまいそうです。でも、知らなかった、っていうのが恥ずかしい気持ちは確かに誰にでもあるかも知れません。

知らないことの方が驚きが多いですから、知らないことはマイナスじゃないんですよ。驚くことができれば、知らないことにも強くなれる。どんな話題も、自分に関係ない話などと仕分ける必要もない。目の前の人が興味を持っている話題であれば、会話の内容は何でもいいんです。

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