今週は、文字や段落を効率よく選択する方法を紹介する。これらの操作方法を知らなくても文書を編集することは可能であるが、知っている方が断然早く操作を完了できると思われる。文字や段落の選択は極めて頻繁に行う操作であるだけに、作業効率に与える影響は意外と大きい。ぜひ覚えておくとよいだろう。

キーボードを使って文字や段落を選択

まずは、キーボードを使って文字や段落を選択する方法から紹介していこう。これらの操作を行う時はマウスをドラッグするのが一般的であるが、キーボードを使った方が素早く操作を完了できる場合も多い。状況に合わせてさまざまな方法を利用できるので、この機会に覚えておくとよいだろう。

文章中にある文字を選択する時は、その位置にカーソルを移動し、「Shift」キーを押しながら「矢印」キーを押す。すると、矢印キーの方向へ文字選択を拡張していくことができる。例えば「Shift」キーを押しながら「→」キーを3回押すと、カーソルの右側にある文字を3文字選択することができる。

この状態で「Shift」+「→」キーを3回押すと…、

カーソルの右側にある3文字を選択できる

この操作はWord以外の多くのアプリケーションでも使える操作方法となるため、すでにご存じの方も多いであろう。ただし、選択する文字の数が多くなると、何回も「→」キーを押さなければならず、少々手間がかかる。

このような場合は「Ctrl」+「Shift」+「→」キーを利用するとよい。この場合は、単語単位で文字の選択範囲を拡張していくことが可能となる。例えば、以下の図において「Ctrl」+「Shift」+「→」キーを4回押すと、「東京」「オリンピック」「の」「年」と順番に単語が選択されていくため、結果的に4回のキー操作で「東京オリンピックの年」の文字を選択できることになる。

この状態で「Ctrl」+「Shift」+「→」キーを4回押すと…、

このような範囲を選択できる

そのほか、段落の先頭にカーソルを移動し、段落単位で文字を選択していく方法もある。例えば「Ctrl」+「Shift」+「↓」キーを3回押すと、段落3つ分の範囲を選択することが可能となる。基本的には、「↓」キーを押す度に1段落ずつ選択範囲が拡張されていく、と考えればよい。

「Ctrl」+「Shift」+「↓」キーを3回押して選択した範囲

いずれの操作もマウスのドラッグで代用することが可能であるが、画面スクロールを伴うと思い通りの範囲を選択するのに少し手間取る場合もある。キーボードを使った選択方法も覚えておくと、いろいろな場面で応用が利くだろう。

ダブルクリックやトリプルクリックを使った選択方法

単語や段落を選択する際に、ダブルクリックやトリプルクリックを利用することも可能だ。例えば、選択したい単語の上をダブルクリックすると、その部分にある単語が自動判別され、手軽に選択範囲を指定することができる。

ダブルクリックを使った単語の選択

かな/漢字が混在した語句も正確に自動判別される場合が多い

同様に、段落全体を選択する時はトリプルクリックを利用するとよい。トリプルクリックとは、マウスの左ボタンをカチ・カチ・カチと素早く3回クリックする操作のことだ。この操作を文書上で行うと、マウスがある位置の段落を一瞬で選択することができる。

トリプルクリックを使った段落の選択

この選択方法は、段落全体の書式を変更する場合や、段落罫線を指定する場合などに活用できる。マウスをドラッグして選択する方法より手軽であるし、「末尾にある段落記号の選択し忘れ」などを防ぐことも可能となる。トリプルクリックという操作はあまりなじみのない操作方法かもしれないが、いろいろな場面で便利に活用できるので、ぜひ覚えておくとよいだろう。

離れた位置にある文字の選択

最後に、離れた位置にある文字を一括選択する方法を紹介しておこう。この場合は、「Ctrl」キーを押しながらマウスで文字をドラッグし、選択範囲を増やしていく。

例えば、「東京駅‐新大阪駅」の文字を選択したあと、「Ctrl」キーを押しながら「新大阪駅‐岡山駅」の文字を選択し、さらに「Ctrl」キーを押しながら「岡山駅‐博多駅」の文字を選択すると、以下の図のような範囲を同時に選択できる。

離れた位置にある文字を同時に選択

この状態で書式指定を行うと、1回の操作で3カ所に同じ書式を指定できる。「文字のスタイル」を作成しておけば、複数の書式を一括指定できるため、さらに作業効率が向上するだろう(「文字のスタイル」については本連載の第17回を参照)。

選択した文字の書式をまとめて指定

離れた位置にある文字に「同じ書式」を指定する方法として覚えておくと、少ない手数で書式指定の操作を完了できるはずだ。

今回紹介した内容は文書作成に必須となるテクニックではない。しかし、知っている場合と知らない場合とで作業効率に大きな差が出ると思われる。あまり普及していない操作方法かもしれないが、便利であることに代わりはないので、この機会に覚えておくとよいだろう。