今週はWord文書の印刷について考えてみよう。印刷そのものは難しい作業ではないが、印刷方法を工夫することで快適な環境を作り出せる場合もある。試してみるとよい。

割り付け印刷の活用

Wordで作成された文書を資料として手元に置いておきたい場合もあるだろう。このような場合はプリンタを使って文書を印刷する。この操作手順は改めて解説する必要はないと思われるので、今回は少し特殊な印刷方法について紹介してみよう。

まずは、1枚の用紙に複数のページを印刷する方法から紹介する。Wordには、文書の各ページを「2ページ/枚」、「4ページ/枚」、「6ページ/枚」…といった具合に縮小して印刷する機能が用意されている。この機能を利用することで手軽に割り付け印刷を実行できる。

Word 2010の「割り付け印刷」の指定

指定可能な印刷方法

ただし、1枚の用紙に印刷するページ数が多くなるほど印刷倍率は小さくなるので、現実的には「2ページ/枚」を指定するのが基本となるだろう。もちろん「2ページ/枚」でも印刷倍率は小さくなるが、文字が読めなくなるほど小さくなるケースは稀で、たいていの場合、十分に可読性のある文書を印刷できると思われる。

そのほか、プリンタの設定画面(プリンターのプロパティ)で同様の指定を行うことも可能だ。こちらの方が汎用性の高い設定方法といえるだろう。Word 2010では、印刷画面で「プリンターのプロパティ」をクリックするとプリンタの設定画面を表示できる。

プリンタの設定画面の呼び出し

この設定画面の操作方法はプリンタによって異なるので、詳しくは各自のプリンタのマニュアルを参照すること。特に難しい設定ではないので、慣れている方なら画面を見ただけで設定項目を探し出せるだろう。

割り付け印刷の指定例(2ページ/枚)

このような指定を行うことで、消費する用紙とインクを約半分に節約することが可能となる。印刷枚数が減り、印刷時間が短縮されるのも1つのメリットなるはずだ。

両面印刷の活用

続いては、両面印刷について紹介する。Word 2010には両面印刷を行うための設定項目も用意されているため、この設定を変更することにより両面印刷を実現できる。

Word 2010の「両面印刷」の指定

指定可能な印刷方法

ただし、「2ページ/枚」の印刷方法と同時に指定すると正しく動作しない場合もあり、プリンターの設定画面を利用した方が確実といえる。この設定手順はプリンタによって異なるので、詳しくは各自のプリンタのマニュアルを参照すること。

両面印刷の指定例

プリンタによっては『両面印刷に対応していないのでは…?』と思うかもしれないが、たいていの場合「手動による両面印刷」には対応しているので、いちど確認してみるとよいだろう。この場合は、片面の印刷がひととおり終了した時点で以下のような画面が表示され、用紙を裏返して再セットすることで両面印刷を実現するのが一般的だ。

用紙を裏返してセットする手順を示す画面の例

プリンタの設定画面の場合は、先ほどの「2ページ/枚」と「両面印刷」を組み合わせて指定することも可能である。この場合、1枚の用紙に4ページ分の文書を印刷できることになり、かなり用紙を節約できる。

縮小印刷のメリット

これまで紹介してきたテクニックは「用紙やインクの節約に役立つもの」と考える方も多いと思うが、実はそれだけではない。縮小印刷された文書は、むしろ“見やすさ”の面で意味のある印刷方法になる。

たとえば企画書やプレゼン書類などを作成する際に、Word文書を資料として利用するケースを考えてみよう。このとき、「どこかに掲載されていたはず…」と資料をペラペラとめくりながら編集作業を進めていくケースも多いと思われる。この“掲載箇所を探す時間”が作業効率を低下させる要因になる。1枚の用紙に1ページずつ印刷された文書は目的の箇所を探すのに時間がかかるため、その間に思考が停止してしまう場合が多い。

一方、「2ページ/枚」&「両面印刷」で印刷された文書は、用紙の端をホチキスで留めることにより一目で4ページを見渡せるようになる。本をめくるような感覚で「次の4ページ」を即座に開くことも可能だ。このように視野を広く使えることが縮小印刷の最大のメリットとなる。

「2ページ/枚」&「両面印刷」の印刷結果のイメージ

両面印刷を手動で行う場合は印刷作業に若干の手間を要するが、慣れてしまえば大した苦にはならないはず。それより思考を伴う作業をスムーズに進められるように工夫した方が全体的な効率は良くなる。プリンターの安定性に不安がある場合は、20ページ(用紙5枚分)ごとに分けて印刷するなどの工夫を行うことで、印刷トラブルを最小限に抑えられるだろう。

このように印刷方法を工夫してみることも大切な要素となる。単なるエコという発想ではなく、「作業環境を快適にする」という観点からも色々な印刷方法を試してみるとよい。