今週は、Word文書に掲載されている写真などを画像ファイルとして取り出す方法を紹介してみよう。Word文書をもとに新しい資料を作成する場合などに活用できるはずだ。

オリジナル画像のコピーは可能?

パソコンで仕事をしていると、Word文書から画像データを抽出する必要に迫られる場合もある。たとえば、取引先から送られてきたWord文書をもとに、新たにパンフレットやチラシを作成する場合などがそうだ。自分が作成した文書であれば、オリジナルの画像ファイルを所有しているので問題はないが、手元にWordファイルしかない場合は、その文書から何らかの方法で画像データを取り出さなければならない。

この解決策として真っ先に思いつく方法は、文書内の画像をコピーして画像編集ソフトなどに貼り付ける方法だ。ここでは以下の文書を例に解説していこう。まずは、一番左上にある写真をクリックして選択し、「Ctrl」+「C」キーでコピーする。続いて、画像編集ソフトを起動して「Ctrl」+「P」キーで貼り付ける。すると、以下の図のような結果になる。

文書内にある写真をコピーして…、

「ペイント」に貼り付けた場合の例

この方法で画像データを抽出することも不可能ではないが、本来のデータよりも解像度の小さい画像しか得られない場合が多い。よって、この画像データをもとに新しい資料を作成しても、十分な解像度がないため、カクカクとした画質の印刷結果になってしまう可能性がある。

右クリックメニューの活用

このような事態に備えて、Word 2010には文書内にある画像をファイルとして保存する機能が用意されている。その操作手順は、文書内にある画像を右クリックして「図として保存」を選択するだけ。続いて、保存先フォルダとファイル名を指定して保存を実行すると、文書内の画像を画像ファイルとして保存することができる。

図として保存

保存ダイアログ

保存された画像ファイル

この場合は、Word文書が保持している解像度を維持したまま画像データを抽出することが可能となる。ただし、この機能はWord 2010から追加された機能となるため、Word 2007以前のWordでは利用できない。

Webページとして保存する機能の利用

Word文書から抽出する画像の数が多い場合は、上記の方法で画像を1つずつ抽出するのではなく、一括して抽出した方が効率的だ。この方法はWord 2007でも利用できるので覚えておくとよい。

まずはWord文書を開き、「ファイル」タブから「名前を付けて保存」を選択する。続いて、「ファイルの種類」に「Webページ」を選択してから保存を実行する。

名前を付けて保存

「Webページ」形式を指定

すると、以下の図のようにHTMLファイルと末尾が「.files」という名前のフォルダが作成される。このフォルダを開くと…、

Webページとして保存された文書のデータ

文書内の画像が1つずつ画像ファイルとして保存されているのを確認できる。もちろん、Word文書が保持している解像度は維持されているので、解像度を気にする必要もない。あとは、この画像ファイルを使って新しい資料を作成していくだけ。文書内の画像をまとめて抽出する方法として活用するとよいだろう。

「.files」フォルダ内の画像ファイル

なお、抽出元のWordファイルの状況よっては、同じ画像ファイルが2つずつ作成される場合もある。この場合は、解像度が大きい方の画像ファイルを利用するのが基本となる。

新しい資料の作成が完了したら、HTMLファイルや「.files」のフォルダは削除しても構わない。このとき、HTMLファイルを削除すると、自動的に「.files」のフォルダも削除される仕組みになっている。よって、HTMLファイルだけを削除すればよい。

それでも解像度が足りない場合は…?

今回紹介した方法で画像をWord文書から抽出しても、十分な解像度の画像データを得られない場合もある。この原因は、Wordが画像データを勝手に圧縮していることが原因だ。つまり、もともとのWord文書に解像度の大きな画像データが保持されていないため、そこから抽出される画像データも大きな解像度にはならないのである。これについては次回の連載で詳しく解説していこう。