前回より、UMLを用いてアーキテクチャをモデリングする方法にフォーカスを当てており、本連載では6つのテーマについて解説します。最初のテーマに取り上げたのは「配置図でモデリングするテーマ」であり、今回はその具体例として「システム間連携」について説明します。

他システムとの連携を検討する際は、配置図を記述しながら、以下の点を把握しなければなりません。

1.他システムが配置されているハードウェア、ミドルウェア
2.連携するコンポーネント
3.連携するデータとその形式
4.連携に使用するプロトコル

以下の図は「配達予約システム」と「配達計画システム」の間で行う配達予約データや配達計画データの連携を記述した配置図です。配置図を使ってシステム間連携を記述することで、連携先のコンポーネントや成果物(ファイル)やノード(ハードウェア)を把握できます。

システム間連携を示した配置図

システム間のデータの流れは、図中の黒塗り三角形で表現された「情報アイテム」を使って表現します。情報アイテムは三角形の角の向きでデータの流れる先を表現します。また、情報アイテムに<<sql loader>>や<<hulft>>などのステレオタイプを付けることで、連携のプロトコルを表現します。連携するデータの形式やプロトコルの詳細は、図よりも文章で定義する方がわかりやすいでしょう。

なお、情報アイテムは関連の間を流れるデータを表現するだけではなく、「フロー(アクティビティ図)」「メッセージ(シーケンス図やコミュニケーション図)」「コネクタ(コンポーネント図)」の間を流れるデータを表現することにも使える便利な要素です。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは 異なる場合があります。ご了承ください。