UMLを用いてシステム要求をモデリングする際の作業は4つのステップに分けられます。これまで、最初のステップの作業である「業務フローの作成」について説明しました。今回は、ステップ2の作業として、「ユースケース図の作成」を紹介します。

ステップ2:ユースケース図の作成

業務フローをモデリングすることで、システムに必要な機能が大方見つかるはずです。こうして見つかった機能やその利用者を整理するために、ユースケース図を使ってモデリングします。配達予約システムのユースケース図は以下のようになります。

ユースケース図の例

開発対象のシステムは「サブジェクト」と呼ばれ(従来はシステム境界と呼んでいました)、四角形で記述します。システムの利用者は「アクター」と呼びます。典型的なアクターはエンドユーザーですが、配達計画システムのような他のシステムもアクターになります。組み込みシステムではソフトウェアと連携するハードウェアをアクターにすることもあります。

システムが提供する機能を「ユースケース」と呼びます。画面から提供する機能に限らず、バッチで提供する機能もユースケースで定義します。なお、システム要求の定義後に新しいバッチのユースケースが出ることがあるので注意して下さい。システム要求の段階では画面で行う予定だった処理を、設計の段階でバッチに切り替えるなどの選択がよくあるからです。したがって、ユースケース図は設計後に再度更新する必要があると覚えておいてください。

アクターとユースケースの関係は「関連」を使ってモデリングします。ユースケース図における関連の主な使い道は以下の4種類です。

1).ユースケースを利用するアクターを表す
2).ユースケースを起動するアクターを表す
3).ユースケースから起動されるアクターを表す
4).ユースケースから情報を受け取るアクターを表す

ほとんどの関連は1)か2)に該当します。1)はアクターがエンドユーザーで、ユースケースが画面のケースです。2)はアクターが他システムで、ユースケースがバッチのケースです。3)はユースケースの処理中に他システムを起動するケースです。4)はメール送信などが発生するケースで稀にしかありません。3)と4)は、1)や2)と組み合わせて使うことが多いので、関連にアクター向きの矢印を付けて1)と2)の区別ができるようにしましょう。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.3(2008年3月発刊)
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