JR各社のエキナカ商売の隆盛に触発されたわけでもなかろうが、高速道路を運営するNEXCO各社でも、高速道路のSA・PAの大規模商業施設化が相次いでいる。

これ自体はいけないこととは思わないし、殊に「食」の充実という点において、かつての日本道路公団の時代と比べてずいぶんとレベルアップしているのは結構なことだ。ただし、1つだけ困ったことが起きている。

SA・PAの入口渋滞がシャレにならない新東名

特に、当初からSA・PAにおける施設の充実と商業施設化がアピールされている新東名において、そのSA・PAの混雑がシャレにならないことになっているらしい。なかでも、最も首都圏に近い沼津駿河湾SAの混雑は相当なものだと聞く。

新東名高速道路にオープンした商業施設ブランド「NEOPASA」

駐車場が慢性的に満車で、手前のランプから渋滞しているというからタダゴトではない。「トイレに行きたくなってSAに立ち寄ろうとしたらランプ渋滞で入れない」なんて事態に陥ったら厄介である。

新東名は極端な例だし、まだ開通から間がないから人気が盛り上がっている部分もある。これまでに出現した、いわゆる「トレンディスポット」と同様、いずれはもっと落ち着くものと思われる。しかし、新東名に限らず、各地でSA・PAの大規模商業施設化が進んだことで、程度の差はあれ、似たようなことがほかでも発生しないとは限らない。

これは、利用者が個別にクルマで出入りするうえ、そのクルマを駐車しなければならない、高速道路に固有の問題と言える。エキナカであれば、施設の人気が上がっても、利用者が増えて電車の混雑率にいくらか影響する程度であり、エキナカのせいでダイヤが乱れるなんて話は聞いたことがない。

休憩・給油といった、本来のSA・PAの目的がそっちのけになりそうで気になるところではあるが、利用者としては自衛するしかない。最初からSA・PAで食べたり遊んだりするのが目的ならともかく、単に移動の手段として高速道路を利用する場合は、余計な待ち時間を使わずに休憩・給油を実現できる手段を考えるほうが現実的だ。

相対的に人気のなさそうな場所を探して活用

一般的に、大規模商業施設化が図られるのは、スペースに余裕がある大きなSA・PAのことが多い。それに、商業施設化していなくても、利用者心理としては大きなSAのほうが優先的に立ち寄り候補になりやすいものである。

それを逆手にとって、相対的に不人気そうな施設を選んで利用するのも1つの手だと考えられる。つまり、大きなSAよりも小さなPAというわけだ。ただし、規模が小さな施設ではガソリンスタンドを設けていないとか、食事を取れる場所が限られるとかいう泣き所がある。

SAはレストランやガソリンスタンドを併設、PAは売店とトイレのみ、というのが基本的なパターンだが、時々、例外が発生する。PAを名乗っていてもレストランを設置しているところは何ヵ所かあるし、時にはガソリンスタンドまで設置していることもある(反対に、SAを名乗っていても意外なほど施設が貧弱なこともあるので要注意だ)。

ガソリンスタンドはともかく食事の面では、小規模なPAでも意外と侮れないケースがある。レストランがなくてスナックコーナーだけであっても、その内容には意外と違いがある。ダメなところは本当にダメだが、充実しているところはPAのスナックコーナーだからといって馬鹿にできない。それに、飲食施設が不十分でも、コンビニがあれば助かる。

たとえば東京近隣だと、三芳PA(関越道)や羽生PA(東北道)は施設の充実度が高く、規模も比較的大きい。さらに個人的経験から挙げると、石川PA・八ヶ岳PA(中央道)、蓮田PA・大谷PA・菅生PA(東北道)、中井PA・日本平PA(東名)なども充実度が高い部類かと思う。

スナックコーナー、ガソリンスタンドが設置されている関越道三芳PA。上りはガススタンドが、下りはスナックコーナーが24時間営業だ

面白いのは上信越道の新井PAで、ここ自体にはトイレと自販機しかないが、敷地から徒歩で外に出ると、隣接している道の駅に設けられたコンビニやビジネスホテルまで利用できてしまうのである(特に「泊まり」ができる点が特筆される)。北関東道の壬生PAも道の駅が隣接しているが、こちらは飲食は可能であるものの、ホテルはない。

もっとも、あまり施設が充実すると知名度も上がってしまい、結果的に混雑しやすくなるもの。そもそも本稿からして、そのお先棒を担いでいると言えるから矛盾の塊みたいな話だが、それはそれ。

昔であれば、こうした情報は紙のパンフレットをかき集めて調べるしかなく、筆者も主要各線のパンフレットを車中に常備していた時期があった。しかし現在ではNEXCO各社のWebサイトを使えば簡単に調べることができるから、事前調査はぐっとラクになった。それに、Webであれば最新情報の把握も容易である。

全国のSA・PAを「名前」「地図」「施設・サービス」から検索できる「ドラぷら」

ガソリンは、ガス欠寸前まで粘るのではなく、半分程度まで減ったら給油する習慣を身につけておくのが最高の自衛策かもしれない。トイレも同様で、これから混雑しそうな区間に入ることがわかっている場合は、その手前で事前に済ませておくのも手である。東名の下り線であれば、「新東名に入る前に足柄SAに立ち寄っておく」という具合に。