前回は鉄道をネタにして、窓側・通路側以外の要素で決まる、列車や座席の選択に関わる有利・不利について取り上げた。今回は同様に、飛行機とバスの座席選択のあれこれを取り上げてみよう。

飛行機の場合

飛行機は前方の搭乗口から搭乗・降機を行うため、エコノミークラスで尾部に近い席を割り当てられると、乗り込む際には延々と通路を移動する羽目になり、降りる際には前方の人がつかえてなかなか降りられない、という事態に陥りやすい。だから、可能な範囲で機首寄りの席をとるほうがラクである。

ただし、その搭乗・降機の手間の問題と、騒音発生源であるエンジンより前方にあるという理由から、機首寄りの席は上級クラスのものである。その分だけエコノミークラスは後ろに押しやられるので、エコノミークラスの中で機首寄りの席を確保するのは早い者勝ちの争奪戦である。

筆者はいつも、ネット予約でチケットを確保するついでに座席指定までやってしまうが、ギリギリのタイミングになってからチケットを確保することが多いせいで、機首寄りの席は空きが乏しいことが多い。そんな状況でも、「通路側で、できるだけ機首寄り」の原則に従って座席指定を行うことにしている。

あと、飛行機で「当たり席」として有名なのは、出入口直後の席。ここは前に席がないので、エコノミークラスだろうが何だろうが、足元が広々している利点がある。ただし、出入口は緊急時の脱出口でもあるから、非常脱出時の手伝いを頼まれるかも?

そういう意味では、ギャレーやラバトリー(トイレ)の近辺にある席は人の往来が多そうだから、どちらかというと少し騒々しい「ハズレ席」とかもしれない。

こうした要素を考慮に入れた上で、主要エアラインの国際線について座席の良し悪しを教えてくれるWebサイトSeatExpertがある。調べる方法は以下の通りだ。

SEARCH BY FLIGHT

エアラインの名前・便名・出発日を入力して検索する。ただし、急にシップチェンジがかかって機材が所定のものではなくなった時のことまで、責任は持てない(笑)。

SeatExpertのトップページ。エアラインの名前・便名・出発日を入力するブランクがある

BROWSE BY AIRLINE

「BROWSE BY AIRLINE」では、エアラインの名前と機材の種類を手がかりにして検索する。主な航空会社と機材の一覧が表示されるので、そこから選べばよい。

いずれの場合も、検索結果としてシートマップが画面に現れて、「Above average seat」(平均以上)、「Beware of this seat」(用心したほうが良い)、「Below average seat」(平均以下)、「Average seat」(普通)と、座席の「レベル」を色分け表示してくれる。前述した原則と実際の色分け表示を見比べてみると、なんとなく納得できるかも?

「SeatExpert」で情報を表示させた例。赤は「平均以下」、緑は「平均以上」にランク付けされた席である。これはわかりやすい

バスの場合

高速バスや夜行バスも飛行機と同様、出入りは前方1ヵ所のみ(ただし2階建てバスの2階席では、出入りに使用する階段は中央付近にある)なので、乗降がラクかどうかという見地からすると、出入口に近い場所が有利ということになる。

しかし裏を返せば、前寄りの席にいると出入りの際に周囲がザワザワするということでもある。ことに夜行バスでは、途中で休憩のために停車するたびに周囲がザワザワすると落ち着いて寝られない、という人もいるだろう。その辺の事情を勘案して、出入りの容易さと周囲の静穏さのどちらをとるかを決めればよい、という話になりそうだ。もっとも、チケットを購入する際に座席の選択が可能ならば、の話だが。

そういえば小学生・中学生の頃、学校の行事でバスに乗って移動する際に「乗り物酔いしやすい人は前寄りの席に」なんて話が出てきたが、筆者は乗り物酔いというものを体験したことがないので、実際の効果のほどは不明である。

なお、2階建てバスにおける1階・2階の違いは第32回で取り上げたことがあるが、その時は設備まで言及しなかった。1階も2階も同じ設備なら好みの問題になるが、車体幅の割に背が高い2階建てバスの場合、横揺れについては1階席のほうが有利であろう。

なお、1階と2階で設備に違いがある場合は、好みと必要性に応じて選択することになる。この辺の情報は事業者や路線によって千差万別なので、各社のWebサイトなどで調べるのが確実だ。

特にバスでは深刻な問題かもしれないと思うのが、冬季の寒冷地における冷えの問題。具体的にいうと、窓側の席のほうが冷えやすい傾向があるかもしれないという話である。もちろん、事業者側もそれは承知のうえだから、寒冷地で運用する車両は分厚いカーテンを設置するなどの配慮をしているものだが、それでも窓側のほうが寒い外気に近いことに変わりはない。

このほか、出入口に近い席は乗降の際に扉を開けるから、これも似たような問題があるかもしれない。もしも冷えが気になる場合は、使い捨てカイロの調達や衣類の工夫で備えたほうが無難かも?

実はこれ、鉄道でもまったく無縁な問題というわけではないようで、先日に夜行急行「きたぐに」の3段式B寝台上段を利用したら、寒くて往生した。幸いにも風邪をひくことはなかったが、冬季は使い捨てカイロが欲しいところである。もっともこの列車、2012年3月のダイヤ改正で臨時列車に格下げなのだが。