格闘ゲームやアニメなどに登場するキャラクターのように手から"衝撃波"や"光線"を放ち、ほかのプレイヤーやモンスターとバトルできるARアトラクション「HADO(ハドー)」がテーマパークやイベント会場で大人気となっている。

「HADO」は、ヘッドマウントディスプレイとアームセンサーを装着してプレイするAR(Augmented Reality:拡張現実)アトラクション。まるでゲームやアニメの必殺技が現実に登場したかのような体験をすることができる。

今回は、同アトラクションの企画・開発を手がけたベンチャー企業「meleap」のCEO・福田浩士氏に、同社の起業に至った経緯や目指すもの、「HADO」の今後の展開などについてお話を伺った。

「リアルとバーチャルを掛け合わせる」がテーマ

meleap CEO・福田浩士氏

――まずは、どのような経緯で起業に至ったのかを教えて頂けますか?

以前から「新しい技術を使えば、"身体の可能性"をもっと拡張できるのではないか?」とずっと思っていました。例えば、少し前に話題になったKinectとプロジェクトションマッピングを掛け合わせたPerfumeのライブ演出などを見て、新しい技術を使えばエンターテイメントや表現の世界が変化してくるだろうと思っていました。そこで、「リアルとバーチャルを掛け合わせる」をキーワードとして、会社を起ち上げました。

――では、「HADO」ありきで設立されたというわけではないんですね。

はい。「HADO」は会社を作ってから考えだしたものです。

――最近のスタートアップ企業は何か1つのプロダクトを作るために起業するケースが多いのですが、その順序が逆だったわけですね。

そうですね、ちょっと特殊かもしれません。「ビジョンありき」なんです。「将来はこういった世界になる。だから自分たちは今、何をすべきか?」ということをビジネスに落とし込むという作業をしてきましたので、始まりはビジョンでした。

――「meleap」という社名の由来を教えて下さい。

「merry leap」(陽気に飛び跳ねる)の造語としてmeleap(メリープ)に決定しました。自分たちも楽しみながら、ワクワクするようなプロダクトを作り、躍進していきたいという意味合いが込められています。

コンセプトはAR技術を使った「テクノスポーツ」

――「HADO」にはいつ頃から取り組まれたんでしょうか?

2014年1月に起業したあと、しばらくはあれこれ模索しながら何をやりたいのかを考えていたとき、昔からアニメなどで憧れていた「かめはめ波」のようなワザを撃ち合って戦えたら面白いのではないかと考え、AR技術を使ってプロトタイピングし始めました。

せっかく対戦できるなら、それをある種の「スポーツ競技」として位置づけたらひとつの市場ができあがって非常に面白いことになるのではないかと気づき、2014年10月に「テクノスポーツ」というコンセプトをやろうということになりました。その時に、「HADO」というネーミングに決めました。

――「HADO」というネーミングとなった決め手というのは?

すごく悩みました(笑) 「HADO」というのはご存じ「波動拳」の"はどう"ですが、その波動というものには生命エネルギー的な意味合いがあります。自分の体の中に隠された"何か"が放出されるという本来は不可能なことを、技術を掛け合わせることで「身体性の拡張」として疑似体験ができるわけですね。

1人用ゲームから「対人戦」が可能なスポーツへ

――最初から「スポーツありき」で開発していたんでしょうか?

新しいスポーツを作るというのは難しくて、「対人戦」になって始めてスポーツらしさが出てくると思うんですが、最初はプロトタイプとして、プレーヤーvsモンスターのようなコンピューター戦のゲームから開発を始めました。現在は人と人が向き合ってお互いに対戦できるコンテンツにブラッシュアップされています。

――ブラッシュアップが可能になったのは、ハードウェアの進化、あるいは技術的な解決によるものですか?

社内で開発を積み重ねてたどり着いた結果だと思っています。ヘッドマウントディスプレイも自社で開発していましたし、どのような仕組みでARを使うとベストなのかとか、人と衝突しないようにするにはどうすればいいのかとか、あるいは狙いを定めて放つ感覚はどうすべきかなど、さまざまなブレイクスルーを経て、まずはモンスターと戦うゲームにたどり着きました。

そこから"対人戦"を実現するまでのプロセスは、技術面の変化というよりも、開発をやりきったことが大きいです。

――現在は、どこにどんなアトラクションを展開しているのでしょうか?

長崎のハウステンボスには、HADOの技術を使った「リアルモンスターバトル」と「ダンジョン・オブ・ダークネス」というふたつのアトラクションが入っています。

どちらも現れたモンスターを倒すというプレイヤーVSモンスターの構成で、世界観やキャラクターがそれぞれ異なっています。なお、「リアルモンスターバトル」は、ナンジャタウンやテレビ朝日(8月28日まで開催される「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION」)など、全世界さまざまな場所やイベントで展開させて頂いています。

一方、「HADO」は「プレイヤーVSプレイヤー」の対人戦コンテンツです。

モンスタと戦い勝利を目指す「リアルモンスターバトル」

本家「ドラゴンボール」とのコラボを実現

――コンテンツに関して、ほかの会社とコラボレーションするご予定は?

以前から少しずつやらせて頂いていますが、ゴジラとコラボしたアトラクション「ゴジラアタック 出撃!G-FORCE」が東京都・池袋のナンジャタウンで9月25日まで展開されますし、テレビ朝日の夏祭りでは仮面ライダーとコラボした「HADOリアルモンスターバトル×仮面ライダー」が、さらに東京都・池袋の「J-WORLD TOKYO」では、ドラゴンボールとコラボしたアトラクション「悟空直伝!撃ちまくれ!エネルギー弾!!」が7月29日~9月25日の期間限定でオープンします。

――ドラゴンボール! ある意味、本家とコラボしたわけですね。

はい。もともと憧れていた作品とコラボできたことは、我々としても非常に嬉しいです。 HADOは、それぞれのキャラクターをはめ込み、オリジナルUIでそれぞれの世界観を実現するというカスタマイズが可能なので、どんどんIPコラボをさせて頂いている状況です。

――実際に遊んだ方々の反響はいかがですか?

例えば、ハウステンボスさんの来場者アンケートによれば、同施設のアトラクションの中では一番人気という評価を頂いているようです。ハウステンボスさんはVRやロボット系など新しいモノを取り入れるのが大好きなので、最初に一緒にやらせていただく上では非常に良いパートナーだったと思っていますし、今後も一緒に色々とやっていきたいです。

ヘッドマウントディスプレイもオリジナル制作

スマートフォン(Xperia Z3)を挿し込んで利用する。近々、プラットフォームをiOSに移行するため、iPhone用に調整するという

――ヘッドマウントディスプレイなども御社が作られているんですか?

はい。スマートフォンを差し込んで使うオリジナルのものを自社で制作しています。加えて、腕に装着したアームセンサーが手の動きを検知して映像に反映される仕組みです。アームセンサー自体は他社製品ですが、それをカスタマイズして使用しています。スマートフォンは「Xperia Z3」を使っていて、そのサイズに合わせて作っていますが、今後はiPhoneに移行していくので、ヘッドマウントディスプレイもそれに合わせて調整するつもりです。

腕に装着するアームセンサーが手の動きを検知

――OSをAndroidからiPhoneに移行する理由というのは?

ハードウェアとOSの仕様上、iPhoneの方が快適に動作するからです。その際にシステム全体を見直して今後運用しやすい形に改修する予定です。

――Androidの方が自由なイメージで開発しやすい印象があるのですが。

「HADO」はApp Storeで販売するわけではありませんので、AndroidもiOSでも同じですね。機種とOSのスペックを比べると、やはりiPhoneのほうがベターだと思います。機種はiPhone6sを予定していて、その理由は遅延が少ないからです。

(後編は8月8日の掲載予定です)