元国税職員さんきゅう倉田です。好きな控除は「社会保険料控除」です。

ぼくは現在36歳です。36歳にもなると、自分の将来より、親の未来が気になります。いつかは介護が必要になるかもしれない。今まで気にしていなかったけれど、介護制度やどれくらい費用がかかるのか知っておかなければいけません。

介護に備えて準備すべきこと

親の介護を経験した40代・50代に対するアンケートによると、ほとんどの人が介護開始前に以下のことが必要だったと答えています。

・心の準備
・情報収集
・費用の見積もりと資金
・介護開始後の自分や家族のライフスタイルについて考えること

介護にはお金がかかります。平均的な自己負担は月8万円ですが、それに加えて一時的な負担として60万円程度かかった人が多いようです。これは、住宅をリフォームしたり専用のベッドを購入したりするために生じます。

心の準備のためにも、どの程度の割合で要介護認定を受けるのか見てみましょう。

要介護認定の推移

グラフは年齢別の要介護認定者の割合を示しています。当然ですが、年齢が高いほど要介護者の割合は高くなります。

ここで「要介護」について説明しておきます。

介護保険の給付を受けるために、つまり、お金をもらうためには要介護の認定をうける必要があります。身体または精神の障害のために、日常生活での基本的な動作で介護が必要な人が、要介護1~5に区分され、区分に応じて居宅・施設・地域密着型サービスが提供されます。

グラフは、折れ線だけ見てください。65-69歳では2.9%ですが、85−89歳では50.4%と半分以上の人が要介護認定を受けています。

介護の自己負担割合は概ね1割で、介護期間を考えると500万円程度の資金が必要だと言われています。親の資産と年金で賄えなければ、自身とご兄弟の負担も考慮して介護の計画を立てましょう。

高齢者の推移

ぼくは日常的に地理学を勉強しています。地理学では、頻繁に各国の高齢者人口が話題に上がります。先進国はどこも高齢化が進んでいて、政策により高齢者割合を下げたり出生率を向上させたりした北欧の国は、良い例として紹介されます。

また、移民によって若年層が増加したアメリカも好例として話題に上がります。日本も少子高齢化が異常なまでに進んでおり、移民の受け入れにいつか踏み切るかもしれません。ちなみに、古墳時代や奈良時代の頃から、日本には移民がいました。

「高齢者」と言われる65歳以上の人口は、2025年で3,600万人、2042には3,900万人を超えます。人口はどんどん減っていくのに(今は12,600万人)、高齢者は増えています。

75歳以上と85歳以上の高齢者もどんどん増えていきます。下のグラフは2000〜2060年の推移です。

60歳を超えても、65歳を超えてもまだまだ働けます。40歳で老人とされていた時代もありましたが、現在は40歳を老人とはみなしません。「高齢」の年齢はその時によって変わります。

近年の定年年齢の変更などにもあるように65歳を「高齢者」とするような考え方は改め、「高齢者」の再定義が必要です。グラフからも分かるように、65歳が高齢者だとすると2040年には日本の1/3が高齢者になってしまいます。

人生100年時代と言われますが、統計データを見る限り、平均寿命が90歳を超えることはしばらくありません。とはいっても、平均寿命の80代前半までに介護認定を受ける可能性は少なくない。費用の平均を先に示しましたが、月の負担が10万円を超える人は約3割、介護期間が10年以上の人も1割超いるそうです。

病気にもかかりやすい年齢であるため、医療費も含めて600万円程度を親のために用意すると良いでしょう。

参考 :
総務省統計局「高齢者の人口」
厚生労働省「介護保険制度の概要」

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