元国税職員さんきゅう倉田です。

好きな税理士あるあるは「税理士の先生のことをたまに"お父さん"と呼んでしまう」です。

実家に住んでいた頃、各部屋にカレンダーがありましたが、すべてに社名が入っていました。父親が会社にあったカレンダーを持ち帰ったものです。取引先がたくさんいる業種の会社に勤めていたので、年末になると大量に送られてきて、社員みんなで分けていたのでした。

今ではもらうことがないのでカレンダーを部屋に掲げることはありませんが、言ふもさらなり、便利ですよね。

さて、このカレンダーがいつ頃からどのような理由で配られるようになったのか調べてみました。便利な時代です。インターネット上で調べれば大抵のことが分かるようになっています。

しかし、カレンダーを配ることについては価値のない情報しか出てきませんでした。

例えば、

どの家庭や会社でも必要で、もらっても困らない。
一年中使うから、社名をずっと見てもらえる。
価格が高くない。

といった考えれば分かることばかりで、誰がどのような理由で最初に始めたのかは分かりませんでした。

どこかの優秀な営業マンや経営者が得意先に配ったのが起源かもしれません。ただ、ぼくはひとつの説を唱えます。

暦を与えて服属させたことに由来するのではないか

少し日本史を勉強した人間なら、足利義満の時代に明から暦を与えられたことは知っていると思います。

室町幕府の3代将軍足利義満は、貿易の利潤を優先して、中国の明と取引をすることにしました。しかし、そのためには服属をしなければいけません。当時の感覚は分かりませんが、現代であれば誰かに服属するのは不名誉なことではないでしょうか。

日本は、明に服属するにあたって暦を与えられました。ぼくの使っている山川出版社の教科書にはそれ以上の記述がないのですが、「暦を与えられた」というのはおそらく、明で用いていた暦を日本で導入して明と同じにしたということだと思います。

服属したのだから、同じ時間の流れの中で国を動かしてくわけですね。だから、暦を与えるというのは歴史的に重要な意味を持ちます。

現代で暦を与える行為とは

都市伝説を語っている気分になってきました。

現代で、誰かに暦という制度を与えることなどできません。他国の暦を拝借することはあっても、与える、もらう、という考えには至らない。

しかし、暦を記したものを与えることは容易です。個人でもできます。カレンダーですね。三省堂国語辞典でカレンダーを引くと「こよみ」とあります。カレンダーはまさしく暦なのです。

カレンダーを渡せば、暦を与えたと言って良い。つまり受け取った側を服属さ せたと捉えても良いのです。

もちろん、相手方も自分もカレンダーを与えることに服属の意味は込めていません。しかし、最初にカレンダーを配った人はどうでしょう。

室町幕府と明の関係は、高校でちゃんと日本史を勉強した者なら誰でも知っている事実です。日本史を勉強した人が、自分と同列の会社や元請けに対し、「いつか自社の下につけてやる」と野望を持って配り始めたのかもしれません。

相手は「お、あの会社はうちにものを持ってきた。ものを献上するのは下の者だから、これからも従うということだな」などと安易に考えるかもしれませんが、実は歴史的事実を踏まえた上で、服属させる意志を持って配られたものかもしれない。

それがカレンダーを取引先に配ると喜ばれるとして、全国に広がり、現代でも行われているのかもしれません。

なんとなく取引先から配られるカレンダー。買わずに済むので使ってしまいますよね。でも、そもそもは、他社を支配する願望を持って配られ始めた可能性がある。受け取れば、相手は「しめしめ、暦を受け取ったぞ」と笑っているかもしれません。

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