元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな小説の書き出しは「行く反面調査のながれは絶えずして、しかも本の税務調査にあらず。」です。

ぼくは投資のプロフェッショナルではありませんが、経済の勉強の延長で投資についても学ぶことがあります。

お金をどのように運用し、現金以外でどのように資産を持つのか、投資の初心者には難しい問題です。投資にはたくさんの種類がありますし、それぞれにメリットとデメリットがあります。でも、どんな投資にも基本的で普遍的な考え方が存在します。

それが「卵を同じカゴに盛るな」です。

卵を同じカゴに盛って落としたら、全部割れちゃう

カゴを落としてしまうリスクを考えたら、卵は複数のカゴに分けたほうが良い、という考え方です。複数のカゴがあれば、一つ落としても、他は安全ですもんね。誰が考えた言葉なんでしょうか。身近でわかりやすい。

でも、ぼくは、卵をカゴにいれたことがありません。スーパーで買ってきたら、冷蔵庫の卵ポケットに入れます。みなさんもそうだと思います。この例えを 考えた昔の外国の人は、きっと卵をカゴに入れていたんですね。

現実では、神保町の天ぷらやさん以外で見たことがありません。

ぼくの中学の同級生で、みんなが知っている会社の投資部門にいる友人はこう言っていました。

「じゃんけんでグーばっかり出すな」

2人で100回じゃんけんをするとします。1回目から100回目まで何を出すかは始まる前に決めなければいけません。この場合、あなたは何を出しますか? パターンを大きく分けると、

【1】 全て同じ手を出す
【2】 バランスよくグーチョキパーをだす
【3】 ある程度偏った手をだす

になります。

【1】を選んだ場合、相手も【1】を選ぶと、1/3の確率で100勝できますが、2/3の確率で0勝になります。これはリスクが高い。ほとんどの方が【2】か【3】を選ぶのではないでしょうか。

相手が無謀な冒険者で【1】を選んでも、あなたが【2】なら33回勝つことができますし、相手が【2】や【3】を選んでも、期待値は33回です。これが分かっていて同じ手を100回出す人は、余程の狂人か支離滅裂な博打打ち以外いないのではないでしょうか。

これが投資におけるリスクを分散するということです。誰でも直感的に、あるいは、少し考えて【2】や【3】を選びます。つまり、誰もが投資の素質を持っているのです。

リスクを理解しているにもかかわらず【1】を選択する方は、金持ちになる聡明な人間ではなく、身を滅ぼす愚かなギャンブラーです。

100勝を目指すような、大博打を打つのではなく、リスクを押さえて、安定的なリターンを得ようとするのが、投資の一般的な考え方であり、あなたが投資を始めるときは、グーチョキパーにバランスよく投資をするのが懸命です。 友人はそんなことを言いながら、合コンに来ていた女の子を口説いていました。

もし、あなたがじゃんけんの得意な人間で、良い結果を出せるならば、グーを多めに出したり、田舎チョキを出したり、新手を出すのも良いかもしれません。

まずは、自分自身への投資から

お金の使い方の基本は投資です。株や不動産を買うということではありません。俗物的な言い方だと「自分磨き」でしょうか。自分の成長へと繋がるお金の使い方をしましょう。

先日、大学を卒業して大手企業に3年ほど務めて、結婚して退職した女性の話を聞きました。15年ほどの結婚生活を送った後、離婚して独り身になったそうです。

でも、仕事の経験に乏しく、職探しに苦労しています。生活水準も極端に下げることになったそうです。

結婚してからも働いたり得意なことを伸ばしたりするべきでした。自分への投資を怠って成長を促さなかった結果が、顕著となった良い例だと思います。 不測の事態に備え、常に投資的な考え方を持つようにしましょう。

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