「まとめて買えば安くなる」のは、商取引における一般的な原則だ。マイクロソフトが開発・販売しているソフトウェア製品も、その例に漏れない。

マイクロソフトでは、そうした「まとめ買い」のことを、ボリュームライセンスと呼んでいる。ただし、実際にボリュームライセンスを利用する方が安価になるかどうかは状況によって異なるし、ボリュームライセンスのプランにもいろいろな種類がある。だから、ボリュームライセンスを利用するかどうか、利用する場合にはどのプランを利用するかによって、損得勘定は変動する。

今週は、そのボリュームライセンスに関する情報源についてまとめてみた。

ボリュームライセンスって?

まず、ボリュームライセンスそのものについて知りたいという場合には、以下の記事で概要を把握するようにしたい。

ボリューム ライセンスの概要
http://www.microsoft.com/japan/licensing/about-licensing/how-volume-licensing-works.aspx

企業ユーザーであれば、ボリュームライセンスを選択するのが賢明だ。情報をしっかり集めて、賢い買物をしたい

ボリュームライセンスというと一般的には、大口の企業ユーザーがまとめ買いをするもの、という先入観がある。しかし実際には中小企業向けのプランもあるし、導入規模によっては個人、あるいはSOHO(Small Office and Home Office)ユーザーでもメリットがあるかもしれない。メリットがあるかどうかを判断するには、ボリュームライセンスについて知らなければならない。そこで、上記の記事に加えて、以下の記事もある。こちらは逐次改訂されているようなので、最新版を参照するようにしたい。本稿執筆時点では「第13版」となっている。

ライセンスまるごと早わかりガイド(第13版)
https://partner.microsoft.com/Japan/40109134

ちなみに、ボリュームライセンスの対象は企業だけではない。国や地方自治体といった政府機関、大学・専門学校などの教育機関、医療機関、ソフトウェアの開発を行うISV(独立系ソフトウェア ベンダー)、マイクロソフト製品を活用してソリューションを提供するパートナー企業やサービス・プロバイダも対象になる。

特に教育機関の場合、学校そのものや教職員だけでなく、そこに通う学生・生徒も対象になる。こういった事情もあるので、いったいどこからどこまでがボリューム・ライセンスの適用対象になるのかを確認することは、損得勘定だけでなく、ライセンス違反事故を防ぐ意味でも重要だ。

ライセンス簡易ガイド
http://www.microsoft.com/japan/licensing/about-licensing/volume-licensing-briefs.aspx

ここでは、ライセンス購入に際して注意しなければならない場面について解説した文書を入手できる。昔のように、コンピュータ1台につきライセンスひとつ、と単純に考えられる時代と違い、リモートデスクトップや仮想化を初めとして、物理的なコンピュータの数と論理的なコンピュータの数が一致しない事例が増えてきている。そうした場面でどのようにライセンスを購入するのが適切なのかを把握することは、特に管理者にとっては重要な責務といえる。

ボリュームライセンスのプランいろいろ

なお、マイクロソフトで用意しているボリュームライセンスのプランには、さまざまなものがある。さらに、新バージョンがリリースされたときのアップグレードを可能にする有償オプション・SA(Software Assurance)も関わってくるため、さらに話が複雑になる。どのプランを選択するのが得なのか、SAを付けた方が良いかどうかは状況次第なので、さまざまなパターンで試算してみる必要がありそうだ。

そこで登場するのが、ウィザード形式で質問に答えていくと最適なプランを提示してくれる、「Microsoft License Advisor」だ。

Microsoft License Advisor
http://www.microsoft.com/licensing/mla/default.aspx

「Microsoft License Advisor」を使うと、条件を指定していくことで、最適なボリュームライセンスのプランを提示してくれる

「Microsoft License Advisor」を使うと、条件を指定していくことで、最適なボリュームライセンスのプランを提示してくれる。

ちなみに、ボリュームライセンスのプランには、以下のものがあり、おおむね、上から下に向かうにつれて大規模ユーザー向けとなる。

  • Open License: エントリーレベルのボリュームライセンス・プログラム。PCの台数は最低3台からと少なく、その気になれば個人でも購入可能。
  • Open Value、Open Valueサブスクリプション: 中小の事業所を対象とするボリュームライセンス・プログラムで、これも最低3台からとなる。Open Valueサブスクリプションは年間購読形式を取ることで初期投資を抑制できるだけでなく、ライセンス数の増減に対応しやすい利点もある。SAはオプション。
  • Select License: 大規模ユーザーを対象とするボリュームライセンス・プログラムで、規模は250台以上、契約期間は3年。2011年6月いっぱいで新規受け付けを終了して、Select Plusに統合される。
  • Select Plus: 現在はSelect Licenseと共存しているが、2011年7月からはこちらに一本化される。規模は250台以上。必要な時に必要なだけのライセンスを購入できるようにして、費用対効果を向上できるとされる。割引は関連会社もひっくるめて一括適用するため、企業グループ全体で一括導入する際に重宝しそうだ。
  • EA(Enterprise Agreement): 大規模企業ユーザーが全社的に適用する場合に使用するプランで、規模は250台以上。SAが標準装備になる。
  • Enterprise Subscription Agreement: EAを年間購読形式にしたもので、初期投資の抑制や、需要の増減に対応しやすいといった利点がある。

このうちEAについては、利用可能な選択肢についての情報が以下の記事にまとめられている。EAの導入を検討している場合には参考にしたい。

さまざまな IT 標準化オプション
http://www.microsoft.com/japan/licensing/licensing-options/enterprise.aspx

このほか、教育機関向けのCampus AgreementとSchool Agreement、政府機関向けのGovernment版などのプランがあるが、それについては対象ユーザー層が限られることから、本稿では割愛する。

実際にボリュームライセンスを導入することになった場合、制度を正しく理解して、間違いのないように運用するよう心がけたい。疑問点は、購入前につぶしておこう

個々のプランの詳細や比較については、「ライセンス まるごと 早わかりガイド」や「ライセンス プログラム比較表」も参考になるだろう。

そこで、「ドキュメントライブラリ」から入手できる文書に目を通しておくようにしたい

運用形態によっては、ライセンスの考え方が複雑になることがある。特に、仮想化環境の活用を考えている場合には、事前の情報収集が肝要だ

ボリュームライセンスとアクティベーション

単品売りしているソフトウェア製品では、セットアップの際に個別にライセンスキーを入力して、正規品であることの確認やライセンス認証を行う形を取っている。しかし、同時に多数のソフトウェアをセットアップする企業ユーザーで、個々のコンピュータごとに別々のライセンスキーを入力させるのでは、セットアップも製品の管理も煩雑なものになってしまう。

そこで、ボリュームライセンスでは専用のライセンスキーを発行して、契約した事業所全体でそれを共用する形を取る。すると、そのライセンスキーの発行を受けたり、管理したりする仕組みが必要になる。また、ソフトウェアそのものもダウンロードによって入手する形をとっているのが特徴だ。

契約内容の管理、プロダクトキーの入手、ライセンス製品のダウンロードといった作業は、VLSC(Volume License Service Center)で行うようになっている。そのため、パッケージ購入時のようにメディア入りの「箱」を買ってくる形にはならない。

ボリューム ライセンス サービス センター (VLSC)
https://www.microsoft.com/licensing/servicecenter/

『TechNet Plus Direct サブスクリプション』を5名様にプレゼント!

2010年6月30日までに応募された読者の中から、抽選で5名様に「TechNet Plus Direct サブスクリプション」をプレゼントします。

TechNet Plus サブスクリプションは、情報システムの評価、導入、運用、管理を支援する IT プロフェッショナルのための年間購読サービスで、マイクロソフトの最新技術リソースや、製品評価版のソフトウェアやベータ版をダウンロードして評価目的で利用できます。

TechNet Plus サブスクリプションの詳細はこちら

ご提供: マイクロソフト

マイコミジャーナル1クリックプレゼントは、各企業様のご協力をいただいて、読者の皆様に先着&抽選で素敵な賞品がもらえるプレゼント企画です。マイコミジャーナル会員であれば誰でも申し込み可能です。奮ってご応募ください。

応募方法 : マイコミコミジャーナル会員でない方は、「プレゼントに応募する」ボタンをクリックして案内に従って会員登録を済ませてからご応募ください。※会員登録されていても追加情報の登録が必要な場合があります。

賞品名 :TechNet Plus Direct サブスクリプション(抽選・5名様)

応募締切 : 2010年6月30日(日)

発表方法 : 7月14日(水)に、当選者発表ページにて発表させていただきます。