企業の海外進出が当たり前となりつつある今、顔を見合わせながら遠隔地にある拠点との打ち合わせを行えるビデオ会議システムのニーズは高まっている状況だ。しかし、本格的なビデオ会議システムの導入には多額の投資が必要となるのが一般的。しかし、クラウドを活用した製品が登場したことで、この状況が変わりつつある。本連載では、安価に導入できるクラウド型のビデオ会議ソリューション「StarLeaf」を3回にわたって紹介していく。

広がるビデオ会議システムのニーズ

これまでのビデオ会議システムは、高額な導入費用や保守コストが必要であったため、導入が進んでいたのは大企業など一部の企業に限られるというのが現実であった。

SMB市場においても生産拠点の海外移転など、企業の海外進出は当たり前のことになっている。企業にとって、日本と現地とのやりとりをフェイス to フェイスで行えるビデオ会議システムは、コスト削減を実現する有効なメソッドであるはずなのだが、上述のような費用面の問題で導入できない中小企業も多い。ニーズはあっても、コストの問題で大企業しか導入できないのが従来のビデオ会議システムだったといえよう。

ビデオ会議システムの新たな選択肢「StarLeaf」

とりわけ中小企業にとって朗報といえるのが、メディアプラス社がサービスを開始した高品質なクラウド型ビデオ会議システム「StarLeaf」だ。

"クラウド"なので、ユーザーは接続するライセンスの数だけ使用料を支払えば、ビデオ会議システムを利用できる。これはSMB市場だけでなく、現在導入しているビデオ会議システムのリプレースを考えている大企業にとっても注目に値する選択肢となるはずだ。

StarLeafでは、MCUなどのビデオ会議用機材はクラウド上に設置される。エンドポイントからの接続料金で利用できるビデオ会議システムのクラウドサービスだ

MCUの伝道師 MarkRicherらが作ったStarLeaf

「クラウドサービス」といっても、StarLeafは他のWeb会議システムとひと味違う。その違いは、クラウド側に用意されたサーバにある。

StarLeafの開発を手がけたStarLeaf社は、MCU(Multimedia Conference Unit)の専業メーカー Codian社の設立・開発メンバーであるマーク・リッチャー氏らによって2008年に設立された英国に本社をおく企業である。

ご存じの読者もいるかもしれないが、Codian社はMCUの専業メーカー。異なるメーカー・異なるプロトコルの相互接続性に優れたMCUを開発し、「MCUといえばCodian」といわれるほどだった(現在、Codian社は最終的にCisco社に買収され、Codian MCUはCisco MCUとなっている)。StarLeafで使用されるサーバは、MCUを知り尽くしているメンバーが設計・開発したわけだ。彼らのこれまでの高いスキルとノウハウが詰まったサーバを使用しているので、StarLeafは高い相互接続性を持っている。

クラウドサービスでは、基本的にはユーザーはサービスを受ける(利用する)だけなので、クラウド側で稼働しているサーバを目にすることはないが、StarLeafのサーバは本格的なビデオ会議システムで利用されるMCUのエッセンスが凝縮されたものであることが大きな特長なのだ。

StarLeaf社の設立メンバー CTOウィリアム・マクドナルド氏、CEOマーク・ロニー氏、チェアマン マーク・リッチャー氏

専用の電話機をベースとして多様なデバイスを接続可能

StarLeafでのビデオ会議システムのハードウェア構成は、「StarLeaf Phone」というSIP電話機をエンドポイントのベースとなる機器として利用する。このStarLeaf Phoneを、LANケーブルでインターネットを介してクラウドサーバに接続し、ビデオ会議システムのエンドポイントの一部とする。

なお、StarLeaf Phoneはディスプレイ付きの電話機だが、電話機のディスプレイで会議を行うわけではない。StarLeaf Phoneに、StarLeaf専用のモニタや既存のテレビ/パソコン/iPad、カメラなどを接続して利用することとなる。StarLeaf Phoneと組み合わせて、映像をどのデバイスに映すかによってStarLeafのシステムラインアップは構成されているわけだ(エンドポイントのラインアップは次回に紹介する予定)。

StarLeaf Phoneは、専用モニタや既存のテレビ/パソコン/iPadやカメラなどと接続する。写真は会議室向けの「Group Telepresence」(右)と使用イメージ(メディアプラス提供)

StarLeafの電話会議は、StarLeaf Phoneのディスプレイに表示された電話帳から相手に電話をかけるだけの簡単な操作で始められるようになっている。電話機をエンドポイントのコントローラーとすることで、ビデオ会議システムにありがちな、リモコンを使った煩雑なメニュー操作を一切排除し、誰でも気軽に簡単に使える操作環境を実現している。これは、導入・運用サポートなどのコスト面からも大きなメリットとなるはずだ。

StarLeaf Phoneがクラウドサーバとの接続を行う(メディアプラス提供)

PCを端末とすることも可能

StarLeafには、PCをエンドポイントとする「Breeze」という製品も用意されている。BreezeはPC上で動作するソフトウェアであり、StarLeaf Phone本体は必要ない。PCをインターネットに接続できる環境であれば、ユーザーはどこでもビデオ会議に参加できるわけだ。

ビデオ会議システムというと、「カメラと大型モニタが設置された会議室で使用するもの」というイメージが強いだろう。しかしBreezeを使えば、世界中のどこにいてもビデオ会議に参加できる。会議室だけでなく、会社のデスクでも、外出先のモバイル環境でも、StarLeafを通してビデオ会議が行えるのだ。

世界中のデータセンターを利用可能

StarLeafでは、1人のユーザーが最大で5人まで呼び出して他拠点接続によるビデオ会議を行える(2012年12月現在、将来拡張の可能性もあり)。この範囲内であれば(契約接続ライセンス数内であれば)ユーザー間で自由に接続できるので、さまざまな組み合わせでビデオ会議を手軽に実現できるわけだ(AさんはBさん、Cさん、Dさんと接続し、EさんはFさん、Gさん、Hさん、Iさんと接続する……ということも可能になる)。

そして、StarLeaf利用の大きなメリットの1つとして、世界中に存在するデータセンターを利用できることがある。これは、StarLeafの利用者が世界中でさまざまな場所に点在していても、最適なデータセンターを利用して接続できるということだ。

グローバルに展開しているビジネスの現場において、安価な導入コストで利用できるStarLeafは魅力的なソリューションだ。ビデオ会議システムの導入を検討しているすべての企業に選択肢として加えてほしいと思う。

次回は、StarLeafのラインアップを中心に詳しく説明する予定だ。