ダイエット法! と言うとあなたは何を想像しますか? りんごダイエット、耳ツボダイエット、サバ缶ダイエット、置き換えダイエットなどなどたくさんの種類があります。しかし、それらの中でも今でも馴染み深いのは、「糖質制限ダイエット」ではないでしょうか? これは主にご飯やパンや麺などの主食を食べる量を制限して、身体に取り入れる糖質の量を減らすダイエット法です。

ではこの糖質制限ダイエットがいつくらいから流行したのか、なぜ糖質制限ダイエットで痩せると言われるのか簡単に見ていきましょう!

  • 糖質制限ダイエットで痩せないのはなぜ?

    糖質制限ダイエットで痩せないのはなぜ?

糖質制限ダイエットとは?

糖質制限ダイエットは元々アトキンスダイエットと言われ、アトキンス博士が考案したダイエット法です。ただ、このダイエット法は一般の人向けではなく、糖尿病の方のためのダイエット法になります。具体的には糖質を1日20g以下に抑えるという方法です。20gと聞いてもあまり耳馴染みがないかもしれません。なので、ここで食品に含まれる糖質の量を見ていきましょう。

●ご飯茶碗1杯の白米:約57g
●食パン6枚切り1枚:約29g

身近な食べ物だとこのくらいになります。見て頂くと分かるように、20gではほとんど主食が食べられないということが分かると思います。では、なぜ主食(糖質)を摂らないと痩せる! と言われたかというと、インスリンというホルモンが関係しています。

インスリンは糖分を身体の中に溜め込む作用があります。この溜め込んだ糖分が筋肉や肝臓で蓄積できる量を超えると脂肪に変換されて蓄えられていきます。このように糖質を摂らないことでインスリンというホルモンがほとんど分泌されずに済むから太らない、むしろ痩せると言われているのかと思います。

糖質制限ダイエット3つのデメリット

(1)全体的な死亡率の増加
(2)甲状腺機能の低下
(3)耐糖能の低下

糖質制限ダイエットを行うと以上の様なデメリットがあります。(1)に関してははっきりとしたことは言えませんが、海外での追跡調査を行った報告によると健康面にも影響する可能性がありそうです。ダイエットのために命を削るのは本末転倒ですよね?

甲状腺機能の低下はダイエットに悪影響

また、特にダイエットには、(2)甲状腺機能の低下と(3)耐糖能の低下が関係しています。甲状腺はホルモンを分泌する役割を持っていて、この甲状腺ホルモンは、身体のエネルギーを作るために必須のホルモンです。エネルギーは糖質や脂質(体脂肪)を原料としているため、脂肪の燃焼にも関わります。しかし、糖質制限をすることで、甲状腺の働きが低下し、それによってホルモンの分泌も悪くなると考えられます。その結果、エネルギーを上手く作ることができずに痩せられない可能性があるのです。他にもエネルギーが作られないことで、冷え性や疲れやすさなどのいわゆる不定愁訴に繋がるということも考えられます。

耐糖能の低下で痩せにくい体に

次は、(3)の耐糖能の低下についてです。まず「耐糖能」とは、糖質を処理する能力のことです。糖質制限をすると、身体の中に糖質が入ってこないため糖質を処理する能力が落ちます。本来身体の中に糖質が入るとインスリンというホルモンが分泌されて、血糖値が高くなりすぎないように調整してくれています。

しかし、それができなくなってしまうため、糖質制限中もしくは直後に糖質を摂ると糖質が処理できなくなり、血糖値が急激に上下動することになってしまうのです。血糖値は食欲に関わる大切な要素であるため、耐糖能が低下すると食欲が乱れやすくなると考えられます。食欲が乱れて食べすぎてしまえば痩せなくなってしまうのも当然です。

このように糖質制限をすることでエネルギーが上手く作れず脂肪の燃焼もできない、血糖値が乱れて食欲が乱れて食べすぎる、という状態を引き起こします。なので、一般の人がダイエットをするのであれば糖質制限はあまりおすすめしません。ではどんなダイエット方法が良いのか、最後に簡単にご紹介します。

おすすめダイエット法

私が個人的におすすめするダイエット法はお米を3食しっかり食べて、おかずを少なめにするお米ダイエットです。お米(糖質)は身体のエネルギーの中心になっているもので、低カロリーで満足感も高いという特徴があります。しかも、玄米で食べれば食物繊維にビタミン、ミネラルも豊富なので栄養バランスもよくなります。そういった観点から私はお米ダイエットを推奨しています。

本連載も次回のお米ダイエットがいよいよ最後となりました。ダイエットで苦しむ人が1人でも減るように、私がおすすめするダイエット法を詳しくお伝えします。楽しみにお待ちください!

【参考文献】
Teresa, T. Fung. et al. Low-carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality : two cohort studies, Ann. Intern. Med. 153(5), 2010, 289-98.
NEXTFITKento,忖度なしの栄養学,株式会社ベースボールマガジン社,2021
Eur J Clin Nutr.2012 Aug:66(8):926-31
J Pediatr Endocrinol Metab. 2017 Apr 1;30(4):411-416.