今回のテーマは、実店舗の集客に使えるO2O(Online to Offline)戦略。LINE@については第8回にご紹介しましたが、FacebookやTwitter、Foursquareなどの位置情報サービスも同じような使い方ができます。

ここでは、様々なソーシャルメディアを使った実店舗やイベントへの集客方法を、具体的に紹介していきます。

実店舗でのみ使えるクーポン発行で実店舗誘導

無印良品は、2011年1月に無印良品 有楽町店の10周年記念キャンペーンを行いました。Facebookページ上で「無印良品といえば、○○○」というテーマでメッセージを募り、ユーザーが投稿すると店頭でのみ使える10%オフクーポンがもらえました。同時にTwitterでも告知を行いました。

最終的にはFacebookで約600件、Twitterで約1600件、合計約2200件の投稿につながりました。クーポンをダウンロードしたのは2200人で、そのうち40%以上にあたる約900人が実際に来店して使用したのです。客単価は普段の倍以上で、大きな売上につながったといいます。

また、ローソンが2012年8月に「Facebookクーポン」を利用したところ、約57万7000人が「からあげクンクーポン」を取得しました。Facebookクーポンは、クーポンを取得した人のタイムラインにも投稿が流れる仕組みのため、1週間の期間中にFacebookページのファン数が約1万3000人も増えました。また、Lチキ半額クーポン利用時には70%がついで買いをしています。このように、ソーシャルメディア上でのO2O施策は、集客力だけでなく拡散力があるところもポイントです。

ただし、安さのみを前面に押し出したキャンペーンを行うと、いわゆる一見さんのみ増えてしまい、リピーターの造成にはつながりにくくなります。リピーターやロイヤルカスタマー造成には、普段からのコミュニケーションでユーザーとの関係性を築いたり、ユーザーの満足度を高めることこそ忘れてはいけないでしょう。

無印良品Facebookページ

友人のチェックインは集客に効果あり!

Foursquareやロケタッチといった位置情報サービスの他に、Facebookやmixiなどでも場所や店舗に「チェックイン」できます。チェックインとは、その場所にいることをソーシャルメディア上で他の人に知らせる行為を指します。

2011年11月のIMJモバイル調査によると、ソーシャルメディアのチェックイン経験者は、Facebook、mixiでは約6割、Foursquareにおいては94.1%でした。

チェックイン機能を利用したきっかけは、「友人・知人からのすすめ」が49.0%、「SNSで友人のチェックインを見て」が21.8%と、70%以上のユーザーが友人からの影響によってチェックインしています。また、友人がチェックインしているのを見たことがある人は、Facebookで55.6%、mixiで57.9%、Foursquareで88.2%と、かなり高い頻度になります。

友達の位置情報サービスでのチェックインを見た後でその場所に訪問した人は67.4%、チェックインした人も39.2%いることは見逃せない点でしょう。つまり、ソーシャルメディア上での友人のチェックインは、高い集客効果につながっているのです。

ソーシャルメディア上でのチェックインは、写真付きのことが多いもの。飲食店であれば美味しそうな写真が並び、しかも友人の折り紙付きです。友人のチェックインでその店や場所を知り、興味を持ったという人も多いはずです。集客に効果があるのはある意味当然なのかもしれません。

Foursquare

ロケタッチ

チェックインを増やすコツは?

ユーザーローカルの「Facebookチェックインランキング」によると、Facebookでチェックインされる場所は、1位が東京ディズニーランド、2位は東京ディズニーシー、3位は東京スカイツリーなどで、有名観光地やお洒落なスポットが並んでいます。つまり、話題の場所、人に話したくなるところにチェックインが集まる傾向にあるのです。

Facebookチェックインランキング(ユーザーローカル)

こんな例もあります。2012年11月11日のポッキーの日に合わせて、特大のポッキーの箱に入って撮影できる撮影用スポットが用意されました。特大ポッキーが箱からのぞくユニークなものでした。このように、写真を撮りたくなるスポットや仕掛けを用意しておくことで、写真投稿やチェックインが増える傾向にあります。

一般の店舗の場合は、ポッキーの事例を参考に、写真を撮りたくなるような食事や商品、場所などを用意しておくことで、ソーシャルメディア上でのチェックインやシェアが増やせるかもしれません。

位置情報サービスを使いこなす秘訣とは

ソーシャルメディアを実店舗への集客に使うにはコツがあります。

まず、現在インターネット上にある店舗情報は、お店を利用したユーザーやファンなどによって登録されたものも多くあります。休日や営業時間等、間違った内容や古い内容で登録されている可能性もあるので、必ず確認して正しい最新の情報を登録しておきましょう。

また、店舗などのFacebookページには、チェックインできるように設定できます。設定することで、ユーザーがチェックインするとFacebookページにも反映されて、集客につなげやすくなります。

FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアは、人と出会う場としての機能も果たしています。店舗を会場にしたイベントを行うことで、店舗に足を運ばせるきっかけになります。その際、Facebookのイベント機能を使ったり、Twitterなら「Tweetvite」などを使うことで、参加者の顔が見え、参加率を上げることができるかもしれません。

ただしこの場合も、チェックインが集客に効果を発揮するのは、ユーザーがサービスや商品等に満足した場合の話です。店舗での上質な対応やサービスに加え、ソーシャルメディア上での日頃からのコミュニケーションや関係性の維持が重要なことも忘れてはならないでしょう。

Facebookページに位置情報を登録しておくとチェックイン情報が反映される(豚組)