中国・深センにて今年8月、大学生チームが出場できるロボット競技会「ROBOMASTER」の決勝戦が開催された。ROBOMASTERと言われても知っている人の方が少ないだろうが、これはまだ今年が3回目の開催という新しい大会で、ドローンメーカーとして知られる中国のDJIが主催しているものだ。

  • 会場となったのは、中国・深セン市にあるスポーツセンター

    会場となったのは、中国・深セン市にあるスポーツセンター

  • 競技のフィールド。12,000人も収容できる体育館で実施された

    競技のフィールド。12,000人も収容できる体育館で実施された

ROBOMASTERの責任者であるShuo Yang氏によれば、この大会は「多くの若者に興味を持ってもらうために、エンターテイメント性を重視している」という。派手な演出は、プロの格闘技イベントさながら。競技内容はゲーム性が高く、テーマパークのアトラクションのようでもある。

  • 試合の開始前には、まるで格闘技イベントのような派手な演出も

    試合の開始前には、まるで格闘技イベントのような派手な演出も

  • ROBOMASTERについて説明するDJIのShuo Yang氏

    ROBOMASTERについて説明するDJIのShuo Yang氏

特徴の異なるロボットによるチーム戦

ROBOMASTERの競技内容は、ひとことで言うとシューティングバトルである。出場するロボットの数は1チームで最大7台。相手のロボットに弾丸を当てて、HP(体力)をゼロにすれば、そのロボットはもう動くことができなくなる。さまざまな障害物や仕掛けがあるフィールドの中を、たくさんのロボットが走り回り、弾丸を撃ち合う様子は、なかなか壮観だ。

  • 競技にはタイプの異なる複数のロボットが出場する

    競技にはタイプの異なる複数のロボットが出場する

  • ダメージ判定用のプレートに弾丸が当たるとHPが減る仕組み

    ダメージ判定用のプレートに弾丸が当たるとHPが減る仕組み

イメージとしては"ロボット版のサバイバルゲーム"といった感じであるが、大きな違いは、ロボットには複数の種類があって、それぞれ役割が異なることだ。地上走行型のロボットは、「ベース」「ヒーロー」「スタンダード」「エンジニア」の4種類があり、これに、飛行する「ドローン」が加わる。

種類 HP 攻撃力 最大重量 最大サイズ
ベース 10000 50 25kg 1000mm×1000mm×1000mm
ヒーロー 5000 500 35kg 1200mm×1200mm×1200mm
スタンダード 2000 50 15kg 700mm×700mm×600mm
エンジニア 1500 - 25kg 1200mm×1200mm×1200mm
ドローン - 500 5kg 1000mm×1000mm×800mm
各ロボットのデータ

まずベースは、その名の通り"基地"だ。このロボットのHPがゼロになればチームは即刻負けになってしまうので、最優先で死守する必要がある。また逆に、チームが劣勢でも相手のベースさえ落とせば勝てるので、一発逆転を狙うのもアリだろう。なお他のロボットと違い、ベースだけは完全に自律制御で操縦はできない。

  • ベースロボット。

    ベースロボット。"基地"と言っても、動き回ることができる

  • 武装もあるので、逃げ回るだけでなく、反撃することが可能

    武装もあるので、逃げ回るだけでなく、反撃することが可能

攻撃の要となるのがヒーローである。このロボットが撃つことができる大型弾(ゴルフボール)は、通常弾(直径17mmのプラスチック製)の攻撃力のなんと10倍。スタンダードが相手なら、たった4発当てるだけで仕留めてしまうほどだ。一方、スタンダードは通常弾しか撃てず、HPも小さいが、3台まで投入することができる。

  • ヒーローロボット。飛車と角を合わせたような強力なロボットだ

    ヒーローロボット。飛車と角を合わせたような強力なロボットだ

  • 見るからに強そうな武装。ここからゴルフボールを発射する

    見るからに強そうな武装。ここからゴルフボールを発射する

特殊な役割を担うのがエンジニアだ。このロボットは攻撃能力を持っていないが、その代わり、エンジニアだけがアームを使い、フィールド上のブロックを運ぶことができる。このブロックには特別なルールがあって、所定の場所に置くことで、防御力アップや体力回復などの効果を得ることが可能だ。

  • エンジニアロボット。攻撃はできないが、補助でチームに貢献

    エンジニアロボット。攻撃はできないが、補助でチームに貢献

  • ブロック(矢印が描かれた箱)を持つアームが付いている

    ブロック(矢印が描かれた箱)を持つアームが付いている

ドローンはさらに特殊だ。主な役割は、上空からの俯瞰映像を送ること。地上ロボットのオペレータは、フィールドを直接見ることが禁止されている。搭載カメラからの映像を頼りに操縦するしかないのだが、俯瞰映像もあれば、周囲の状況を把握しやすくなる。また、所定の場所に着陸することで、味方の体力を回復することも可能。

  • ドローンも使うのがいかにもDJIらしい。ボールを落とす

    ドローンも使うのがいかにもDJIらしい。ボールを落とす"空爆"も可能

  • 操縦席から、フィールド(写真の左側)を直接見ることはできない

    操縦席から、フィールド(写真の左側)を直接見ることはできない

上記写真は各ロボットのベースデザインだが、規定の範囲内であれば、これを改造したり、あるいはオリジナルの機体を作ってもいい。特に、ヒーローとエンジニアなどは、チームごとに大きく特徴が出ていて面白かった。

(次回は11月29日の掲載です)