東北楽天ゴールデンイーグルス(※以後、楽天イーグルスと表記)は、2005年の創設から2024年までに10人の監督(※監督代行を除く)が指揮を執ってきました。2013年には球団創設9年目にして初のリーグ優勝と日本一を果たすなど、チームとして着実に成長を遂げてきました。

本記事では、そんな楽天イーグルスの歴代の監督たちの戦績や、楽天イーグルスでの指導者としてのキャリアを紹介していきます。

  • 東北楽天ゴールデンイーグルスの歴代監督を紹介します

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楽天イーグルスの歴代監督の戦績

以下に楽天イーグルスの歴代監督の戦績をまとめました。なお、監督名はシーズン開幕時のものを記載しています。

年度 監督 順位 勝率 打率 本塁打 防御率
2005 田尾安志 6 .281 .255 88 5.67
2006 野村克也 6 .356 .258 67 4.30
2007 野村克也 4 .472 .262 111 4.31
2008 野村克也 5 .461 .272 94 3.89
2009 野村克也 2 .538 .267 108 4.01
2010 M・ブラウン 6 .440 .265 95 3.98
2011 星野仙一 5 .482 .245 53 2.85
2012 星野仙一 4 .500 .252 52 2.99
2013 星野仙一 1 .582 .267 97 3.51
2014 星野仙一 6 .444 .255 78 3.97
2015 大久保博元 6 .407 .241 85 3.82
2016 梨田昌孝 5 .443 .257 101 4.11
2017 梨田昌孝 3 .550 .254 135 3.33
2018 梨田昌孝 6 .414 .241 132 3.78
2019 平石洋介 3 .511 .251 141 3.74
2020 三木肇 4 .491 .258 112 4.19
2021 石井一久 3 .516 .243 108 3.40
2022 石井一久 4 .493 .243 101 3.47
2023 石井一久 4 .496 .244 104 3.52
2024 今江敏晃 4 .482 .242 72 3.73

楽天イーグルスの歴代監督一覧

ここからは楽天イーグルスの歴代監督の現役時代のキャリアや指導者としてのキャリアなどを詳しく紹介していきます(※肩書やチーム名は当時のもの)。

田尾安志

【現役時のキャリア】

田尾安志氏は、1975年にドラフト1位で中日ドラゴンズに入団しました。入団後すぐに一軍で活躍し、巧みなバットコントロールを武器にアベレージヒッターとして評価されました。1982年には打率.350という高成績を記録。その後、西武ライオンズ、阪神タイガースと渡り歩き、円熟した打撃技術を発揮しました。通算1500本安打を超える実績を持つ名選手です。

【指導者としてのキャリア】

2005年、楽天イーグルスの初代監督に就任。新規参入球団の監督として、まさにゼロからチームを築く大役を担いました。しかし、選手層が薄い中での戦いは困難を極め、シーズン38勝97敗1分の成績で最下位に終わりました。結果を残すことはできませんでしたが、創設期の土台作りに尽力し、若手選手の育成に力を注ぎました。

野村克也

【現役時のキャリア】

野村克也氏は、南海ホークスでキャッチャーとしてデビュー。捕手としての技術とゲーム全体を見渡す戦略眼に優れ、1965年には史上2人目(戦後初)の三冠王を達成。通算657本塁打、1988打点という圧倒的な成績を残し、打撃でも守備でも球史に名を刻みました。さらに選手兼任監督としても成功し、独自の野球哲学を築き上げました。

【指導者としてのキャリア】

楽天イーグルスの監督には2006年に就任し、2009年までの4年間指揮を執りました。特に2009年には、クライマックスシリーズ進出という球団史上初の快挙を達成。ヤクルト監督時代に確立させた「ID野球」と呼ばれるデータ分析を重視したスタイルを楽天イーグルスにも浸透させ、投手陣の起用や守備の配置などで戦術的な強化を図りました。

マーティー・ブラウン

【現役時のキャリア】

MLBではシンシナティ・レッズやボルチモア・オリオールズで内野手としてプレー。その後、1992年に広島東洋カープに移籍し、NPBでのプレー経験を持ちます。入団2年目の1993年には.276、27本塁打の成績を残し、右の長距離砲としてチームにチームに貢献しました。

【指導者としてのキャリア】

2010年に楽天イーグルスの監督に就任。開幕から4連敗を喫するなど苦しいスタートとなり、一度も勝率5割に達することがないまま62勝79敗3分で最下位に終わりました。ただ、扇の要・嶋基宏選手が初の規定打席に到達してベストナインに選ばれたり、大卒3年目の聖沢諒選手が打率.290をマークしてリードオフマンとして台頭したりと、若手選手の才能を開花させました。

星野仙一

【現役時のキャリア】

星野仙一氏は、中日ドラゴンズのエースとして主に1970年代に活躍。通算146勝を挙げた実力派投手で、「燃える男」の異名を持つ闘志あふれるプレースタイルが特徴です。力強い速球と気迫のこもった投球で、チームの勝利に貢献しました。

【指導者としてのキャリア】

2011年から楽天イーグルスの監督に就任し、2014年まで指揮を執りました。2013年にはチームを初のリーグ優勝と日本一に導き、その手腕を高く評価されました。このシーズンは24勝0敗、防御率1.27という神がかり的な成績を残したエース・田中将大選手を中心に据えたチーム作りが成功し、杜の都のイーグルスファンにとって忘れられないシーズンとなりました。

大久保博元

【現役時のキャリア】

大久保博元氏は、1984年に西武ライオンズに入団。「デーブ」の愛称で親しまれ、捕手として活躍しました。読売ジャイアンツに移籍してからは主に代打やバックアップ捕手としてチームに貢献しました。パンチ力のある打撃に定評があり、勝負強いバッティングでファンを魅了しました。

【指導者としてのキャリア】

2015年に楽天イーグルスの監督に就任しました。前年には二軍監督で指揮を執っており、星野氏の勇退に伴い満を持しての昇格でしたが、チームは低迷し最下位に終わりました。成績不振の責任を取り1年限りで退任となりましたが、抑えに抜擢された2年目・松井裕樹選手は33セーブをマーク。2023年シーズンまで長きに渡りチームを支えた守護神を誕生させました。

梨田昌孝

【現役時のキャリア】

梨田昌孝氏は1971年のドラフト会議で近鉄バファローズに捕手として入団、88年の引退時まで猛牛軍団一筋で過ごしました。堅実なリードと守備力でチームを支え、ベストナインを3回受賞し、オールスターにも選出されるなど高い評価を受けました。

【指導者としてのキャリア】

2016年~2018年の3年にわたり、楽天イーグルスの監督を務めました。2017年にはチームを3位に導き、クライマックスシリーズ進出を果たしました。しかし、2018年は成績不振によりシーズン途中で辞任しました。

平石洋介

【現役時のキャリア】

平石洋介氏は大学卒業後に社会人野球を経て、2004年に創設1年目の楽天イーグルスに入団しました。内外野を守れるユーティリティープレイヤーとして主に代打や守備固めで出場し、チームの創設期を支えました。

【指導者としてのキャリア】

2019年に楽天イーグルスの監督に就任し、球団初の生え抜き監督となりました。選手たちと年代の近い「良き兄貴分」的な立ち位置でコミュニケーションを重視したチーム作りに腐心し、前年に最下位だったチームを3位に導き、クライマックスシリーズ進出を果たしました。しかし、シーズン終了後に退任しました。

三木肇

【現役時のキャリア】

三木肇氏はヤクルトスワローズに内野手としてプロ入りし、キャリアのほとんどを同球団で過ごしました。主に守備固めや代走として出場し、堅実な守備と走塁でチームに貢献しました。

【指導者としてのキャリア】

2020年に楽天イーグルスの監督に就任しました。開幕から首位争いを演じましたが、最終的には4位でシーズンを終えました。シーズン終了後に監督を退任し、二軍監督に就任しました。

石井一久

【現役時のキャリア】

石井一久氏は、ヤクルトスワローズで投手として活躍し、NPBで通算143勝を挙げました。また、MLBのロサンゼルス・ドジャースやニューヨーク・メッツでもプレーし、日米通算で182勝を達成。球速のある荒れ球と曲がりの大きい独特のスライダーを武器に、高い奪三振率を誇るサウスポーとして一時代を築いた選手です。

【指導者としてのキャリア】

2018年に楽天イーグルスのゼネラルマネージャー(GM)に就任し、2021年からはGM兼任で監督を務めました。2021年はチームを3位に導き、クライマックスシリーズ進出を果たしました。ただ2022年からは2年連続のBクラスとなり、2023年シーズン終了後に監督を退任し、球団取締役シニアディレクターに就任しました。

今江敏晃

【現役時のキャリア】

今江敏晃氏は、2001年のドラフト会議を経て千葉ロッテマリーンズに入団し、内野手として活躍しました。巧みなバットコントロールと勝負強さが特徴で、2005年と2010年には日本シリーズでMVPを獲得しています。2016年に楽天イーグルスへ移籍し、頼れるベテランとしてチームを支え続けました。通算1682安打を達成し、現役を引退するまで安定した成績を残しました。

【指導者としてのキャリア】

今江氏は2024年に楽天イーグルスの監督に就任。目立った補強もない中で選手との対話を重視し、球団初の交流戦優勝を果たすなどの功績も残しました。ただ、シーズンは最終的に4位に終わり、同シーズン終了をもって退任となりました。

歴代の楽天イーグルスの監督を紹介しました

楽天イーグルスの歴代監督は、それぞれのキャリアや個性を生かしながらチームを成長させてきました。

田尾安志氏や野村克也氏らがチームの黎明期にしっかりと土を耕し種をまき、情熱と愛情を持ってナインを鼓舞するカリスマ・星野仙一氏が2013年、見事に大輪の花を咲かせました。

そこから2024年まで10年以上もリーグ優勝から遠ざかっていますが、仙台のイーグルスファンは次に美酒が味わえる瞬間を首を長くして待っていることでしょう。