横浜で大型鉄道イベント「世界鉄道博2016」がスタート。川崎市岡本太郎美術館では企画展「鉄道美術館」が始まった。学校の夏休み期間を直前にして、各地の鉄道博物館も企画展や特別展を開催する。さて、どこに行こうか。

「世界鉄道博2016」(パシフィコ横浜、7月16日~9月11日)

日本の鉄道発祥の地、横浜で開催される大型鉄道イベント。横浜駅付近にある原鉄道模型博物館が企画協力しているだけに、鉄道模型の楽しさを前面に押し出している。原信太郎コレクションのうち、博物館では展示しきれなかった約1,000両が初公開されるとあって、鉄道模型ファンには見過ごせないイベントだ。

原鉄道模型博物館のジオラマは西洋の風景で、展示運転される車両も外国型が多い。これは原信太郎氏が車両自作でこだわった1番ゲージを採用したから。リアルで迫力もあり、西洋のメルヘンチック風景は女性にも人気。大人のデートスポットとしても楽しめる。

「世界鉄道博2016」では、OゲージやHOゲージなど、やや小さいけれど日本型車両の多い規格を中心に据え、長大編成の列車が同時に28本も走行するという。実在の列車の編成が再現されるほか、貨車輸送全盛期の長大な貨物列車も見所のひとつ。

横浜では2月頃に「ヨコハマ鉄道模型フェスタ」、10月頃には鉄道の日記念イベントとして「YOKOHAMAトレインフェスティバル」が開催される。「世界鉄道博2016」は、「2016」とあるから、毎年開催をめざしているのだろう。横浜の3番目の大型鉄道イベントとして定着することを期待したい。

「鉄道美術館」展(川崎市岡本太郎美術館、7月16日~10月10日)

神奈川県の生田緑地内にある川崎市岡本太郎美術館で、鉄道と美術のコラボレーション展示が始まった。同美術館は日本が世界に誇る芸術家、岡本太郎が神奈川県川崎市生まれという縁で、生前に352点の作品を寄贈したという。

鉄道美術館展のチラシ。岡本太郎の「太陽の塔」背面の顔と鉄道博物館のロゴの組み合わせ

岡本太郎と鉄道の縁としては、山陽新幹線岡山延伸開業時に岡山駅に制作した壁画「躍進」と、国鉄分割民営化、JR発足時に制作された大型記念メダル「出発」が挙げられる。代表作の大阪万博シンボル「太陽の塔」は、国鉄の万博輸送キャンペーンポスターにも登場している。京王井の頭線渋谷駅とJR渋谷駅を結ぶ連絡通路にある巨大壁画「明日への神話」も岡本太郎の作品だ。

「鉄道美術館」展は、その岡本太郎と現代芸術家が、鉄道をモチーフに制作した作品を展示している。歌川広重や勝海舟といった人物の作品もあるとのことで、どんな形で鉄道と関わっているのか興味深い。埼玉県の鉄道博物館やJR東日本、小田急電鉄、東急電鉄、音楽館なども協力。岡本太郎氏にゆかりのある鉄道ポスターをはじめ、トレインマーク20点、車両模型6点、ポスター50点、時刻表30点などが提供される。

現代芸術家と岡本太郎作品をからめた鉄道模型ジオラマ、鉄道映像作家佐々倉実氏の作品上映、石炭で走るミニSLの乗車体験、生田緑地内に静態保存されたD51やスハ42のスケッチ体験(中学生以下、7月30・31日)とその展示など、親子で楽しめる企画も多数とのこと。

夏の企画展「シュポー! 走れ! 蒸気機関車」(鉄道博物館、7月9日~9月25日)

「てっぱく」の愛称もすっかり定着したさいたま市の鉄道博物館では、現役の蒸気機関車を中心とした企画展「シュポー! 走れ! 蒸気機関車」を開催中だ。協力はJR東日本と真岡鐵道。SL列車の紹介にとどまらず、SLの運転、修繕、動くしくみを詳しく紹介するとのことで、夏休みの自由研究の題材に良いかもしれない。8月9・10日はJR東日本の現役SL運転士によるトークショーもあるとのこと。

報道資料には「SLに関する資料に触ったり、香りをかいだり、音を聴いたりと、五感を通じてSLの実際の姿を理解していただく」とあり、五感のひとつの「味覚」はどう表現されるか気になるところ。お土産屋さんにある石炭クッキーだろうか。

なお、鉄道博物館は拡張・リニューアル工事が始まっている。現在の鉄道模型ジオラマは9月4日で見納め。リニューアル再開予定は2017年の7月中旬とのこと。9月4日までは過去のジオラマプログラムをリバイバル上映する。8月16日からは特別に「さよならジオラマ新プログラム」を上演する。

「高速鉄道の進化の歴史を知ろう!」(リニア・鉄道館、7月13日~8月31日)

名古屋市金城ふ頭のリニア・鉄道館では、夏休み特別企画「高速鉄道の進化の歴史を知ろう!」を開催中だ。普段は見るだけの700系新幹線車両や超電導リニアについて、車内でスタッフが解説するイベントを開催。0系新幹線の運転台公開では、こども用制服を着て記念撮影ができる。

なお、JR東海エリアでは他に、新幹線浜松工場で「新幹線なるほど発見デー」を7月23・24日に開催。会場で配布する迷子札をリニア・鉄道館に持参するとオリジナルグッズをプレゼントする(小学生以下対象、数量限定)。ジェイアール名古屋タカシマヤでは、「わくわくレールランド2016」を7月27日から8月1日まで開催する。同会場とリニア・鉄道館ではスタンプラリーを実施。両会場のスタンプをそろえるとオリジナルグッズをプレゼントする(小学生以下対象、数量限定)。

「夏のワンダーフェスタ」(京都鉄道博物館、7月21日~8月31日)

今年4月29日に開館した京都鉄道博物館は初の夏休みシーズンを迎えた。スタンプラリー形式でおすすめの展示を巡回できる「わくわく京都鉄博ラリー」を開催。土曜日は「W7系グランクラス乗車体験」で、普段立入りできないW7系グランクラスの実物大模型に入れる。座席にも座れる。通常は土日のみ開催される「鉄道おしごと体験」も、期間中は毎日開催。運転・駅・指令・車両・機械・電気などを日替わりで実施する。

大人向けの特別展示としては、8月1日から9月30日までミニ収蔵資料展「鉄道公安~治安の維持、安全な鉄道輸送に尽力した人たち~」が開催される。昭和中期頃の資料を展示し、鉄道公安なの成立ちや役割を紹介するという。ブルートレインブームの頃、ドラマ『新幹線公安官』や『鉄道公安官』を楽しんだ人には気になる内容といえそうだ。

その他、各地の鉄道博物館・記念館で夏休みイベントを実施している。休日のレジャーとして、「青春18きっぷ」で行く目的地として、涼しいイベント・博物館を楽しもう。