大学を卒業して就職し、がむしゃらに働いて20代を過ごした社会人も、30代に入ると転職や結婚、住宅購入など、人生のさまざまな転機を迎えることになるだろう。そういった意味で、30歳は一つの節目となる年齢といっても過言ではないが、「デキる30代」になるために知っておくべきことは意外と少なくない。

そこで本特集では、ファイナンシャルプランナーの佐藤章子氏に、30代を迎えるまでに最低限知っておきたいテーマの基本を解説してもらう。4回目となる今回のテーマは「税金」だ。

  • 私たちはどのような種類の税金を払っているのだろうか

    私たちはどのような種類の税金を払っているのだろうか(※写真と本文は関係ありません)

税金の支払いは、私たちが日々の生活を過ごすうえで不可避です。消費税のように毎日支払っている税金は別として、普段はあまり目にしない分野の税金に関しては、あまり明るくないという人もいることでしょう。

税金を学ぶうえで大切なのは、身近にある税金をその時々に正確に理解していくことなのです。必要な税の知識は、自然と習得していけます。例えば社会人1年生であれば、給与などに関する税金からスタートしましょう。一人暮らしをしてアパートを借りるとなったら、家賃には消費税はかからず、仲介手数料には消費税がかかるなどを学べます。

さらに「住まいを取得したら」「独立して事業を起こしたら」「親から相続をしたら」など、その都度さまざまな税金に触れていきます。自分で事業を始めるとなったら、「税金のことはよく知らない」ではすまされません。今回は、主として個人の勤め人が30歳までに知っておくべき身近な税金をいくつか紹介しましょう。

所得のいろいろ

所得には「利子所得」「配当所得」「事業所得」「不動産所得」「給与所得」「雑所得」「一時所得」「譲渡所得」「山林所得」「退職所得」の10種類があります。そして、それぞれ税額の計算方法が異なります。

少しわかりにくい所得の「雑所得」には、株主優待券や公的年金、生命保険の保険金、退職手当金などがあります。また「一時所得」は懸賞金、生保の一時金や損保の払戻金、立退料などです。

消費税

消費税は身近にあり、何の説明も不要でしょう。10%になると相当負担ですが、ある意味、消費税は「消費」という行為を通じて誰もが平等に支払う税金です。

税の計算は必ずしも平等ではありません。共働きの夫婦は、子どもがまだいないか、成人して独立してしまったら、相当な所得税を覚悟しなければなりません。夫婦合わせると、夫と専業主婦と子ども2人の4倍くらいになるかもしれません。頭数で言えば8倍にもなります。しかし消費税は頭数上平等なのです。

これからも消費税は上昇していくでしょう。消費税はどうあるべきかを考えることは、税を知るための格好の題材ではないかと思います。

所得税と住民税

次に身近なものは所得税と住民税でしょう。企業に勤められている方は、毎月の給与からこの2つが差し引かれます。

(所得税)

所得税とは、個人の所得に対して課せられる国税です。1年間の総合課税の対象となるすべての所得から以下の所得控除を差し引いた残りの課税所得に、税率を適用し税額を計算します。所得税の税率は、所得が多くなるにつれて段階的に高くなります。納税者の支払能力に応じた税負担の仕組みと言えます。

(所得控除)

所得控除とは、課税所得金額を算出するにあたり、所得金額から一定の金額を差し引くことを意味します。「医療費控除」「雑損控除」「社会保険料控除」「生命保険料」「地震保険料」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「配偶者控除」「扶養控除」「基礎控除」などが代表的なものです。

(住民税)

住民税は、都道府県民税と市区町村民税があり、個人にも法人にも課せられます。住民税は前年度の所得に対してかかるものですので、新入社員などで前年度の所得がなければ、住民税は差し引かれません。

個人に対して課せられる住民税には、「均等割」「所得割」「利子割」「配当割」があります。所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」や、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」を合算して納めるのが一般的です。

預貯金などの税金

預貯金の利子、特定公社債以外の公社債の利子、上場株式の配当などに所得税15.315%、住民税5%が課税されます。

不動産所有に関する税金

住まいを手に入れると、さまざまな税金がかかります。それぞれ住まいとなる居住用財産の場合は緩和措置が取られています。

■印紙税……請負契約や売買契約、住宅ローン契約

■不動産取得税……不動産を取得したとき

■登録免許税……所有権の保存登記、土地や中古住宅購入時の所有権移転、住宅ローンの抵当権設定時など

■固定資産税・都市計画税……不動産を所有していたら、毎年徴収される税金 住まいの取得と登記費用の税額の計算や固定資産税などの計算式も面倒な部分がありますので、きちんと理解するには時間を要するかもしれません。