厚生労働省の統計によると、平成28年の平均入院日数は約30日でした。中間値ではなく平均であるということや、家族が入院する可能性も考慮に入れ、平均入院日数の2倍程度を入院する事態を想定しておきましょう。この程度は預貯金で用意できるはずです。日本は医療保険体制が整っています。高額療養費制度もあり、医療保険は不要と考えるファイナンシャルプランナーは少なくありません。

そもそも、入院日数が長期にわたり休職や退職せざるを得なくなり、本当に困ったときに頼りにするのが保険であり、本来はそうした保険が必要なのです。近年の医療保険は、入院初日から給付の対象となるものが多いと思います。「初日からもらえた方が得!」という日本人の志向の結果の商品対応だと思いますが、この考え方には大いに疑問です。保険の基本的考え方は、「本当に困ったときに助けになる」であって、「損か得か」ではないはずなのです。

また、最近ですと高度先進医療専門の保険も発売されました。通常の考え方では用意できない金額や、長期間の医療にどう対処できるかを考えて医療保険を検討すべきと思います。

損害保険で注意すべきこと

生命保険と対をなす、もう一つの保険の大きな柱である損害保険も簡単に触れておきましょう。主な保険の種類は以下の通りです。

  • 主な損害保険の種類

もしもマイホームを取得し、住宅ローンを借り入れれば火災保険は強制加入となります。ローンを返済し終わった際は、忘れずに火災保険を継続しましょう。火災保険にはいくつかのタイプがあり、補償範囲が異なりますので、住まいに見合ったものを選択ください。

地震保険はどうでしょうか。近年は加入率が上昇しているようですが、それでもまだ100%ではありません。日本は今、この瞬間に大きな地震が来てもおかしくない国です。地震によって発生した火災には火災保険は適用されないため、検討の余地はあると思います。

自動車保険はマイカーを持っていれば、自動車損害賠償責任保険のほか、任意保険もほぼ加入しているのではないでしょうか。しかし、最近自転車事故による損害賠償額が数億円になるケースもあるようです。

私は毎日自転車に乗りますが、見ていると交通ルールはほとんど守られていません。一時停止無視、右側走行など毎日危険がいっぱいです。加えて、大きな交通量の多い道路は歩道を通行せざるを得ませんが、歩道にはスマホ歩きの歩行者があふれています。どんなにスピードを落としても、スマホ歩きの歩行者は突然予想外の動きをして、衝突を避けるのに神経を使います。家族が誰もが利用する自転車の事故は人ごとではありません。自転車事故の対策も重要だと認識しておきましょう。

■ 筆者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。