30歳過ぎてゼロから始めた後発カメラマンが、「用法用量を守ってお使いください。ポートレートが劇的に安定する劇薬テクニック」をテーマに、教科書では絶対に教えてくれない撮影テクニックをお伝えします。今回は、背景や露出について解説します。

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背景をスッキリさせよう

ポートレートでは基本的に、人物に視線を集めるよう構成するのがいいとされています。自然と人物に視線を誘導するためには、背景を意識することも重要です。

状況にもよりますが、背景がスッキリしたところでシャッターを切るように意識するといいでしょう。特にフォーカスする場所(人物だと顔が多いでしょうか)の周りをスッキリさせておくと、スムーズに人物へと視線誘導でき、結果として写真が安定します。

どうしても背景がごちゃついてしまうときは、思い切ってF値を下げて背景をぼかすのも1つの手ですね。

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    人物が右の木々や後ろの傘などにかからないように整理しています

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  • 左は写り込んだ黒い車が、右は白い看板が、人物よりも目を引いてしまうのでボツに

白飛びに気をつけよう

ポートレートを始めたばかりのころは、明るい写真のほうが華やかで綺麗な気がして、よく露出を高めに撮っていました。しかし、過度に明るい写真は安定から逆行してしまいます。

というのも、人は明るい部分に目が行きやすい傾向があるため。写真を見た人が、人物とは関係のない明るい部分に目を奪われてしまったら、ポートレートとしては失敗になりがちです(わざと明るい部分と暗い部分を作って、対比を作る手法もあります)。基本的に「白飛びしない程度に抑える」のがいいのではないでしょうか。

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    顔に強い光が当たっていますが、肌の質感がわかる程度に調整。また、床も白飛しないように気をつけました

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    悪くないのですが、人物の物憂げな表情よりも、金髪や肩の白飛びが先に気になってしまいます

「ISOオート」ダメ絶対

カメラの設定は、オートではなくマニュアルで撮りましょう。大きな理由の1つは、オートだとISO感度が自動で変わってしまうためです。

ISO感度は、光に関する敏感さを数値化したもの。数値が大きいほど明るく写りますが、大きいほどノイズが入って写真がザラつきます(始めたてのころは、分からないままオートで撮り続け、よく写真がザラザラになっていました)。

ISOは写真の見た目に直結しますから、できるならノイズの少ない感度低めに設定したいところ。「100~200」くらいを基準に考えるといいでしょう。もちろん、撮影環境が暗いときは、思い切って上げることも大事です。

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    こちらは、F 3.5、1/200sec、ISO 250で撮影。ブレそうだったのでシャッタースピードは下げず、ISOを少し上げました

とにかく、オートだとISOが勝手に設定されてしまうので、マニュアルでISO感度をコントロールしながら撮影することが、写真の安定につながります。

明るさ設定の考えかたは、過去記事【カメラを調整して、意図した明るさで切り取る】も参考にしてください。

モデル:火将ロシエル

火将ロシエル

株式会社コプルト代表。プロコスプレイヤーとしての活動だけでなく、マンガ紙や週刊誌の表紙を飾るなど、勢力的に活動の幅を広げている。2nd写真集「moonstone/月長石」(ワニブックス)発売中。
【出演&発売情報】
9月29日 「月長石」(ワニブックス)電子版発売
10月4日 「OMOTENASHI MATSURI」(avex)DJ出演
10月5日 「アサ芸secret」(徳間書店)表紙巻頭グラビア
10月30日 3rd DVD「ろしにゃんクエスト~Lv999の花嫁~」発売