我が家に「Google Home mini」がやってきた。正直にいうと、欲しくて欲しくて……というよりは勢いで買った。職業柄、新種のデバイスは取りあえず押さえておかねばならないし、ちょうど半額セールを実施していたこともある。本格的な音楽鑑賞に使う予定はないので(オーディオが趣味なのだ)、音声アシスタント機能「Google Assistant」さえ使えればそれでいい。

Google HomeとGoogle Assistantの機能は、このコラムで積極的に取りあげるべき事柄ではないが、話題が「Macと組み合わせると何ができるか/できそうか」となるとだいぶ事情は変わってくる。macOS/iOSには「Siri」という技術体系があるものの、Google Homeに相当する「HomePod」は2018年初旬に発売が延期されてしまった……であれば、日本語に対応していてイニシャルコストも安いGoogle Homeはまさにおあつらえだ。

  • 話題の「Google Home(mini)」はMacで活用できるのか?

カレンダーに見るGoogle HomeとMacの"相性"

ざっくりいうと、Google Homeというデバイスは基本的に「Googleの生態系」に存在する。タイマーやアラームといったローカルの機能はともかくとして、ニュースに天気予報、翻訳機能については、クラウドにあるGoogleのエンジンを利用している。質問すると答えてくれるスケジュール情報も、もちろん「Google Calendar」だ。

だからGoogleのサービスを軸として生活しているユーザにとっては扱いやすいが、こちとらMacは「iCloudの生態系」だ。アドレス帳(連絡先)やメモなどGoogleのサービスと同期/連携させる手段はあるものの、iCloudのサービスを中心に日々を過ごしているとGoogle Homeはうまく対応してくれない。

たとえば、iCloudカレンダーを中心にスケジュール管理していると、Google Homeに予定を訊ねても知らないと答える。予定の有無はGoogleアカウントに作成した(Googleローカルの)カレンダーで判断されるからだ。Macの「カレンダー」ではGoogleローカルのカレンダーを読み書きできるが、そこに書き込まれた予定でなければGoogle Homeにとっては存在しないも同然。ということは、iCloudの共有カレンダーはGoogle Homeでは扱えないことになる。

iCloudの共有カレンダーは、家族間のスケジュール管理にかなり使える。実際、筆者の家族(全員iPhoneを使用)は用事があればここへ書き込むルールにしているので、その共有カレンダーの内容を確認できなければGoogle Homeの利用価値は下がってしまう。おそらく、来年発売予定の「HomePod」でこういう問題は起こらないのだろうが、かといってここであっさり諦めるわけにはいかない。

  • iOSアプリ「Google Home」でセットアップ完了、もちろん日本語で命令できるが……

  • iCloud(共有)カレンダーは、Googleローカルのカレンダーとして扱うことができない

Google Home(mini)でiCloudの共有カレンダーを確認する

そこで考えた手が「IFTTT」。異種WEBサービスを連結する"糊"のような役割を果たすWEBサービスで、ユーザ登録すると「レシピ」と呼ばれるマクロの一種を利用し、異種WEBサービス間でデータをやり取りできるようになる。

GoogleやApple、TwitterやLINEなど大手WEBサービスプロバイダの多くがこれに対応しており、話しかけた内容をツイートする、話しかけた内容を文字化して自分のLINEアカウントへ送信する、などといった処理を機能別のサービスを組み合わせることで実現できる。「IF This Then That」という名前の由来どおり、(入力したデータが)Thisならば(Then)こう(That)する、という流れでレシピを組み立てればいい。幸い、GoogleカレンダーとiCloudカレンダーにもいくつかのサービスが用意されている。

仕組みはこうだ。「This」にiCloudカレンダーのサービス「New event added from search」を登録、あるキーワードを含む新規イベントが検出されるとトリガーが発動、それを受けた「That」ではGoogleカレンダーの「Create a detailed event」サービスを利用し、ほぼ同じ内容の新規イベントをGoogleローカルのカレンダーに作成する。つまり、iCloudカレンダーに特定ワードを含む新規イベントが作成されると、その複製をGoogleカレンダーに作成するというわけ。

わずか2つのサービスを組み合わせるだけだが、これが意外なほど狙いどおりに機能する。レシピが自動実行されるタイミングは数分~数時間に1回程度のため、リアルタイムに反映されるわけではないが、iCloud(共有)カレンダーに特定キーワード(たとえば「【業務】」)を含むイベントを作成しておくと、しばらく後にGoogleカレンダーに複製が用意され、Google Homeでスケジュールを訊ねたときに反映されるようになる。残念ながら、イベントの削除には対応しない(iCloudカレンダーでイベントを削除してもGoogleカレンダーに反映されない)ものの、Mac/iOSにおけるGoogle Home使いこなしの第1歩にはなるはずだ。

  • 「IFTTT」にアカウントを作成し、レシピ(アプレット)を作成すると異種WEBサービスを組み合わせたデータ連係が可能になる

  • IFTTTでGoogleカレンダーのサービスを利用する前には、アクセス許可が必要

  • IFTTTで2つのサービスを組み合わせたレシピを作成する(画面はiOS版アプリ)

  • macOSの「カレンダー」でイベントを作成。iCloud(共有)カレンダーだから、ほかの端末でも構わない

  • しばらくするとレシピが自動実行され、Googleカレンダーへ転記されていた。こうなれば、Google Homeに予定を訊ねてもきちんと答えてくれる