東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンス! そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は自転車競技の「BMX(ビーエムエックス)」。競技解説はパフォーマンススペシャリストとして、BMXレース選手などトップアスリートのサポートに携わる永代優仁さんです。

  • BMX/自転車競技

    「BMX/自転車競技」の魅力とは?

BMXの特徴

BMX(ビーエムエックス)とはBicycle Motocross(バイシクル・モトクロス)の略で自転車競技の一種。その中の「BMXレース」は2008年の北京大会に正式種目として採用され、東京2020では「BMXフリースタイル・パーク」が追加採用されることになりました。速さを競うのがレース、技の点数を競うのがフリースタイルになります。

「BMXレーシング・レース」の自転車の特徴は、20インチ(50.8㎝)という小さなタイヤと、衝撃に耐えられるよう頑丈な作りになっている車体。ちなみに、一般的なママチャリのタイヤは26~27インチ(66.09~68.58㎝)です。

最大8名の選手がスタートヒルといわれる8mの高所にあるスタートゲートから、坂を一斉にかけ下り、300m~400mのコースを40秒前後で一気にゴールまで走り抜けます。コースにはリズムセクションといわれる小さなコブやパームと呼ばれるすり鉢状のコーナーや大きなジャンプ台などがあり、それを乗り越えないといけません。勝敗はタイムではなく順位で決定されます。

一方、「BMXフリースタイル・パーク」は、ダイナミックなトリック(技・テクニック)が特徴で、パークにはトリックを行うための様々なセクションがあります。ジャンプセクションでは、縦回転の技「バックフリップ」や横回転の技「360」といったアクロバティックな動きを連続して行い、高い点数を狙って競い合います。1人2回のランを行い、ジャッジ全体の最高得点と最少得点を除いた平均点が点数となります。

BMXを観戦するときのポイント

「BMXレーシング・レース」では、先行逃げ切りが有利とされ、スタート後にくる小さなコブでスピードが落ちないように後輪を滑らせ、さらにハンドルを前に押し出す「プッシュ動作」の技術が中盤から後半にかけてのレース順位を左右します。特に「パーム」と呼ばれるすり鉢状のコーナーは選手同士のライン取りが激しく、クラッシュが多いポイントになるため、目が離せません。

スタートが得意な選手、中盤以降のプッシュ動作が得意な選手など、それぞれ得意分野があり、最後の最後まで誰が勝つのかわからないおもしろさがこの「BMXレーシング・レース」にはあります。

それに対し、「フリースタイル・パーク」は、技を競い合う種目のため、点数をつけるジャッジがいます。ジャッジの判断基準は、難易度、高さ、流れ、独創性と多才さ、スタイル、着地など全部で12項目。転んでしまうと25%減という規定もあることから、転倒がどれだけ致命的かわかります。

どれだけ難しい技を美しく見せつけるかがカギとなり、観客にとって華麗な空中技は1分では短すぎるかもしれません。競技を行う「パーク」と観客席が非常に近く、臨場感のあるプレーが見られるのも観戦のポイントとなります。

東京2020でのチームジャパンの展望

「BMXレーシング」でトップ10を占める強豪国には、オランダ、フランス、アメリカなどがいます。日本チームにも2019年9月に、初W杯ファイナリストに入った畠山紗英選手やリオ代表の長迫吉拓選手がいます。同年9月の世界選手権では長迫選手が26位、畠山選手が17位になるなど着々と力をつけてきています。

「BMXフリースタイル・パーク」の注目選手は、男子エリートのW杯FISE広島で銀メダルを獲得した中村輪夢選手と女子エリートでW杯優勝の実績を持つ大池水杜の2人。近々の成績では2019年9月に行われた全日本BMXパークでも、中村選手、大池選手ともに優勝しており、勢いに乗った2人には活躍が期待できます。

遠山健太からの運動子育てアドバイス

私が『BMXアドベンチャー』という映画を観てBMXに憧れたのが、小学校低学年の頃。当時、高価で買ってもらえませんでしたが、その映画をきっかけに自転車大好き少年となり、現在でも車よりも自転車で移動することのほうが多いです。最近では、キックバイクのレースを、年齢制限で卒業した子どもたちがBMXに転向する例が多いようです。レースとなるとケガを心配される方もいるかもしれませんが、比較的安全なフリースタイルもあります。自転車は誰もが幼少期に練習するものですが、ここは思い切って"かっこいいBMX"から始めてみてもおもしろいかもしれません。

競技解説:永代優仁

2010年より、森永製菓株式会社トレーニングラボでパフォーマンススペシャリストとして勤務。現在はBMXレース選手や各スポーツの日本代表選手(卓球、クライミング 、サーフィン、バドミントン)の指導にあたる。MORINAGA TRAINING Labの詳細、公式インスタグラムはこちら。

ナビゲーター:遠山 健太

リトルアスリートクラブ代表。トップアスリートのトレーニングに携わる一方で、ジュニアアスリートの発掘・育成や、子どもの運動教室「リトルアスリートクラブ」のプログラム開発・運営など、子どもの運動能力を育むことに熱心に取り組む。自身、2児の父であり、子どもとともにめぐった公園での運動や子育て経験を生かし、パークマイスター(公園遊びに詳しく、子どもの発育を考えて指導ができるスポーツトレーナー)としても活動している。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数