今回が介護保険シリーズの最終回です。今までの記事をお読みいただき、気になる部分や関心がある個所は、ぜひ直接厚生労働省のホームページで介護保険制度の詳細を確認してみてください。そのうえで現在の介護保険制度の問題点や、将来自分が介護保険の給付を受けるとしたら、どのような制度であってほしいかを思い浮かべてください。

  • 介護保険制度が抱える問題とは何だろうか

    介護保険制度が抱える問題とは何だろうか(※写真と本文は関係ありません)

介護保険制度を持続性のある制度にするためには、その問題点をどうすれば是正できるのでしょうか。一般的に言われている現在の介護保険制度の問題点と課題について整理しておきましょう。

介護保険制度導入の経緯と意味

改めて、介護保険制度はどのような経緯でつくられたかを復習してみましょう。介護保険制度の導入の経緯は、平均寿命の延びや高齢化の進展に伴い、「要介護高齢者の増加」「介護期間の長期化」「核家族化」「介護する家族の高齢化」といった、家族だけで担いきれない介護を社会全体で支えるための制度です。

それは、多くの人々で互助する生命保険と基本的には同じです。幸いにして万一の事態が起きなければ、かけてきた保険料は不幸な事態に陥ってしまった誰かのために使われます。一人では支えきれないからこそ、保険制度が成立するのです。

若い世代は、今は支える側かもしれませんが、「老い」は誰にでも等しく訪れますし、その前に親の老後を経験するでしょう。今現在が30代であれば、それほど遠い先ではありません。

そして、いつかは自分たちも支えられる側になっていきます。現在の介護保険制度の問題点や不満が改善されないまま先送りされ続けるようなら、自分たちの子どもやその次の代の負担となっていきます。高齢化がさらに進めば、後の世代の負担はますます大きなものになりかねません。持続していける制度にするにはどうすればよいかが、今の課題なのです。

制度の持続には収入増がカギ

介護保険に関するニュースなどで取り上げられるいくつかのキーワードを挙げてみましょう。

■介護保険制度に必要な財政難
■少子高齢化
■若者世代の負担増
■介護業務に従事する人々の低報酬
■寝たきり人口比率の高い日本

このほかにもさまざまな問題があります。皆様もいくつか加えてみてください。

これらのキーワードをもう少し詳細にみていきましょう。まず、財政的な課題についてですが、介護需要の拡大にすべて対応するには財政面で厳しい状況です。制度を限度額めいっぱい利用している方々の比率はそれほど高くないので、支給限度額の削減や対象者の限定は、財政面への寄与があまり期待できないことがわかっています。

財政面を改善するには「支出を抑えるよりも収入を増やす」。つまり負担額を引き上げるか、40歳からの負担を30歳からなどに引き下げるかが最も効果的とならざるをえません。

すでに、平成30年(2018年)8月からの高額所得者への介護費用の3割負担や、40歳~64歳までの保険料を報酬額に比例した額とするなどが平成30年度介護保険法改正事項に盛り込まれています。介護と医療の連携で費用を抑える取り組みもスタートします。

もちろん、最後まで自立できる健康管理が大切なことは言うまでもありません。全体が赤字財政の中、介護制度にどれだけ振り分けるかも大問題で、答えは簡単には出ません。すでに介護保険給付の50%は税金から支出しているのです。

さきほど、増え続ける需要にすべて対応するのは難しいとお話ししました。たとえニーズが増えたとしても、その期待に応えるには制約があります。介護産業従事者への需要は多いにも関わらず、その報酬を引き上げるのはなかなか難しいのが実情です。また、介護充実度の地域格差も問題化しそうです。