前回は「業務アプリケーションを容易に開発できるLightSwitch 2011」について触れたが、その流れで(?)、今回はWebアプリケーションを容易に開発・展開できるツールである「Microsoft WebMatrix」(以下WebMatrix)を紹介しよう。

厳密に言うと、これはMSDNオンラインのコンテンツではないのだが、開発系のコンテンツであり、MSDNオンラインからもリンクされているので、本稿で取り上げてみても良いだろうと考えた次第である。

無償で提供されているWebMatrix

WebMatrixは、マイクロソフトが無償提供しているWebアプリケーション開発ツールだ。以下の製品情報ページにアクセスして、画面右上にある[今すぐダウンロード]をクリックすると、Microsoft Web Platformインストーラのダウンロードとセットアップに続いて、WebMatrix自体のダウンロードとセットアップを行う。

WebMatrix製品情報
http://www.microsoft.com/web/webmatrix/

WebMatrixの製品情報サイト。これ自体はMSDNオンラインのコンテンツではないが、"開発系" の製品どあることに違いはないので、MSDNオンラインへのリンクもある

WebMatrixのポイントは、これ1つあればWebアプリケーションの開発から公開までこなせる点にある。オープンソースのWebアプリケーションやデータベースにアクセスする機能、HTML・CSS・各種コードの記述といった操作によってアプリケーションを開発するわけだが、その際に使用するサーバやデータベースの機能は、本番の公開用Webサーバと同じものを使用する。だから、開発環境と本番環境の不整合に起因するトラブルを回避しやすい。

さらに、自分が作成・公開したWebサイトをサーチエンジンによって見つけてもらえるように、最適化する機能(いわゆるSEO:Search Engine Optimization)まで用意してくれているのは親切だ。もっとも、同じような内容のサイトが乱立して最適化合戦になった場合に、どういう結果になるかまではわからないが。

なお、その他のWeb関連テクノロジーについては、MSDNオンラインの「Web開発とは」をを参照するのが基本であろう。IIS(Internet Information Service)、ASP.NET、Silverlightといったあたりの情報は、こちらにまとめられている。また、データベースアクセスについてもデベロッパーセンターがあるのは、すでに御存知の通りだ。

Web開発とは
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ff380144

データアクセス デベロッパーセンター
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/data

SQL Serverデベロッパー センター
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/sqlserver

SQL Azure技術情報
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windowsazure/cc500985.aspx

WebMatrix製品情報ページの四本柱

ちなみに、WebMatrixの製品情報ページはMSDNオンラインのコンテンツではないので、画面のデザインや構成が一般的なMSDNオンラインのコンテンツとは異なっている。

WebMatrixの製品情報ページの構成は大きくは「概要」「機能」「ワークスペース」「学習」の四本柱から構成されており、それぞれのURLは以下のようになっている(画面上部にも対応するリンクが並んでいるが、今ひとつ目立たないように感じられる)。

WebMatrix 概要
http://www.microsoft.com/web/webmatrix/

WebMatrix 機能
http://www.microsoft.com/web/webmatrix/features.aspx

WebMatrix ワークスペース
http://www.microsoft.com/web/webmatrix/workspaces.aspx

WebMatrix 学習
http://www.microsoft.com/web/category/learn

最後の「学習」から、さまざまな学習関連コンテンツへのリンクが張られている(本稿執筆時点では、まだ英語のままだった)。

なお、ワークスペースとは、WebMatrixを用いて行う開発作業を分野で分けて、それぞれに必要とされる作業環境を提供するもの。「Site」(Webサイトの公開など)、「Files」(コードの記述など)、「Databases」(データベース接続など)、「Reports」(SEOなど)の4種類があり、「ワークスペース」記事の左側にある画像の下のほうにある「Site」「Files」「Databases」「Reports」をクリックすると、対応するワークスペースの解説ページが表示されるようになっている。この辺りも、パッと見ただけでは少々わかりにくく感じられたのだが、どうだろうか。

WebMatrixの機能紹介ページ。これひとつあればWebアプリケーションの開発・公開をこなせるのが魅力

WebMatrixの出番はどんな時?

WebMatrixが有用性を発揮するのはおそらく、データベースに格納したデータを必要に応じて検索する場面が多いWebサイト、あるいはデータベースに格納したデータを用いて内容を動的に変動させるWebサイトだろうということは容易に想像できる。

そうしたタイプのWebサイトを構築しようとすると、開発/テスト用の環境と本番環境の両方が必要で、しかもサーバの準備や環境設定、使用するアプリケーションの選定・インストール・環境設定など、行わなければならない作業は多い。しかも、手元の開発/テスト環境でモノを作り上げたら、今度はそれを本番用のサーバにアップロードして、問題なく動作することを確認したうえ公開するという作業が必要になる。

このような作業を1つのツールに統合したうえで容易に扱えるようにして、(いささか手垢の付いた表現だが)ワンストップで目的を達成できるのがWebMatrixの妙味と言える。目指すところに違いはあるが、前回に取り上げたLightSwitch 2011にも共通する考え方かもしれない。