「鉄は熱いうちに打て」なんてことをいうが、勉強は若いうちにやっておく方が頭に入るのが早い、という話に通じるかも知れない。そういう理由なのかどうなのか、マイクロソフトでは教育機関向けに「MSDNアカデミックアライアンス」という仕組みを用意している。今回は、これについて取り上げてみよう。

この「MSDNアカデミックアライアンス」、MSDNオンラインのトップページにある「製品・テクノロジで探す」には出てきていないので、実は意外と知られていないかも知れない。もちろん、サイトマップにはちゃんと載っているのだが。

アカデミックアライアンスとは?

MSDNアカデミックアライアンス(アカデミックポータルともいう)は、教育機関向けの情報を集約したコンテンツで、「学生」「教職員」「職員」を対象に想定している。ソフトウェア開発に関する教育を行いたい学校の教職員、そこで学ぶ学生に対して、さまざまな形で支援しましょう、というわけだ。

といっても、製品やテクノロジーに関する情報は開発者が誰であろうが共通するものだから、それ以外の、さまざまな支援施策の話が中心になる。

MSDNアカデミック アライアンス(アカデミックポータル)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/academic/default.aspx

MSDNアカデミックアライアンスのトップページ

たとえば、マイクロソフトの製品やテクノロジーを使ってゲーム、あるいはWebサイトの開発を行い、それを通じて学習を進めてもらいましょう、ということで、「学習コンテンツ」というものがある。ゲームをお題にしているあたりが、企業向けではちょっと実現しづらい部分であり、いかにもアカデミックアライアンスらしい。

学習コンテンツ
http://www.microsoft.com/japan/academic/learning/

また、学習というのは闇雲にやっても足腰が弱くなってしまうので、ある程度は系統立てて、筋道立てて行う方が良い。だから、学習のための教材・課程として使える素材をいろいろ用意している。こちらは学生よりも教職員向けといえそうだ。

無償教材
http://www.microsoft.com/japan/academic/curriculum/

MSDNアカデミックアライアンスで用意している、無償教材の数々

もちろん、他の多くのコンテンツと同様に、最新情報を電子メールで配信するニュースレターの設定もある。ただし「月刊」で毎月第3木曜日の配信と、他のニュースレターと比べるとペースはゆったりしている。

マイクロソフトアカデミックニュースレター
http://www.microsoft.com/japan/academic/letter/default.mspx

MSDNアカデミックアライアンス(通常版と高等学校版)

ちなみに、MSDNアカデミックアライアンスには「通常版」と「高等学校版」があり、授業で使用する開発ツールなどを安価に提供する仕組みを用意している。

前者についてはさらに「Developer Edition」と「Designer Edition」に分かれており、Developer Editionは情報系の学科・研究室が対象、Designer Editionはデザイン・芸術系の学科・研究室が対象、という違いがある。当然ながら、提供対象となるソフトウェアの内容にも、これらのエディション間で違いが生じる。

MSDNアカデミックアライアンス
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/academic/cc998592.aspx

MSDNアカデミックアライアンス 高等学校版
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/academic/cc987580.aspx

では高等学校版とは何が違うかというと、通常版よりもリーズナブルな価格設定を行っているということのようだ。ただし、ひとつの学校について1登録限定、その1登録で教室ひとつ・PCの台数が42台まで、という条件付きである。

MSPやImagine Cupもアカデミックアライアンスの関連プログラム

このほか、さまざまなコンテンツを提供する学生向けの無料ポータル・MSP(Microsoft Student Partners)や、学生向けに開発ツールなどを無償提供するプログラム・DreamSparkが用意されている。

MSP
http://www.microsoft.com/japan/academic/msp/default.mspx

DreamSpark
http://www.microsoft.com/japan/academic/DreamSpark/default.mspx

もっとも、開発ツールが手に入るというだけでは、まだ足りない。本連載の第14回でも言及したように、単に「言語について学ぶ」「テクノロジーについて学ぶ」というだけでは、モチベーションが上がりにくいのが常だ。そこで登場するのが、おなじみのイベント「Imagine Cup」である。MSPは全世界共通のプログラムだが、このImagine Cupも全世界的イベントであり、ちょっと煽るならば「世界の学生同士で覇を競おうではないか」という壮大な(?)話になる。

Imagine Cup
http://www.microsoft.com/japan/academic/imaginecup/

過去に開催された「Imagine Cup」の出場者が、このイベントの魅力について語っているコーナーもある。それを見ると、今度は自分達が出場意欲を掻き立てられるかも!?

面白いのは「キャンパスコンパス」だ。これは開発者とは関係がないのだが、ついでだから紹介しておこう(失礼)。これは早い話が、IT関連のツール・サービスを活用することでキャンパスライフを充実させましょう、というコンテンツである。

キャンパスコンパス
http://www.microsoft.com/japan/academic/camcom/default.mspx

一般論として、ITは何か問題解決を図るための手段、ということが多いだろう。それであれば、日常生活のさまざまな局面でITを活用して楽をしたり、充実させたりする経験を積むことは、「ITによる問題解決の事例」を蓄積することにつながる。それが、ソフトウェアを開発する際にも知らず知らずのうちに役立ってくれるかも知れない。そこまで見込んだ上で、このコンテンツを用意しているのかどうかは分からないが。